ドル円見通し 昨年11月からの下げ幅に対して凡そ4割を戻す(24/1/5)

ドル円は1月2日から4日へ3連騰の大幅上昇となり4日深夜高値で144.84円を付けて12月28日安値140.24円からの上げ幅は4.60円に拡大した。

ドル円見通し 昨年11月からの下げ幅に対して凡そ4割を戻す(24/1/5)

ドル円見通し 昨年11月からの下げ幅に対して凡そ4割を戻す

〇ドル円、1/4深夜高値144.84を付け、12/28安値140.24からの上げ幅は4.60円に拡大、1/2から3連騰
〇11/13高値151.90から12/28安値までの下げ幅は11.66円となったが、1/4高値までで凡そ4割を戻す
〇ポンド円・ユーロ円・豪ドル円も上昇し、円の独歩安の様相
〇失業保険申請件数は改善、ADP雇用者数は予想を上回る、今夜の雇用統計に注目集まる
〇米長期債利回りは労働市場関連統計が強めだったことで総じて上昇、ダウ反落、ナスダックは続落
〇144円以上での推移中は一段高余地ありとし、145円超えからは146円を目指す上昇を想定する
〇144円割れからは、143円台序盤(143.25から143.00)への下落を想定する

【概況】

ドル円は1月2日から4日へ3連騰の大幅上昇となり4日深夜高値で144.84円を付けて12月28日安値140.24円からの上げ幅は4.60円に拡大した。4日夜の米新規失業保険申請件数の改善やADPによる民間雇用者数が予想を超える増加となったことで米国の利下げ開始時期が後ずれするとの見方もあり米長期債利回りが上昇してドル円を押し上げた。

11月13日高値151.90円で2022年10月21日高値151.94円へ迫ったところから下落に転じて12月28日安値までの下げ幅は11.66円となったが、1月4日高値まで凡そ4割を戻したこととなる。2022年10月21日からの下落は2023年1月16日安値127.22円まで続いて下げ幅は24.73円となり、途中では2022年11月15日安値137.74円から11月21日高値142.25円まで4.51円の戻りを入れてから一段安しているため、現状も同様の反発として戻り一巡から下落再開ヘ進む可能性もあるだろうが、日足終値ベースでは26日移動平均を上抜き返していること、クロス円全般が大幅上昇して円の独歩安感も強まり始めているため、11月13日からの下げ幅に対する半値戻しラインの146.07円超えを試す可能性も出てきてるのではないかと思われる。いずれへ向かうのか、今夜の米雇用統計がカギとなりそうだ。

【円の独歩安】

クロス円全般が大上昇している。ポンド円は1月3日未明安値178.73円から5日未明高値183.78円へ急伸、ユーロ円は2日深夜安値155.08円から5日未明高値158.58円へ急伸して12月7日以降の高値を更新、豪ドル円も97円台序盤へ上昇して2日午前安値95.84円以降の高値を更新している。
ユーロドルは4日早朝安値1.0893ドルから4日夜高値1.0972ドルへ上昇してからやや下げているものの年末からの下落が落ち着いており、ポンドドルも3日未明へ下げた後は戻している。必ずしもドル全面高が続いているわけではないが、欧州のインフレ指標が予想外に高く利下げ期待が遠のいていることで米長期債利回りとともに独長期債等の利回りも上昇している。1月4日に発表された仏12月CPI上昇率は前年比4.1%で11月の3.9%から加速し、独12月CPIも11月の2.3%から3.8%へ伸びた。
一方で能登半島大地震の影響でマイナス金利解除が先延ばしとなる可能性が高まってきていることもあり、日米及び日独の長期金利差再拡大による円安感が強まっている印象だ。

【失業保険申請件数が改善、ADP雇用者数は予想を上回る】

米労働省による新規失業保険申請件数は12月30日までの週間で前週比1万8000件減の20万2000件となり3週ぶりの改善で市場予想の21万6000件を下回って昨年10月中旬以来の低水準となった。失業保険受給者総数は12月23日までの週間で185万5000人となり前週から3万1000人減少して市場予想の188万3000人を下回った。
米民間雇用サービス会社ADPによる12月の非農業部門民間就業者数は前月比16万4000人増で市場予想の11万5000人増及び11月の10万1000人(速報の10万30000人から下方修正)を上回り昨年8月以来の大幅増となった。
これらは米労働市場の堅調さを示すものとして米FRBの政策金利据え置きが長引く可能性を意識させて米長期債利回り上昇とドル円の上昇に寄与した。

今夜は米労働省による12月雇用統計の発表があり、市場の事前予想では非農業部門雇用者数が11月の19.9万人増を下回る17.0万人増と見込まれ、失業率は11月月の3.7%から3.8%へ悪化すると見込まれている。平均時給も前月比及び前年比で11月から若干低下すると予想されている。予想よりも強めならドル高円安へ、予想を下回る低調さならドル円の上昇が一巡して下落に転じるきっかけとなることも考えられる。

【米10年債利回りは上昇、ダウ反落、ナスダック続落】

1月4日の米長期債利回りは労働市場関連統計が強めだったことで総じて上昇した。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.08%上昇の4.00%となった。昨年10月23日の5.02%から12月27日に3.78%まで大幅低下したが、その後は下げ過ぎの修正と3月FOMCでの利下げ期待確率が低下したことで戻している。
政策金利動向に敏感な2年債利回りは前日比0.05%上昇の4.39%となった。10月19日の5.26%から12月27日の4.23%まで大幅低下した後は戻している。
米金利先物市場では、1月の政策金利据え置き確率が年末の13%から35%へ上昇、3月利下げ確率は年末に9割まで上昇していたところから6割台へ低下している。
一方でNYダウは前日比10.15ドル高と上昇したが一時は280ドル高まで伸ばしていた上げ幅を削った。ナスダック総合指数は81.91ポイント安となり12月28日から5営業日続落しており、米長期債利回りの反騰と逆相関で売られている。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は12月29日未明安値で140.24円を付けて11月13日高値151.90円以降の最安値としたところを当面の底として反騰入りしている。1月4日未明高値143.72円から4日午前安値142.83円まで反落したところを押し目として一段高しており、今夜の米雇用統計を通過して続伸する場合は8日夜から10日深夜にかけての間へ高値試しを続けやすくなるとみるが、144円割れからは下向きとし、米雇用統計から下落に転じる場合は9日午前から11日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では1月2日夜に遅行スパンが好転して先行スパンも突破したが、その後も両スパンそろっての好転を維持しているため、遅行スパン好転中は高値試し優先とする。遅行スパンが悪化するところからはいったん下げに入るとみて安値試し優先とするが、その後に遅行スパンが好転するところからは上昇再開として高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は1月4日未明に80ポイントを超えてからも50ポイント以上を維持しているが、相場の一段高に対して指数のピークが切り下がる弱気逆行の気配がみられる。60ポイント以上での推移中は上向きとするが、60ポイント割れからは下向きとし、50ポイント割れからはいったん下げに入るとみて30ポイント台への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、144.00円を下値支持線、145.00円を上値抵抗線とする。
(2)144円以上での推移中は一段高余地ありとし、145円超えからは146円を目指す上昇を想定する。146円前後は反落警戒とするが、144.50円以上での推移か直前高値から1円を超える反落が発生しないうちは週明けも高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)144円割れからは143円台序盤(143.25円から143.00円)への下落を想定する。143円台序盤は買い戻しも入りやすいとみるが、144円を割り込んでの推移なら週明けも安値試しを続けやすいとみる。

【当面の予定】

1/5(金)
14:00 (日) 12月 消費者態度指数・一般世帯 (11月 36.1、予想 36.5)
16:00 (独) 11月 小売売上高 前月比 (10月 1.1%、予想 -0.1%)
16:00 (独) 11月 小売売上高 前年同月比 (10月 -0.1%、予想 -0.5%)
19:00 (欧) 12月 HICP(消費者物価指数)・速報値 前年同月比 (11月 2.4%、予想 3.0%)
19:00 (欧) 12月 コアHICP・速報値 前年同月比 (11月 3.6%、予想 3.5%)
19:00 (欧) 11月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (10月 0.2%、予想 -0.1%)
19:00 (欧) 11月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (10月 -9.4%、予想 -8.7%)

22:30 (米) 12月 非農業部門就業者数 前月比 (11月 19.9万人、予想 17.0万人)
22:30 (米) 12月 失業率 (11月 3.7%、予想 3.8%)
22:30 (米) 12月 平均時給 前月比 (11月 0.4%、予想 0.3%)
22:30 (米) 12月 平均時給 前年同月比 (11月 4.0%、予想 3.9%)
24:00 (米) 11月 製造業新規受注 前月比 (10月 -3.6%、予想 2.1%)
24:00 (米) 12月 ISM非製造業景況指数 (11月 52.7、予想 52.6)


注:ポイント要約は編集部

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