トルコリラ円見通し ドル円の下落一服で戻すも、ドル高リラ安進行で上値重い(24/1/10)

トルコリラ円はドル高リラ安に圧迫されつつもドル円の騰落を追いかけている。

トルコリラ円見通し ドル円の下落一服で戻すも、ドル高リラ安進行で上値重い(24/1/10)

ドル円の下落一服で戻すも、ドル高リラ安進行で上値重い

〇トルコ円、1/10未明にかけてドル円の反発を追いかけ4.83まで戻すも、午前序盤はやや下げる
〇4.80台維持して高値切り上げヘ進めるか、戻り一巡で1/9午前安値4.78割り込むか方向感探る展開
〇対ドル、取引時間中の史上最安値を連日更新。1/10午前29.97リラつけ1ドル30リラに迫る
〇インフレ収束の目途立たず、市場は利上げ不足として利上げ催促的なリラ売りの勢い増す
〇1/25のトルコ中銀金融政策員会での追加利上げ等を見極めるまで、リラ安が収まらない可能性も
〇4.83超えからは上昇継続として4.85、4.87を順次試す上昇を想定
〇4.80割れからは下向きとし、4.78割れからは4.75前後への下落を想定

【概況】

トルコリラ円の1月9日は概ね4.83円から4.78円の取引レンジ、10日早朝の終値は4.82円で前日終値と変わらずだったが、小数点下三桁では8日の4.815円から9日の4.823円へわずかに上昇して続落を回避した。
トルコリラ円はドル高リラ安に圧迫されつつもドル円の騰落を追いかけている。
ドル円は12月29日未明安値140.24円から反騰入りし、1月2日からの連騰で5日夜の米雇用統計発表後に145.96円まで高値を伸ばしたが、5日深夜のISMサービス業景況指数の悪化で6日未明には143.80円へ急落し、米長期債利回り上昇一服と年初からの円売り一巡感で修正安に入り9日午前には143.41円まで下落した。9日夜は手掛かりに欠ける展開だったものの143円台前半を値頃として買い戻され、10日未明には144.62円を付けた。

トルコリラ円はドル円を見ながら12月29日の急落時に付けた史上最安値4.70円の後を下げ渋り、年明けからの連騰で5日夜に4.89円まで高値を伸ばしたが、ドル円の下落を見て6日未明に4.81円まで下げ、8日は終日軟調推移となり9日午前には4.78円まで安値を切り下げた。
10日未明にかけてはドル円の反発を追いかけて4.83円まで戻したが、10日午前序盤はやや下げており、4.80円台を維持して高値切り上げヘ進めるのか、戻り一巡で9日午前安値を割り込んで行く展開へ進むのか方向感を探っている。

【ドル/トルコリラは取引時間中の史上最安値を連日更新中】

ドル/トルコリラの1月9日は概ね29.95リラから29.73リラの取引レンジ、10日早朝の終値は29.87リラで前日終値の29.88リラからは0.01リラのドル高リラ安だった。
終値ベースでは1月8日まで9営業日連続で史上最安値を更新してきたが、9日はわずかにマイナスで終わった。しかし取引時間中の史上最安値を8日安値29.92リラから29.95リラへ更新し、10日午前には29.97リラを付けて1ドル30リラに迫ってきている。

【1ドル30リラ目前に】

トルコ中銀はエルカン総裁体制に入った6月から12月まで7会合連続の利上げを行い政策金利の週間レポレートは就任前の8.5%から12月21日会合での2.5%利上げにより42.5%まで引き上げられてきたが、1月3日に発表された12月のトルコCPI(消費者物価指数)上昇率は全体の前年比が64.77%(11月は61.98%)、コア指数では70.6%(11月は69.9%)と加速しており収束の目途が立っていない。トルコ中銀が11月に利上げサイクルの終了が近いとの認識を示し、12月も2.5%利上げに留まったことに対して市場は利上げ不足として利上げ催促的なリラ売りの勢いが増している。

1ドル30リラというのは、エルドアン大統領再選時にリラ安予想の最悪のシナリオとして掲げられた市場のコンセンサスでもあり、30リラ到達による目標達成感でリラ安が落ち着くのかどうか見定めたいところだが、1月25日の次回トルコ中銀金融政策員会での追加利上げ等を見極めるまではリラ安が収まらない可能性もあるだろう。1月4日に発表されたロイター社による2024年末のリラ予想中央値は1ドル37.5リラであり、インフレが収まらずに中銀が追加利上げの舵取りを誤るとリラ安に歯止めがかからなくなることも懸念される。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、1月4日午前安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとしていたが、1月5日夜へ一段高した後の急落から9日未明へ安値を切り下げたため、9日午前時点では5日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとし、ボトム形成期を9日未明から11日午前にかけての間とした。
9日午前へ続落したものの10日未明へ反騰したため、9日午前安値を割り込む場合は新たな弱気サイクル入りとするのを妥当とみて9日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。トップ形成期は10日未明から12日夜にかけての間とするが、4.80円割れからは下向きとし、9日午前安値4.78円割れからは弱気サイクル入りとして12日午前から16日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では1月10日未明への上昇で遅行スパンが一時好転したものの先行スパンの下限が上値を抑えている。先行スパンを上抜けないうちは一段安警戒として遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、先行スパンを上抜くところからは上昇がさらに続くとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は1月10日未明への上昇時に60ポイントに達したところから反落して10日午前には50ポイントを割り込みつつある。55ポイント超えからは上昇再開とするが、相場が高値を更新する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合は反落警戒とし、45ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント割れを試す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.79円を下値支持線、4.83円を上値抵抗線とする。
(2)4.83円超えからは上昇継続として4.85円、4.87円を順次試す上昇を想定する。4.86円以上は反落警戒とするが、4.83円を上回っての推移なら11日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)4.80円割れからは下向きとし、4.78円割れからは4.75円前後への下落を想定する。4.75円以下は反騰注意とするが、4.80円を下回っての推移なら11日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

1月10日
 16:00 11月 鉱工業生産 前月比 (10月 -0.4%)
 16:00 11月 鉱工業生産 前年同月比 (10月 1.1%)
 16:00 11月 失業率 (10月 8.5%)
1月11日
 20:30 週次 外貨準備高 1月5日時点 グロス (12月29日時点 928.3億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 1月5日時点 ネット (12月29日時点 349.5億ドル)
1月12日
 16:00 11月 経常収支 (10月 1.86億ドル、予想 -17.0億ドル)
 16:00 11月 小売売上高 前月比 (10月 2.0%)
 16:00 11月 小売売上高 前年同月比 (10月 13.7%)
1月15日
 16:00  1月 トルコ中銀ビジネス・サーベイ(日時未定、1/15の週中)
 17:00 12月 財政収支 (11月 756.3億リラ)

トルコ中銀金融政策委員会予定
 1月25日、2月22日、3月21日



注:ポイント要約は編集部

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る