トルコリラ円見通し ドル高リラ安続きドル円の上昇一服で先週末から続落
〇トルコリラ円、1/5は概ね4.89から4.81、1/8は概ね4.85から4.80の取引レンジ
〇1/5は4.89へ高値を伸ばしその後4.81まで反落、1/6早朝にかけては4.85近辺まで戻し揉み合い
〇1/8はドル円が下げた局面で4.80を付け、その後はドル円とともにやや戻すも4.84には届かず
〇対ドル、1/5は概ね29.89から29.62、1/8は29.92から29.68の取引レンジで取引時間中の最安値更新
〇終値ベースで9営業日連続最安値更新、1/9午前に29.94へ最安値をさらに更新、1ドル30リラが目前に
〇ロイター調査において、2024年末の予想中央値が1ドル37.50リラとされる
〇4.85以下での推移中は一段安余地ありとし、4.79割れからは4.77、4.75を順次試す下落を想定する
〇4.85手前は売られやすいとみるが、4.85超えからは4.89前後を目指す上昇を想定する
【概況】
トルコリラ円の1月5日は概ね4.89円から4.81円の取引レンジ、6日早朝の終値は4.85円で前日終値と変わらなかった。週間では12月29日終値4.78円からは0.07円の円安リラ高だった。
対ドルでトルコリラの史上最安値更新が続く中、トルコリラ円はリラ安に圧迫されつつも12月29日の急落時に付けた史上最安値4.70円から下げ渋りに入り、ドル円の連騰を追いかけて1月2日から4日にかけて3連騰した。
1月5日夜は米雇用統計とISMサービス業景況指数の発表を挟んでドル円が乱高下したため、ドル円の上昇時に4.89円へ高値を伸ばし、その後の反落で4.81円まで下げ、6日早朝にかけては4.85円近辺まで戻した状況で揉み合いとなった。
1月8日は概ね4.85円から4.80円の取引レンジ、9日早朝の終値は4.82円で5日終値4.85円からは0.03円の円高リラ安だった。NY連銀による1年先期待インフレ率が3年振り低水準へ鈍化したことでドル円が9日未明に143.66円を付けて6日未明安値を割り込んだ局面でトルコリラ円は4.80円を付けて6日未明安値を割り込んだ。その後はドル円とともにやや戻したものの4.84円には届かずにいる。
12月28日にかけては米国の3月利下げへの期待確率が9割に達して米長期債利回りが大幅低下してドル全面安の様相だったが、3月利下げ開始は時期尚早として年末から米長期債利回りが反発に転じ、1月1日に発生した能登半島大地震により日銀がマイナス金利解除等へ暫く進めないとした円売りも重なったため、ドル円は12月29日未明安値140.24円から上昇に転じ、1月5日の米雇用統計が予想よりも強かったことで145.96円まで高値を伸ばした。しかしISMサービス業景況指数が予想よりも悪かったことで直後に143.80円まで急落してから144円台後半へ戻すという乱高下となり、9日未明へ安値を切り下げたことで年末からの円安に一巡感がみられる。
米国の利下げ開始時期が先送りされる可能性も意識されているものの年内3回の利下げ想定は変わらないためドル円の上昇にも限界があるのではないかと思われるが、欧米のインフレ率高止まり感が強まるようだとドル円がさらに高値を伸ばす可能性も考えられる。
トルコリラ円としてはドル高リラ安に圧迫されつつ、ドル円が上昇一巡による下落期に入るようだと再び史上最安値試しへと進みかねないところだ。今週は米12月CPI上昇率の発表もあり、ドル円とともに大きく動きやすいと思われる。
【対ドルでは終値ベースで9営業日連続の最安値更新】
ドル/トルコリラの1月5日は概ね29.89リラから29.62リラの取引レンジ、6日早朝の終値は29.82リラで前日終値の29.75リラからは0.07リラのドル高リラ安だった。週間では12月29日終値29.48リラから0.34リラのドル高リラ安で12月半ばからは4週連続で週足終値ベースの史上最安値を更新、取引時間中の史上最安値は9月22日に更新してから16週連続となった。
1月8日は概ね29.92リラから29.68リラの取引レンジ、9日早朝の終値は29.88リラで前日終値の29.82リラからは0.06リラのドル高リラ安だった。1月3日の29.89リラを超えて取引時間中の史上最安値を更新し、終値ベースでは9営業日連続の最安値更新となったが、1月9日午前には29.94リラへ最安値をさらに更新している。
昨年12月に入ってからやや減速していたドル高リラ安ペースが12月21日の中銀による2.5%利上げを不足として勢いを増しており、1ドル30リラが目前に迫っている。
【ロイター調査では2024年末に1ドル37.50リラ】
1月4日にロイター社が発表したエコノミストらによる為替レート予想の集計において、ドル/トルコリラは3月末時点の予想中央値が1ドル31.24リラ(予想レンジ33.36〜29.00)、6月末時点の中央値が1ドル33.50リラ(予想レンジ37.00〜28.00)、12月末時点の中央値が1ドル37.50リラ(予想レンジ43.80リラから26.00リラ)とされた。
トルコの金融政策正常化が継続し、高インフレが収まり経常収支が改善して外貨準備高の増強が続き、大手格付け会社による評価が上がり、外資のトルコ投資が活況を呈するような展開へ進むなら、今年第1四半期をリラ安の底としてリラ高へと風向きが変わる可能性もあるものの、予想中央値としては今年末までリラ安は収まらないとの見方が優勢であることが示されたようだ。
欧米ではインフレ高止まりの懸念も出ているものの鈍化傾向により年内には米欧の利下げもあり得るところであり、中国がデフレ不況感をにじませていることを踏まえれば、トルコにおけるインフレ高進圧力も鈍る可能性があるが、トルコ経済が高成長を示せないうちはリラ安による通貨インフレが続くことが懸念され、その際に利上げサイクルの終了が近いとの認識を示しているトルコ中銀がどこまで追加利上げできるのかという点に市場は懸念を抱いていると推察される。
因みにドル円については第1四半期に150円まで上昇するとの見方がある一方、130円まで下げるとの見方もあり、予想中央値は144円近辺で落ち着き年末にかけては緩やかな円高へ向かうとみられているようだ。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、1月4日午前に反落してから4日深夜へ一段高したために5日午前時点では4日未明高値を直近のサイクルトップ、4日午前安値を同サイクルボトムとした強気サイクル入りとし、4.82円割れを弱気転換注意としたが、1月5日夜へ一段高してから急落して9日未明へ安値を切り下げたため、5日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとする。ボトム形成期は9日未明から11日午前にかけての間とし、4.85円を超えないうちは一段安余地ありとするが、4.85円超えからは直前安値をボトムとした強気サイクル入りと改めて10日夜から12日夜にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では1月5日夜高値からの反落で遅行スパンが悪化して9日未明への下落時には先行スパンから転落したため遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とするが、先行スパンを上抜き返すところからは上昇期入りとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は1月5日夜にかけての上昇時に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられ、9日未明にかけての下落で30ポイント台へ低下した。50ポイント以下での推移か一時的に超えても維持できないうちは下向きとし、35ポイント割れからは20ポイント台前半への低下を伴う下落を想定するが、55ポイント超えからは反騰入りの可能性ありとみて60ポイント台中盤への上昇を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.79円を下値支持線、4.85円を上値抵抗線とする。
(2)4.85円以下での推移中は一段安余地ありとし、4.79円割れからは4.77円、4.75円を順次試す下落を想定する。4.77円以下は反騰注意とするが、4.82円以下での推移なら10日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.85円手前は売られやすいとみるが、4.85円超えからは4.89円前後を目指す上昇を想定する。4.87円以上は反落警戒とするが、4.85円を上回っての推移なら10日も高値試しヘ向かう可能性ありとみる。
【当面の主な予定】
1月10日
16:00 11月 鉱工業生産 前月比 (10月 -0.4%)
16:00 11月 鉱工業生産 前年同月比 (10月 1.1%)
16:00 11月 失業率 (10月 8.5%)
1月11日
20:30 週次 外貨準備高 1月5日時点 グロス (12月29日時点 928.3億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 1月5日時点 ネット (12月29日時点 349.5億ドル)
1月12日
16:00 11月 経常収支 (10月 1.86億ドル、予想 -17.0億ドル)
16:00 11月 小売売上高 前月比 (10月 2.0%)
16:00 11月 小売売上高 前年同月比 (10月 13.7%)
1月15日
16:00 1月 トルコ中銀ビジネス・サーベイ(日時未定、1/15の週中)
17:00 12月 財政収支 (11月 756.3億リラ)
トルコ中銀金融政策委員会予定
1月25日、2月22日、3月21日
注:ポイント要約は編集部
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