トルコリラ円見通し ドル高リラ安基調は継続だが、ドル円の大幅高で連騰
〇トルコ円、1/4は概ね4.87から4.78の取引レンジ、年明けからはドル円の大幅上昇に支えられて連騰
〇今夜の米雇用統計からドル円が一段高へ進むのか、下落期に入るのか、トルコリラ円としては波乱注意
〇対ドル、1/4は取引時間中の最安値更新に至らず、しかし1/5午前29.87をつけ安値更新を試しつつある
〇終値ベースでは29.75をつけ、12/27から1/4まで7営業日連続で史上最安値を更新
〇トルコの金融政策の正常化が続いているが、高インフレ収まらず追加利上げ催促のリラ売り続く
〇4.82以上での推移中は上昇余地ありとし、4.88超えからは4.90前後への上昇を想定する
〇4.82割れを弱気転換注意とし、4.80割れからは下落期入りとみて4.77前後への下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の1月4日は概ね4.87円から4.78円の取引レンジ、5日早朝の終値は4.85円で前日終値の4.80円からは0.05円の円安リラ高だった。
トルコリラは対ドルで終値ベースの史上最安値更新を7営業日続けており、トルコリラ円に対するリラ安圧力は継続しているものの、年明けからはドル円の大幅上昇に支えられてドル円とともに連騰している。
ドル円は11月13日高値151.90円から12月29日未明安値140.24円まで大幅下落してこの間の下げ幅は11.66円となったが、米長期債利回りの上昇を見ながら1月2日から3連騰となり、1月4日深夜高値144.84円までの上昇幅は4.60円となり凡そ4割を戻した。米国の利下げ開始予想は変わらないものの3月利下げ開始確率が低下しているとの見方が徐々に拡大していることと、能登半島大地震をきっかけとして日銀のマイナス金利解除が先送りされるのではないかとの見方から円の独歩安となっている。
トルコリラ円は8月24日高値5.77円を起点とした下落を継続して12月29日に4.70円を付けて取引時間中の史上最安値を更新し、1月1日終値4.75円で終値ベースの史上最安値を更新したが、その後はドル円の上昇を追いかけて連騰で戻している。ドル高リラ安による下押し圧力が続いているため、ドル円が11月13日以降の右肩下がりの展開から抜け出してきているのに対してトルコリラ円はまだ右肩下がりであり、ドル円の上昇が一巡して失速する場合には円高とリラ安の両面から売られて下落再開感が強まりかねない側面もある。今夜の米雇用統計からドル円が一段高へ進むのか、上昇一巡による下落期に入るのか、トルコリラ円としては波乱注意としたい。
【対ドルでは終値ベースで7営業日連続の最安値更新】
ドル/トルコリラの1月4日は概ね29.82リラから29.57リラの取引レンジ、5日早朝の終値は29.75リラで前日終値の29.69リラからは0.06リラのドル高リラ安だった。
12月21日のトルコ中銀による2.5%追加利上げを不十分として史上最安値更新に入りリラ安の勢いを徐々に増しており、1月3日に29.89リラへ取引時間中の史上最安値を更新した。4日は取引時間中の最安値更新には至らなかったものの、終値ベースでは12月27日から1月4日まで7営業日連続で史上最安値を更新した。
1月5日午前は29.87リラを付けて取引時間中に最安値更新を試しつつある。
【高インフレ収まらず追加利上げ催促のリラ売り続く】
昨年5月末にエルドアン大統領が再選された際、大手金融機関等は最悪のシナリオとして2023年末に1ドル30リラまでリラ安が進行する可能性があると指摘した。1ドル30ドルには達していないもののすでに29リラ台後半であり、年は越えたものの30リラ到達も目前となっている。
トルコ中銀による外貨準備高増強、高インフレに対抗する連続利上げ、財務省の増税と財政再建など、金融政策の正常化が続いていることへの大手格付け機関や外資の評価は上昇しているものの、インフレが収まらないことにはリラ安も続き、リラ安が通貨インフレとしてさらにインフレを高進させてしまう悪循環から抜け出せていない。
1月1日に発表されたイスタンブールの12月RPI(小売物価指数)上昇率は前月比3.52%(11月3.79%)、前年比74.88%(11月73.89%)と高く、WPI(卸売物価指数)上昇率も前月比2.31%(11月2.94%)、前年比62.77%(11月65.01%)と高いままだった。
1月3日発表の12月トルコCPI(消費者物価指数)上昇率も前月比2.93%(11月3.28%)、前年同月比64.77%(11月61.98%)、コアCPI上昇率は前月比2.3%(11月2.0%)、前年同月比70.6%(11月69.9%)と上昇基調が続いている。
次回のトルコ中銀MPC(金融政策委員会)は1月25日だが、11月と12月の会合後に中銀は利上げサイクルの終了が近いとの認識を繰り返したため、市場は利上げ終了はまだ早いとして追加利上げ催促的にリラ売りを続けている印象だ。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、12月29日の一時的安値を除いて1月2日安値を起点として4日未明にかけて反騰したため、4日午前時点では1月2日朝安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。
1月4日午前に反落してから4日深夜へ一段高したため、4日未明高値を直近のサイクルトップ、4日午前安値を同サイクルボトムとした新たな強気サイクル入りとして9日未明から11日未明にかけての間への上昇を想定する。ただし。4.82円割れを弱気転換注意とし、4.80円割れからは弱気サイクル入りとして9日午前から11日午前にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では1月4日未明への上昇で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜き、4日午前の反落で先行スパン内へいったん潜り込んだものの再び上抜き返しているため、遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、遅行スパンが悪化するところからは下落期入りとして安値試し優先とし、先行スパンから転落する場合は下げ足が速まる可能性があると注意する。
60分足の相対力指数は1月3日深夜に70ポイントを超えてから50ポイント台へ反落し、4日深夜への上昇で70ポイントを超えたものの指数のピークは切り下がっている。50ポイント台を維持するうちは一段高余地ありとするが、50ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント台への低下を伴う下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.82円を下値支持線、4.88円を上値抵抗線とする。
(2)4.82円以上での推移中は上昇余地ありとし、4.88円超えからは4.90円前後への上昇を想定する。4.90円以上は反落警戒とするが、4.84円を上回っての推移なら週明けも高値試しヘ向かう可能性ありとみる。
(3)4.82円割れを弱気転換注意とし、4.80円割れからは下落期入りとみて4.77円前後への下落を想定する。4.77円以下は反騰注意とするが、4.80円を割り込んでからも4.82円以下での推移なら週明けも安値試しを続けやすいとみる。
【1月4日発表結果と当面の主な予定】
1月4日
20:30 週次 外貨準備高 12月29日時点 グロス (12月22日時点 975.6億ドル、結果 928.3億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 12月29日時点 ネット (12月22日時点 400.9億ドル、結果 349.5億ドル)
1月10日
16:00 11月 鉱工業生産 前月比 (10月 -0.4%)
16:00 11月 鉱工業生産 前年同月比 (10月 1.1%)
16:00 11月 失業率 (10月 8.5%)
トルコ中銀金融政策委員会予定
1月25日、2月22日、3月21日
注:ポイント要約は編集部
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