ユーロドルは雇用統計日のレンジ内での動きか
〇先週のユーロドル、ドル高(ユーロ安)と円安(ユーロ高)で相殺、値幅は小さめの年明けスタートに
〇ECBの利下げ回数、昨年末の最大7回から現状は最大6回へと、FRB同様コンセンサスに若干の見直し
〇利下げに転じるタイミングが4月からなら、ややドル売り・ユーロ買いのバイアスが入りやすい
〇金曜日のレーンECB理事講演での発言内容が、今年最初の判断ポイントになるか
〇テクニカルには11月安値からの上昇トレンド継続
〇米雇用統計時の安値も11月安値と12月安値を結んだサポートライン上で下げ止まる
〇ユーロ円、今週中は157円〜159円でのレンジ内の動きを見る
〇今週は1.0875レベルをサポートに、1.1000レベルをレジスタンスとする流れを見る
今週の週間見通しと予想レンジ
今週からユーロの週報も再開となります。今年もよろしくお願いいたします。
先週のユーロドルはドル高(ユーロ安)と円安(ユーロ高)とで相殺した面もあり、値幅は小さめの年明けスタートとなりましたが、長期的には米国が3月から緩和に転じるコンセンサスの中でECBがいつ緩和に転じるのか、その見方によって当面のユーロドルの見方を考えることになります。
昨年末の時点ではFRBが7回利下げ、現状は6回利下げをコンセンサスとしているのと同様に、ECBの利下げも昨年末の最大7回から現状は最大6回へと若干見直しが入っています。ただ、FRBもECBも同じペースで利下げが進むのであれば金利差は変わらず、現在のままとなりますので、そうした点ではドル円でのドル売り思惑のような方向性は出にくい印象です。
ただ、ECBがFRB同様の利下げの回数に達するのかは12月の理事会の声明からはやや考えにくいこともあり、FRBより1、2回少ない利下げと利下げに転じるタイミングも3月ではなく、4月からだとするとややドル売り・ユーロ買いのバイアスが入りやすいと言えそうです。また日米金利差ほど長期的な米独金利差とユーロドルとの相関は高く無いため、まずは1月のECB理事会での声明と総裁会見を見た上で方針を立てたいという市場参加者は多そうな印象です。
なお今週はユーロ圏からの指標や発言では目立ったものは少ないのですが、金曜にエコノミストのレーンECB理事の講演がありますので、最初の判断ポイントとしては同理事の発言内容を確認するところがスタートとなりそうです。
テクニカルには日足チャートをご覧ください。
テクニカルには11月安値からの上昇トレンドを継続していて、米国雇用統計時の安値(ドル高値)も11月安値と12月安値を結んだサポートライン上で下げ止まりました。短期的には12月高値と雇用統計安値との半値戻し1.1007を戻りの限界点として見てよさそうですが、下値はサポートラインが比較的近いことから、やはり今週は雇用統計安値を参考にしたほうがよさそうです。
今週は1.0875レベルをサポートに、1.1000レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
今週のコラム
今年も最初はユーロ円の日足チャートを見ておきましょう。
年明け後の円安の動きでもほぼ11月高値と12月安値の半値戻しで上値を抑えられましたので、引き続き159円は当面のレジスタンスと見てよいのですが、難しいのは下値です。
まだ押し目買いを考える向きの方が多そうですが、いったん下押しすると考えるとこれまでの1月安値と高値の半値押しとなる157.03がターゲットとなりそうです。今週中ということであれば、157〜159円でのレンジ内の動きを見ておきたいと思います。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
1月8日(月)
16:00 ドイツ11月製造業新規受注、貿易収支
19:00 ユーロ圏11月小売売上高
19:00 ユーロ圏12月消費者信頼感
1月9日(火)
09:01 英国12月小売売上高
16:00 ドイツ11月鉱工業生産
16:45 フランス11月貿易収支
19:00 ユーロ圏11月失業率
26:30 フランス中銀総裁講演 ☆
1月10日(水)
16:45 フランス11月鉱工業生産
1月11日(木)
22:30 米国12月CPI ☆
1月12日(金)
16:00 英国11月鉱工業生産、貿易収支
16:45 フランス12月CPI
21:30 レーンECB理事講演 ☆
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
ドル円同様今週は昨年末から年明けの動きをまとめて振り返りたいと思います。
12月末までの動きはドル円と同様で米金利低下とともにドル売り・ユーロ買いの動きが目立ち、1.1139レベルの高値をつけたあとは年末に向けての調整でやや押して2023年を終えました。
年明けも基本的な動きは米金利上昇によるドル買い・ユーロ売りという部分は変わりませんが、能登半島地震の影響でドル円とともにユーロ円でも円売りが強まったため、ユーロドルは比較的底堅い動きになりました。ドル円の値幅が4円88銭にも達したのに対して、ユーロドルは188pipsに留まっていることからもわかります。いっぽうでユーロ円は4円近い値幅となり、一時159.00の高値をつけました。
ディスクレーマー
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