日銀総裁会見で一時急落してからの反騰で年初来高値に迫る
〇ドル円、日銀会合結果と総裁会見挟み乱高下するも、1/24未明 米長期債利回り上昇で148.69つける
〇日銀、金融緩和政策維持を決定。フォワードガイダンス=政策指針についての変更もなし
〇米長期債利回り、利下げ先送り感優勢で上昇基調続く。10年債は前日比0.02%上昇の4.13%で終了
〇米利下げ時期、市場の3月利下げ期待度は昨年末9割まで上昇するも現時点で5割切る
〇1/25の米GDP速報と四半期コアPCE、1/26の12月コアPCEで一段と上昇するか低下に転じるのかに注目
〇148円台を維持して推移中は一段高余地あり、148.69超えからは149円台前半への上昇を想定
〇147.50割れからは下落再開を疑い1/23午後安値146.99試し、底割れからは146円台前半への下落を想定
【概況】
ドル円は日銀金融政策決定会合を控えて22日から148円を挟んだ揉み合いで様子見が続いていたが、1月23日昼に日銀の金融政策現状維持と発表された直後の円安反応で148.54円へ上昇し、午後の植田日銀総裁会見でのマイナス金利解除等への言及による円高反応で146.99円まで急落した。しかし植田総裁発言に対するやや過剰な円高反応が一巡すると持ち直しに入り、米長期債利回りの上昇を見て24日未明には148.69円を付けて1月19日午後に付けた年初来高値148.80円に迫った。
【日銀は現状維持、総裁はマイナス金利等解除に言及】
日銀は1月22日と23日に開催された金融政策決定会合で金融緩和政策維持を決定し、現在マイナス金利状態にある政策金利についてのフォワードガイダンス=政策指針についての変更がなかった。発表後はフォワードガイダンス変更への警戒感が払しょくされたことでいったん円安反応を見せたものの、午後の総裁会見を見定めたいとして早々に発表前の水準を割り込んだ。
15時半からの会見で植田日銀総裁は「物価目標実現の確度は少しずつ高まっている」、「物価目標の持続的実現が見通せればマイナス金利を含めて様々な緩和継続の是非を検討していく」と述べ、マイナス金利を解除する際には連続的な利上げを視野に入れて判断するのかとの質問に対して「当然そういうことになると思う」と述べたため、市場はマイナス金利解除後の連続利上げを警戒して円高反応となり、発言が伝わると146.99円を付けて声明発表後に付けた高値148.54円からは1.55円の円高ドル安となった。
しかし、植田総裁は「マイナス金利解除しても極めて緩和的な環境が続く」と述べたことで連続利上げを連想した円買いが一巡とすると徐々にドル高円安へと風向きを変えた。植田総裁はマイナス金利解除の判断についての質問に対して、4月会合では3月会合に比べれば情報量が増えると述べており、4月会合での解除に含みを持たせたが、仮にマイナス金利解除=利上げとすれば2007年2月以来17年振りとなり市場への影響も大きいため、総裁は「大きな不連続性が発生する政策運営は避ける」、「極めて緩和的な金融環境は当面続く」と述べて市場の不安を和らげた。
筆者個人としては、5月には長期間続いてきた金融緩和政策に対する多角的レビューの2回目会合もあるため、今週から事実上始まった春闘の結果を踏まえ、賃上げとインフレの高止まりが確認できれば3月18−19日会合でマイナス金利解除へのフォワードガイダンスを示して4月25−26日会合で解除に踏み切るか、賃上げ状況やインフレ見通しがまだ不透明なら4月にフォワードガイダンスを示して6月13−14日会合で解除に踏み切るのではないかと考える。しかし、状況が顕著に好転しなければ暫く現状維持を続けて政策転換の機会を伺うように判断が夏以降に先送りされる可能性もあると考える。
【米10年債利回りは再上昇気配、ダウ反落、ナスダックは上昇】
1月23日の米長期債利回りは10年債と30年債が上昇したものの2年債利回りは若干低下した。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.02%上昇の4.13%で終了した。早期利下げ期待により昨年10月23日の5.02%から12月27日の3.78%まで大幅低下した後は利下げ先送り感が優勢となり始めたことで反騰入りし、19日に4.20%まで戻してからやや下げていたが、23日に再び上昇気配となったことで上昇基調が続きやすくなっている印象だ。
30年債利回りも0.05%上昇の4.37%となり19日の4.40%に迫っている。
政策金利動向に敏感な2年債利回りは前日比0.02%低下の4.37%となったが、昨年10月19日の5.26%から今年1月12日の4.12%まで大幅低下したところから19日に4.42%まで戻し、その後は高止まりの様相だ。
米国の利下げ時期については3月の利下げ期待度は昨年末に9割まで上昇したものの現時点では5割を切っている。1月25日の米GDP速報と四半期コアPCE、26日の12月コアPCEをきっかけに一段と上昇するか低下に転じるのか注目される。
一方で、前日に史上最高値を更新したNYダウは前日比96.36ドル安と反落した。中国の景気低迷により3M決算が不調として前日比11%安と急落したことが影響したようだが、ナスダック総合指数は65.65ポイント高と上昇して1月18日から4連騰とした。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は日銀会合結果と総裁会見を挟んで乱高下したが、1月18日夕安値から3日目となる23日午後安値で目先の底を付けて反騰入りしている。
1月19日午後高値を起点として24日午後から26日午後にかけての間へ高値試しを続けやすいと思われ、1月19日高値を超える場合は上昇が勢い付くと思われるが、1月19日午後とのダブルトップに終わる可能性もあるので147.70円割れからは弱気転換注意として23日午後安値146.99円試しへ進むとみる。
60分足の一目均衡表では、1月23日午後の急落から反騰したため遅行スパンが好転し、先行スパンも上抜いているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。ただし、先行スパンから再び転落する場合は下落再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は1月23日午後に30ポイントを割り込んでから24日未明に60ポイント台へ戻したがその後はやや失速している。次の60ポイント超えからは上昇継続とみて70ポイント超えを目指す上昇を想定するが、45ポイント割れからは下向きとして30ポイント台前半への低下を伴う下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、147.50円を下値支持線、1月24日未明高値148.69円を上値抵抗線とする。
(2)148円台を維持するか一時的に割り込んでも回復するうちは一段高余地ありとし、148.69円超えからは149円台前半への上昇を想定する。149.30円以上は反落注意とするが、148円台を維持しての推移なら25日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)147.50円割れからは下落再開を疑い1月23日午後安値146.99円試しとし、底割れからは146円台前半への下落を想定する。146.30円以下は反騰注意とするが、147.50円以下での推移が続く場合は25日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の予定】
1/24(水)
17:30 (独) 1月 製造業PMI・速報値 (12月 43.3、予想 43.7)
17:30 (独) 1月 サービス業PMI・速報値 (12月 49.3、予想 49.5)
18:00 (欧) 1月 製造業PMI・速報値 (12月 44.4、予想 44.8)
18:00 (欧) 1月 サービス業PMI・速報値 (12月 48.8、予想 49.0)
18:30 (英) 1月 製造業PMI・速報値 (12月 46.2、予想 46.7)
18:30 (英) 1月 サービス業PMI・速報値 (12月 53.4、予想 53.2)
23:45 (加) カナダ中銀 政策金利 (現行 5.00%、予想 5.00%)
23:45 (米) 1月 製造業PMI・速報値 (12月 47.9、予想 47.9)
23:45 (米) 1月 サービス業PMI・速報値 (12月 51.4、予想 51.0)
24:30 (米) EIA週間石油在庫統計
27:00 (米) 財務省5年債入札
1/25(木)
休場 マレーシア
18:00 (独) 1月 IFO企業景況感指数 (12月 86.4、予想 86.6)
22:15 (欧) ECB(欧州中銀) 政策金利 (現行 4.50%、予想 4.50%)
22:30 (米) 12月 卸売在庫 [前月比 (11月 -0.2%、予想 -0.2%)
22:30 (米) 10-12月期 GDP・速報値 前期比年率 (7−9月 4.9%、予想 2.0%)
22:30 (米) 10-12月期GDP個人消費・速報値 前期比年率 (7−9月 3.1%、予想 2.4%)
22:30 (米) 10-12月期 コアPCE・速報値 前期比年率 (7−9月 2.0%)
22:30 (米) 12月 耐久財受注 前月比 (11月 5.4%、予想 1.0%)
22:30 (米) 12月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (11月 0.5%、予想 0.2%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 18.7万件、予想 20.0万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 180.6万人)
22:45 (欧) ラガルドECB総裁、記者会見
24:00 (米) 12月 新築住宅販売件数・年率換算 (11月 59.0万件、予想 65.0万件)
24:00 (米) 12月 新築住宅販売件数 前月比 (11月 -12.2%、予想 10.2%)
27:00 (米) 財務省7年債入札
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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