ドル円見通し 148円割れを買われて確り、年末からの上昇トレンド内だが連騰一服感も
〇ドル円、1/18は夕刻に147.63まで下げたが、年末からの上昇トレンド継続とみて押し目買いされる
〇1/18夜の経済指標改善等を手掛かりに148.29まで戻し、その後も148円台序盤の揉み合いでしっかり
〇アトランタ連銀総裁、利下げ開始時期は7−9月期との想定示す
〇昨日発表の米経済指標は概ね堅調な悔過
〇米2年債利回りは大幅上昇一服、10年債と30年債は続伸、米株価は反発
〇148.52を超えないうちは一段安余地ありとし、147.63割れからは147円前後への下落を想定する
〇148.52超えからは年初来高値更新となり上昇が勢いを増すとみて、149円台を目指す上昇を想定する
【概況】
ドル円は1月16日のウォラーFRB理事による利下げを急がないとの発言や1月17日夜の米小売売上高等が予想を上回る好調さだったことによる米長期債利回り上昇とドル高により147円台到達から続伸して18日未明には148.52円を付けた。18日の日中は連騰に対する利益確定売りにやや押されて夕刻には147.63円まで下げたが、年末からの上昇トレンドは継続とみて押し目買いされ、18日の米新規失業保険申請件数の改善やアトランタ連銀総裁発言等を手掛かりに18日夜には148.29円まで戻し、その後も148円割れを買われつつ148円台序盤の揉み合いでしっかりした。
【アトランタ連銀総裁の利下げ想定は7−9月期】
アトランタ連銀のボスティック総裁は1月18日の講演で最近のインフレ鈍化は予想外なこととし、FRBの利下げ開始時期については今年7−9月期と想定し、自身がこれまで想定していた10−12月期よりは早まるとの見通しを示した。昨年12月のFOMCが2024年3回の利下げ想定を示したことを踏まえれば、同総裁の見方はタカ派的で利上げ状態を暫く続けるというものだが、タカ派としても利下げ時期を前倒ししてもよい環境という認識を示したものと思われる。
同総裁は2024年のコアPCE(個人消費支出)デフレーターについては2.4%となると予想し、コアPCEが予想以上に下ぶれすれば7−9月期よりも利下げ開始が早まることが正当化されるとの見解も示したが、市場の3月利下げ期待とは程遠い内容だったため、市場は3月利下げ開始期待度を低下させた。
米金利先物市場における3月利下げ期待度は昨年末に9割へ達してからいったん低下し、1月12日の米PPI発表後に8割程度まで再上昇したがその後は5割前後へ低下している。
【1月18日の米経済指標概ね堅調】
1月18日に米労働省が発表した新規失業保険申請件数は1月13日までの週間で前週比1万6000件減の18万7000件となり市場予想の20万7000件を大幅に下回る改善となった。労働市場の堅調さを示した印象だ。失業保険受給者総数は1月6日までの週間で180万6000人となり前週から2万6000人減少して市場予想の184万5000人を大幅に下回った。
米商務省による12月の住宅着工件数(年換算)は前月比4.3%減の146万戸となり11月の152万5000戸(156万戸から下方修正)から大幅に低下したものの市場予想の142万6000戸を大幅に上回った。先行指標の住宅着工許可件数は前月比1.9%増の149万5000戸となり市場予想の148万戸を上回った。住宅ローン金利がピークアウトする中で持ち直しの動きと思われる。
米フィラデルフィア連銀による1月の製造業景況指数はマイナス10.6となり12月のマイナス12.8から上昇して2か月振り改善となったものの市場予想のマイナス7.0を下回った。
【米2年債利回りは大幅上昇一服、10年債は続伸、ダウは反発】
米国の3月利下げ開始期待が低下する中で長期金利指標の米10年債利回りは前日比0.03%上昇の4.14%となった。10月23日の5.02%をピークに早期利下げ期待により12月27日に3.78%まで大幅低下したが、年末から反騰入りしており、連休明けの1月16日からは3連騰となった。
30年債利回りは前日比0.05%上昇の4.37%となり、12月27日に付けた3.94%以降の最高とした。
政策金利動向に敏感な2年債利回りは前日比0.01%低下の4.36%となった。昨年10月19日に5.26%でピークを付けてから大幅低下に転じて1月12日の米PPI発表後には4.12%まで低下したが、1月16日のウォラーFRB理事による利下げを急がないとの発言に加えて1月17日の米小売売上高等が予想を上回ったことで17日に前日比0.15%上昇と大幅な反騰となったが、18日は上昇一服感もあり4.38%をつけた後は上げ渋った。
一方で1月18日のNYダウはアップル高等により前日比201.94ドル高と上昇して4日ぶりのプラスとなり、ナスダック総合指数も200.03ポイント高となり3日ぶりに反発した。早期の利下げ期待が後退しているものの先行きの利下げ見通しは変わらないとして株式市場の強気感は継続しているようだ。米国株高と同調して日経平均が上昇すればドル円も上昇基調を継続しやすくなる。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は1月13日未明安値144.35円を起点とした上昇期入りとして1月16日夜から18日深夜にかけての間への上昇を想定してきたが、18日未明に148.52円へ続伸してから148円割れへ反落したため、18日未明高値で目先のピークを付けて上昇一服に入っている印象だ。安値形成期は18日夕から20日未明にかけての間と想定されるためすでに18日夕安値で目先の底を付けて上昇期に入っている可能性もあるので、18日未明高値を超えないうちは一段安余地ありとするが、18日未明高値超えからは新たな上昇期入りとして23日深夜から25日未明にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では1月18日未明高値からの反落とその後を148円台序盤中心の揉み合いとしていることで遅行スパンが悪化しているが再び好転しやすい位置にある。先行スパンを上抜いた状況は維持されているので遅行スパン好転からは高値試し優先とし、1月18日未明高値超えからは上昇が勢い付くと思われる。
ただし、先行スパンへ潜り込み始める場合は1月18日未明高値を起点とした下落が長引く可能性があると注意して遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、先行スパンの下限を試す流れとみる。
60分足の相対力指数は1月16日夕から18日未明にかけての高値切り上げに対して指数のピークがほぼフラットとなる弱気逆行を見せてから18日午後には50ポイントをいったん割り込んだ。その後に60ポイントを超えた後も失速気味のため次の50ポイント割れからは30ポイント台への低下を想定するが、65ポイント超えからは上昇再開の可能性ありとし、70ポイント超えからは再び80ポイント台を目指す上昇を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、1月18日夕安値147.63円を下値支持線、1月18日未明高値148.52円を上値抵抗線とする。
(2)148.52円を超えないうちは一段安余地ありとし、147.63円割れからは147円前後への下落を想定する。147円以下は反騰注意とするが、147.63円を下回っての推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)148.52円超えからは年初来高値更新となり上昇が勢いを増すとみて149円台を目指す上昇を想定する。149円到達では売られやすいとみるが、148.52円を超えた後も148円台を維持しての推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の予定】
1/19(金)
13:30 (日) 11月 第三次産業活動指数 前月比 (10月 -0.8%、予想 0.2%)
16:00 (独) 12月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (11月 -0.5%、予想 -0.4%)
16:00 (英) 12月 小売売上高 前月比 (11月 1.3%、予想 -0.5%)
16:00 (英) 12月 小売売上高 前年同月比 (11月 0.1%、予想 1.1%)
16:00 (英) 12月 小売売上高・除自動車 前月比 (11月 1.3%、予想 -0.6%)
16:00 (英) 12月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (11月 0.3%、予想 1.4%)
19:00 (欧) ラガルドECB総裁、ゲオルギエバIMF専務理事等WEFセッション参加
24:00 (米) 1月 ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値 (12月 69.7、予想 70.0)
24:00 (米) 12月 中古住宅販売件数・年率換算 (11月 382万件、予想 382万件)
24:00 (米) 12月 中古住宅販売件数 前月比 (11月 0.8%、予想 0.0%)
1/20(土)
06:15 (米) バーFRB副議長、講演
06:15 (米) デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、講演
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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