5.0円台を意識した短期リバウンドの可能性も
【年末年始のトルコリラ】
年末年始のトルコリラは、年明け3日に史上最安値(4.7396円)を更新した後は、能登半島地震の影響による円全面安の流れを受けて、やや買い戻された。
重要な経済指標である12月の消費者物価指数(前年比)は11月の61.98%を上回る64.77%だったが、市場予想(64.90%)はやや下回った。一方、コア指数は70.64%と市場予想(69.50%)を上回ったほか、12月生産者物価指数も11月の42.5%を上回る44.22%となるなど、インフレ加速が警戒されてリラは下落、史上最安値圏で推移した。
ただ、1月1日の能登半島地震発生を受けて、1月の日銀金融政策決定会合での「金融政策の正常化」実施の可能性が後退したことから、「円キャリートレード」が意識されて円が主要通貨に対して全面安の展開に。トルコ経済への警戒は残ったままだが、円安の流れに乗って、週末にかけては一時4.9円台まで買い戻された。
トルコ・円(東京時間:12月25日―1月5日)※Investing.comの日足を参照
始値:4.8872円
高値:4.9071円
安値:4.7396円
終値:4.8476円
【今週から来週の重要指標】※時間は東京時間
1月10日
16時00分、11月失業率、前回:8.5%
16時00分、11月鉱工業生産(前月比)、前回:−0.4%
16時00分、11月鉱工業生産(前年比)、前回:1.1%
1月12日
16時00分、11月小売売上高(前年比)、前回:13.7%
16時00分、11月経常収支、前回:1.9億ドル、市場予想:−17億ドル
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のトルコリラは、11日に予定されている国外投資家向け説明会次第と言えよう。
1月11日にニューヨークのJPモルガン本社で開催予定の国外投資家向け説明会では、エルカン・トルコ中銀総裁が5回のセッション中4回参加するほか、シムシェキ財務相も財政政策に関するプレゼンを行う。
エルカン・トルコ中銀総裁は就任後、大幅な利上げを実施し続けたが、1月の会合をもって、引き上げを終了する公算だ。トルコ中銀は、12月4日に発表した11月のインフレ率61.98%について、2024年5月に70−75%まで上昇するが、引き締めの効果で2024年末には36%程度に低下すると12月の会合では説明している。
最新の12月消費者物価指数は64.77%だが、12月会合のトルコ中銀のコメントからすると、想定の範囲内なのだろう。市場では、1月25日の会合にて2.5%の利上げ実施をもって利上げを終了、24年後半からは利下げに向かうと推測されている。
テクニカルでは、日足の一目均衡表で三役逆転が示現しているほか、移動平均線(MA)でも20日MAに頭を押さえられた下げトレンドが継続している。一方、一時的ではあるが20日MAを上回る場面も見られたことからトレンド転換の可能性はある。
9日MAをサポートに20日MAを明確に上抜けるような動きが見られれば、短期的な反発は強まると考える。その際のターゲットは、一目均衡表の雲下限が位置する5.0円水準が意識されよう。
11日の説明次第では、リラの下値模索が強まる可能性もある。一方、リラの反転、つまり「途転」を試す可能性もあることから要注目と言えよう。
トルコリラ円日足
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