トルコリラ円見通し ドル円の上昇一服で上げ渋るも4.90円割れを買われて確り
〇トルコリラ円、1/18未明高値4.93からジリ安推移となり夕刻に4.88まで下げる
〇その後、ドル円が148円台を回復するのを見て4.92まで持ち直す
〇対ドル、1/18は概ね30.20から29.93の取引レンジ、終値ベースで4営業日連続史上最安値更新
〇外貨準備高、ネットでは3週連続で減少、再び増加に転じることができるのか注目
〇4.88を上回るうちは一段高余地ありとし、4.93超えからは4.95前後への上昇を想定する
〇4.88割れからは下落期入りと仮定して4.86前後への下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の1月18日は概ね4.92円から4.88円の取引レンジ、19日早朝の終値は4.91円で前日と変わらなかった。
ドル高リラ安が進行することに圧迫されつつも、昨年末からのトルコリラ円はドル円の騰落を追いかけており、18日はドル円が連騰一服で上げ渋る中、18日未明高値4.93円からジリ安推移となり夕刻に4.88円まで下げたものの、ドル円が148円台を回復するのを見て4.92円まで持ち直した。
ドル円は米国の3月利下げ開始期待度が低下し、米長期債利回りが上昇に転じたことと能登半島大地震の影響により日銀のマイナス金利解除が先送りされるとの見通しを背景に昨年12月28日安値140.24円を起点とした上昇を継続し、1月16日のウォラーFRB理事による利下げを急がないとの発言で147円台に到達し、17日の米小売売上高等が堅調だったことで18日未明には148.52円まで高値を伸ばした。18日の日中は連騰に対する利益確定売りに圧されて夕刻には147.63円まで下げたものの、18日の米新規失業保険申請件数が予想を上回り、アトランタ連銀総裁が7−9月期の利下げ開始見通しを示して3月利下げ期待を後退させたことで18日夜には148.29円へ戻し、その後も148円台序盤を中心にしっかりしている。
トルコリラ円は12月29日安値4.70円を起点として上昇期に入り、11月5日夜高値4.89円を1月11日午前と11日夜の高値4.88円では超えられずに三角持ち合い型を形成していたが、ドル円の一段高を見て17日未明に4.92円を付けて三角持ち合いから上放れし、ドル円が148円台へ乗せたことで18日未明には4.93円を付けてこの間の高値を更新した。
1月18日の日中はドル円の上昇一服に合わせてやや下げたものの4.90円割れを買われて高止まりの様相だ。
【ドル/トルコリラは終値ベースで史上最安値更新】
ドル/トルコリラの1月18日は概ね30.20リラから29.93リラの取引レンジ、19日早朝の終値は30.11リラで前日終値の30.09リラから0.02リラのドル高リラ安だった。
昨年8月24日高値25.02リラを起点としたドル高リラ安基調が続いており、12月前半はややリラ安の速度が減速していたものの、12月21日のトルコ中銀による2.5%追加利上げを不十分としてリラ安が再び勢いを増しており、1月12日に30.34リラまで取引時間中の史上最安値を更新した。その後は新たな取引時間中の最安値更新を回避しているものの、日足の終値としては1月12日の30.06リラ、1月15日の30.07リラ、17日の30.09リラから18日の30.11リラへと4営業日連続で史上最安値を更新している。
トルコリラ円としてはドル円の騰落が勝ることでドル円に追従する動きではあるが、ドル円と比較すればリラ安による圧迫で上昇角度は鈍い。
【外貨準備高、3週連続で減少】
1月18日夜にトルコ中銀が発表した週次の外貨準備高は1月12日時点のグロスで919.9億ドルとなり1月5日時点の919.7億ドルから若干増だったが、ネットでは295.0億ドルとなり1月5日時点の322.6億ドルから減少した。
ネットの外貨準備高は昨年6月序盤にマイナス57億ドルを記録したところから劇的に改善して昨年末に400.9億ドルに達したが、その後は3週連続で減少している。エルカン総裁体制となってからが外貨準備高を取り崩してリラ安阻止のための市場介入を繰り返してきた政策手法を止めて為替レートは市場原理に任せるとし、外資等の信用獲得のために外貨準備高増強に努めるという姿勢を強調し、実際に結果を出してきたのだが、増加ペースもひとまずピークに達した印象もある。さらに減少傾向が顕著になる場合には外資や格付け機関による評価が下がることも懸念されるので、次週から再び増加に転じることができるのか注目される。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、1月13日未明安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとして16日未明から18日朝にかけての間への上昇を想定していたが、1月18日未明へ一段高したところから下げたために18日午前時点ではすでにサイクルトップを付けた可能性があるとして4.89円割れからは弱気サイクル入りとした。
1月18日夕刻に4.89円を割り込んだため、18日未明高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとする。ボトム形成期は18日の日中から20日未明にかけての間と想定されるのでまだ一段安余地ありとするが、18日夕安値ですでにボトムを付けた可能性もあると注意し、18日未明高値超えからは強気サイクル入りとして22日深夜から25日未明にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では1月18日未明高値からの反落とその後の上げ渋りにより遅行スパンは実線と交錯しているが、先行スパンの上限が下値支持線となっている。先行スパンを上回るうちは遅行スパン好転中の高値試し優先とし、18日未明高値超えからは上昇が勢い付くとみるが、先行スパンへ潜り込んでジリ安に入る場合は下落が長引く可能性があると注意し、18日夕安値割れからは遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は1月17日未明から18日未明への一段高に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられ、18日夕への下落時に40ポイントを割り込んだが、その後は一時60ポイントまで戻すなど下げ渋りを見せている。次の45ポイント割れからは下落継続とみて30ポイント前後への低下を想定するが、次の60ポイント超えからは上昇再開とみて70ポイント台への上昇を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.88円を下値支持線、4.93円を上値抵抗線とする。
(2)4.88円を上回るうちは一段高余地ありとし、4.93円超えからは4.95円前後への上昇を想定する。4.95円以上は反落注意とするが、4.90円を上回っての推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.88円割れからは下落期入りと仮定して4.86円前後への下落を想定する。4.86円以下は反騰注意とするが、4.88円を下回っての推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
1月19日
23:30 12月 中央政府債務残高 (11月 6兆5730億リラ)
1月23日
16:00 1月 消費者信頼感指数 (12月 77.4)
1月25日
16:00 1月 製造業信頼感指数 (12月 99.1)
16:00 1月 設備稼働率 (12月 77.5%)
20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 42.5%)
20:30 週次 外貨準備高 1月19日時点 グロス (1月12日時点 919.9億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 1月19日時点 ネット (1月12日時点 295.0億ドル)
注:ポイント要約は編集部
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