トルコリラ週報:『インフレ加速とそれに伴う実質金利のマイナス幅拡大がリラの重石』(1/6朝)

トルコリラの対円相場(TRYJPY)は、週後半にかけて持ち直す動きを見せましたが、依然として史上最安値圏での上値の重い展開が続いています。

トルコリラ週報:『インフレ加速とそれに伴う実質金利のマイナス幅拡大がリラの重石』(1/6朝)

『インフレ加速とそれに伴う実質金利のマイナス幅拡大がリラの重石』

〇今週のトルコ円、ドル円相場の上昇に週後半にかけて週間高値4.89まで上昇
〇引けにかけて反落するも下値は堅く、4.84付近で取引
〇トルコ円、依然史上最安値圏での上値の重い展開続く
〇テクニカルの地合い極めて弱く、ファンダメンタルズもトルコ国内のインフレ加速等が重石
〇引き続き、トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):4.70ー5.00

今週のレビュー(1/1−1/5)

今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初4.75円で寄り付いた後、(1)トルコ12月消費者物価指数(結果64.77%、予想64.90%、前回61.98%)の伸び率加速や、(2)トルコ12月消費者物価コア指数(結果70.64%、予想69.50%)の市場予想を上回る結果、(3)トルコ12月生産者物価指数(結果44.22%、前回42.25%)の伸び率加速を背景に、史上最安値圏での上値の重い展開が継続しましたが、(4)ドル円相場が反発に転じると(能登半島地震を受けて日銀によるマイナス金利の早期解除観測が後退→円キャリートレードの再開期待→ドル円・クロス円急伸→トルコリラ円連れ高)、(5)短期筋のショートカバーを巻き込む形で急伸し、週後半にかけて、週間高値4.89円まで上昇しました。引けにかけて反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間1/6午前2時05分現在)では、4.84円前後で推移しております。尚、1/2に発表されたトルコ12月製造業PMI(結果47.4、前回47.2)は前回を上回る結果となりましたが、市場の反応は限られました。

来週の見通し(1/8−1/12)

トルコリラの対円相場(TRYJPY)は、週後半にかけて持ち直す動きを見せましたが、依然として史上最安値圏での上値の重い展開が続いています。主要レジスタンスポイントがアップサイドより急ピッチに垂れ下がってきていることや、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」「弱気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の下落トレンド」が成立していること、対ドル相場の史上最安値更新が続いていること(※トルコリラ円相場の今週の上昇は、能登半島地震を切掛とした円売りの影響が大きく、トルコリラそのものが買われているわけでは無い点に留意が必要)等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて弱い」と判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)トルコ国内におけるインフレ加速(今週発表されたCPI、PPIはいずれも前月比大幅に加速→トルコ中銀は昨年6月以降、計3400bpもの利上げに踏み切るも、依然としてインフレ抑制には繋がらず)や、(2)上記1を背景としたトルコリラの実質金利のマイナス幅拡大(政策金利42.5%に対して今週発表されたCPIが64.9%→実質金利は▲22.4%と構造的なリラ売り圧力継続)、(3)トルコ中銀の利上げサイクル終了の思惑(トルコ中銀は昨年12月に開催した会合で「引き締めサイクルをできるだけ早く完了させる」との見解を発表)、(4)米長期金利の反転上昇(FOMCで投票権を有するリッチモンド連銀バーキン総裁は今週、「追加利上げの可能性は依然として選択肢にある」とのタカ派的な見解を発表→トルコから米国への資金流出懸念再開)など、トルコリラ円相場の下落を連想させる材料が揃っています

『インフレ加速とそれに伴う実質金利のマイナス幅拡大がリラの重石』

以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は1/10に予定されているトルコ11月経常収支や、トルコ11月失業率、トルコ11月鉱工業生産に注目が集まります。

来週の予想レンジ(TRYJPY):4.70ー5.00

注:ポイント要約は編集部

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