来週の為替相場見通し:『日米金利差拡大を背景としたドル高・円安トレンド継続か』(1/6朝)

ドル円は昨年12/28に記録した安値140.25(昨年7/28以来、約5カ月ぶり安値圏)をボトムに反発に転じると、週末にかけて一時145.97まで急伸しました。

来週の為替相場見通し:『日米金利差拡大を背景としたドル高・円安トレンド継続か』(1/6朝)

『日米金利差拡大を背景としたドル高・円安トレンド継続か』

〇今週のドル円、週初の140.81から週末にかけ一時145.97まで急伸
〇能登地震による本邦マイナス金利後ずれ観測、米指標の良好な結果からの米早期利下げ観測後退が背景
〇買い一巡後はISM非製造業景況指数の不冴えからの米金利低下に、144円台に戻す
〇ユーロドル、週末にかけ週間安値1.0877まで下落、欧州株の冴えない動き、米金利上昇が背景
〇ドル円、主要テクニカルポイント上抜け、11月高値151.91からの下落の38.2%戻しも達成、地合い強い
〇ファンダメンタルズも日米金利差拡大、新NISA開始による外貨需要増加期待がドル円をサポート
〇引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(USDJPY):143.00ー147.00、(EURUSD):1.0800−1.1100

今週のレビュー(1/1−1/5)

<ドル円相場>
今週のドル円相場は、週初140.88で寄り付いた後、早々に週間安値140.81まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(1)日銀によるマイナス金利の解除時期の後ずれ観測(石川県能登地方を震源とする大規模地震の影響で日銀がマイナス金利の解除時期を年後半以降に後ろ倒しにするとの思惑)や、(2)上記1を背景としたドル円ショート勢の大規模ロスカット、(3)FOMCで投票権を有するリッチモンド連銀バーキン総裁による「追加利上げの可能性は依然として選択肢にある」とのタカ派的な発言、(4)米12月ISM製造業景況指数(結果47.4、予想47.1)の市場予想を上回る結果、

(5)米12月ADP雇用統計(結果+16.4万人、予想+12.5万人)の市場予想を上回る結果、(6)米新規失業保険申請件数(結果20.2万件、予想21.6万件)の良好な結果、(7)米12月非製造業PMI(結果51.4、予想51.3)の良好な結果、(8)米12月非農業部門雇用者数(結果+21.6万人、予想+17.5万人)の力強い結果、(9)米12月失業率(結果3.7%、予想3.8%)の良好な結果、(10)米12月平均時給(結果+4.1%、予想+3.9%)の伸び率加速、(11)米FRBによる利下げ開始時期の後ずれ観測(米金利上昇に伴うドル買い圧力)が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値145.97まで急伸しました。

もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(12)急ピッチな上昇に対する反動売りや、(13)米12月ISM非製造業景況指数(結果50.6、予想52.5)の冴えない結果、(14)米金利低下に伴うドル売り圧力が重石となり、本稿執筆時点(日本時間1/6午前1時45分現在)では、144.30前後まで値を崩す動きとなっております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、週初1.1044で寄り付いた後、早々に週間高値1.1046まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(1)リッチモンド連銀バーキン総裁による「追加利上げの可能性は依然として選択肢にある」とのタカ派的な発言や、(2)米FRBによる利下げ開始時期の後ずれ観測(米金利上昇に伴うドル買い圧力)、(3)欧州株の冴えない動き(独DAXは昨年12/5以来、約1カ月ぶり安値圏へと急反落)、(4)米経済指標(米12月ISM製造業景況指数や米12月雇用統計など)の力強い結果、(5)ドイツ12月HICP(結果+3.8%、予想+3.9%)の市場予想を下回る結果が重石となり、週末にかけて、週間安値1.0877まで下落しました。

もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(6)急ピッチな下落に対する反動買いや、(7)米12月ISM非製造業景況指数の市場予想を大幅に下回る結果、(8)米金利低下に伴うドル売り圧力が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間1/6午前1時45分現在)では、1.0968前後まで持ち直す動きとなっております。尚、今週発表されたユーロ圏12月製造業PMI(結果44.4、予想44.2)およびユーロ圏12月非製造業PMI(結果48.8、予想48.1)は共に市場予想を上回る結果となりましたが、ユーロ買いでの反応は限定的となりました。

来週の見通し(1/8−1/12)

<ドル円相場>
ドル円は昨年12/28に記録した安値140.25(昨年7/28以来、約5カ月ぶり安値圏)をボトムに反発に転じると、週末にかけて一時145.97まで急伸しました。この間、日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日移動平均線、200日移動平均線、一目均衡表転換線、一目均衡表基準線、ボリンジャーミッドバンド)を軒並み上抜けした他、市場参加者に注目されていたフィボナッチ38.2%戻し(昨年11/13高値151.91→昨年12/28安値140.25)も達成するなど、テクニカル的に見て、地合いの好転を強く印象付けるチャート形状となりつつあります。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)日銀によるマイナス金利の解除時期の後ずれ観測(能登半島地震の影響でマイナス金利解除のタイミングが年後半以降にずれ込むとの思惑浮上→円ロングポジションのアンワインド活発化)や、(2)米FRBによる利下げ開始時期の後ずれ観測(米FOMCで投票権を有するリッチモンド連銀バーキン総裁が1/3に「追加利上げの可能性は依然として選択肢にある」と発言した他、今週発表された米経済指標も総じて良好な結果→3/20に開催される米FOMCでの25bp利下げの織り込み度合が低下)、(3)上記1、2を背景とした日米金利差拡大とそれに伴う円キャリートレード再開期待、(4)新NISA開始に伴う本邦個人投資家による外貨転需要の増加期待(外株投資の円売り・外貨買い)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が増えつつあります。

来週1/11に予定されている米12月消費者物価指数や、1/12に予定されている米12月生産者物価指数が市場予想を上回る場合には、米金利上昇→米ドル買いの経路で、ドル円にもう一段強い上昇圧力が加わる可能性もあるため、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。

来週の予想レンジ(USDJPY):143.00ー147.00

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場(EURUSD)は、12/28に記録した高値1.1141(7/27以来、約5カ月ぶり高値圏)をトップに反落に転じると、週末にかけて一時1.0877まで急落しました。但し、日足ローソク足が主要テクニカルポイントの上側で推移していること(一目均衡表の分厚い雲がダウンサイドから急ピッチに切り上がってくること)や、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」が継続点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは崩れていないと判断できます。

但し、ファンダメンタルズ的に見ると、これまでユーロドル相場を牽引してきた欧米金融政策の方向性の違い(ハト派なFRB vs タカ派なECBのコントラスト)に陰りが見えつつあるため(リッチモンド連銀バーキン総裁のタカ派発言や米経済指標の良好な結果を受けて、FRBのタカ派化が進んだため、両者のコントラストが解消)、目先は昨年末にかけて進んだユーロ買い・ドル売りトレンドの逆流リスクが警戒されます。特に、来週予定されている米CPIや米PPIが市場予想を上回る場合には、米金利上昇→米ドル買いの経路で、ユーロドルにもう一段強い下押し圧力が加わる恐れもあるため、当方では短期的なユーロドル相場見通しを、ブル(強気)からベア(弱気)へと変更いたします。

尚、来週は1/8に予定されているドイツ11月製造業新規受注や ユーロ圏11月小売売上高、1/9に予定されているドイツ11月鉱工業生産などにも注目が集まります。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.0800−1.1100

注:ポイント要約は編集部

『日米金利差拡大を背景としたドル高・円安トレンド継続か』

ドル円日足

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