『南ア経済の先行き不安と米長期金利の反転上昇がランドの重石』
〇今週の南ア円、週央にかけ週間安値7.58まで下落後、一時7.76まで反発
〇中国の非製造業PMIの好調やドル円相場の急上昇等が背景
〇テクニカルには上方に複数のレジスタンスポイント並び、強い売りシグナルも実現、地合い弱い
〇ファンダメンタルズも南ア経済・政局の先行き不透明感、金・プラチナ価格の下落等が重石
〇引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.60ー7.85
今週のレビュー(1/1−1/5)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初7.69円で寄り付いた後、(1)南アフリカー欧米諸国間の関係悪化懸念(南アフリカはイスラエルによるイスラム組織ハマスに対する攻撃がジェノサイド防止条約に違反していると緊急宣言するよう国際司法裁判所に要請)や、(2)米金利上昇に伴うドル買い圧力(新興国から米国への資金流出圧力)、(3)金・プラチナ価格の大幅下落(南アフリカの交易条件悪化懸念)、(4)南ア12月スタンダード銀行PMI(結果49.0、前回50.0)の冴えない結果(好不況の分岐点となる50割れ)が重石となり、週央にかけて、週間安値7.58円まで下落しました。
しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(5)中国12月財新非製造業PMI(結果52.9、予想51.6)の市場予想を上回る結果(南アフリカと経済的な結びつきの強い中国経済の上振れは南アランドの上昇要因)や、(6)ドル円相場の急上昇(能登半島地震を受けて日銀によるマイナス金利の早期解除観測が後退→円キャリートレードの再開期待→ドル円・クロス円急伸→南アランド円連れ高)が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値7.76円まで上昇しました。引けにかけて反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間1/6午前1時55分現在)では、7.73円前後で推移しております。
来週の見通し(1/8−1/12)
南アランドの対円相場は昨年12/28に記録した安値7.55円をボトムに切り返すと、週後半にかけて一時7.74円まで反発しました。但し、アップサイドに複数のレジスタンスポイントが並んでいること(一目均衡表の分厚い雲がアップサイドより急ピッチに垂れ下がってくること)や、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」が点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます。事実、対ドル相場は約3週間ぶり安値を更新するなど冴えない動きが続いています(南アランド円相場の上昇は、能登半島地震を切掛とした円売りの影響が大きく、南アランドそのものの買い材料は見当たらず)。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)南ア経済の先行き不透明感(今週発表された南ア12月PMIは好不況の分岐点となる50を割り込む不冴な結果→南ア経済の早期リセッション懸念)や、(2)南ア中銀の早期利下げ観測(本年3月会合で南ア中銀が早々に利下げに踏み切るとの思惑浮上)、(3)南アフリカを巡る政局不透明感(本年予定されている南ア総選挙における下院の過半数割れリスク)、(4)金・プラチナ価格の大幅下落(南アフリカの交易条件悪化懸念)など、南アランド円相場の下落を連想させる材料が増えつつあります。国営電力会社エスコムによる計画停電実施懸念や、米長期金利の反転上昇(米早期利下げ観測の後退)等も南アランドの重石になると見られることから、当方では引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は1/11に予定されている南ア製造業生産高および米CPIや、1/12に予定されている中国の主要経済指標(貿易収支、CPI、PPI)に注目が集まります。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.60ー7.85
注:ポイント要約は編集部
南アランド円日足
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