ドル円 目先の高値を見てもみあいへ(週報1月第2週)

大きくは143〜146の内側での動きを考えることとなります。

ドル円 目先の高値を見てもみあいへ(週報1月第2週)

目先の高値を見てもみあいへ

〇ドル円、大地震の影響で日銀の出口戦略が遅れ、日米金利差縮小ペースが弱まるとして反発上昇に繋がる
〇米雇用統計後146円目前まで上昇するも、行き過ぎ感で145円より上ではドル売りオーダーが入る状況
〇米利下げ回数思惑が昨年末の7回から6回へと減少するも、市場のコンセンサスは3月からの利下げ
〇日米金利差縮小によるドル安・円高は既定路線
〇昨年高値と12月安値の半値戻し146.06が当面の高値か。大きくは143〜146の内側での動きに
〇今週は143.50レベルをサポートに145.50レベルをレジスタンスとする流れを見る

今週の週間見通し

今週から為替の週報が再開となります。今年もよろしくお願いいたします。
また能登半島地震で被災された方、お知り合いが被災された方には心よりお見舞い申し上げます。


年末のドル円の動きについては先週の概況に書いた通りですが、12月末までは米国の利下げペースが速まるとの思惑から金利低下とドル安、年明けはその動きが逆回転して金利上昇とドル高という動きに年初の日本における大地震の影響から日銀の出口戦略に遅れが生じるとの見方から日米金利差の縮小ペースが弱まることがドル円反発上昇につながったと言えます。

水準的にも昨年最終週に140円の大台間近までドル円が下げたものの、大台割れではドル買いオーダーも控えていて反発、いっぽうで雇用統計後に146円目前まで上昇した動きも行き過ぎ感があり、145円よりも上ではドル売りオーダーが入ってきているという状況です。

昨年は日米金利差拡大によるドル高・円安だったものが、今年は直近では米国の利下げ回数に対する思惑が昨年末の7回から6回へと減ったものの、依然としてFRBの金利見通しより利下げ織り込み度は大きく、また日銀も地震の影響で遅れたとしても年後半には0.25〜0.5%程度まで金利が正常化する可能性は高く、日米金利差縮小によるドル安・円高は既定路線であると考えられます。

年初こそ反発が目立ったものの、ドル円の戻りでは金曜のように着実にカウンターで売りが出てくる流れに変化は無いと見ています。参考にドル円週足チャートに日米10年債利回り差をオーバーレイしたチャートをご覧ください。

目先の高値を見てもみあいへ

ローソク足がドル円(左軸)、オレンジのラインが日米10年債利回り差(右軸)となっていますが、ほぼ同じ動きをしていることがわかります。サブチャートに示した相関係数もほとんどの期間で0.8(赤の水平線)を超える強い相関を示しています。

また縦のラインは2022年3月からのFOMC開催週で緑が引き締め局面、ピンクが現状維持局面をそれぞれ示しています。2024年1月と3月は現状維持局面としていますが、市場のコンセンサスは3月からの利下げです。今後FRBの見方が市場のコンセンサスに寄せてくる可能性は高そうですから、この点にも注目です。

いずれにしても日米金利差が縮小方向であれば、ドル円はドル安・円高という見方でしばらくは良いということを見てみました。次にテクニカルな観点ですが、こちらはいつもの日足チャートをご覧ください。

年始からの反発は昨年高値と12月安値との半値戻し146.06(赤のターゲット)とほぼ同水準まで戻して反落したことから、当面の高値は見たと考えています。いっぽうで下値は12月安値と先週高値との半値押し143.09(青のターゲット)を考えてよいでしょう。大きくは143〜146の内側での動きを考えることとなります。

今週は143.50レベルをサポートに145.50レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

目先の高値を見てもみあいへ 2枚目の画像

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2024年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

1月8日(月)
**:** 東京市場休場
16:00 ドイツ11月製造業新規受注、貿易収支
19:00 ユーロ圏11月小売売上高
19:00 ユーロ圏12月消費者信頼感
26:30 アトランタ連銀総裁講演

1月9日(火)
08:30 本邦12月東京区部CPI ☆
09:01 英国12月小売売上高
09:30 豪州11月小売売上高、住宅建設許可
16:00 ドイツ11月鉱工業生産
16:45 フランス11月貿易収支
19:00 ユーロ圏11月失業率
22:30 米国11月貿易収支
26:30 フランス中銀総裁講演 ☆

1月10日(水)
09:30 豪州11月CPI
16:45 フランス11月鉱工業生産
24:00 米国11月卸売売上高
24:30 週間原油在庫統計
29:15 NY連銀総裁講演 ☆
30:45 NZ11月住宅毛建設許可

1月11日(木)
09:30 豪州11月貿易収支
14:00 日銀地域経済報告公表
22:30 米国12月CPI ☆
22:30 米国新規失業保険申請数

1月12日(金)
08:50 本邦11月貿易収支
10:30 中国12月CPI ☆・PPI
**:** 中国12月貿易収支
16:00 英国11月鉱工業生産、貿易収支
16:45 フランス12月CPI
21:30 レーンECB理事講演 ☆
22:30 米国12月PPI ☆
24:00 (ミネアポリス連銀総裁講演)

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

さて、今回は年明けの営業日が少なかったこともありますので、昨年末から年明けの動きをまとめて振り返りたいと思います。

昨年12月の最終週は週前半は海外がクリスマス、後半は東京勢が年末年始モードとなり参加者が減少する中で米金利の緩和速度が速まるとの見通しから、米長期金利も3.78%台と7月以来の水準へと低下し、ドル円も一時140円の大台目前の水準まで下げました。FF先物から計算される利下げ織り込み度も2024年末時点で7回の利下げ、つまり3月FOMC以降毎回利下げを織り込む状況となり、その後やや戻したもののドルの上値が重たいままでの年末クローズとなりました。

年明け後の円相場は一転円安へと大きく動くこととなります。能登半島地震の影響から日銀が早期の引き締めは困難になるとの見方が広がり、少なくとも1月の日銀会合では現状維持となるとの思惑から円安へと動いて始まりました。そして続くFOMC議事録では、前回FOMCが思ったよりもタカ派的であると捉えられ、米金利上昇、ドル高へと円一段安の動きを見せました。

そして米国雇用統計は失業率もNFPも予想よりも強かったことからドル高に弾みがつき、一時145.98レベルと年初に水準からほぼ5円も円安を見ることとなりましたが、その後のISMが弱かったこと、東京3連休を前にした週末のポジション調整も入り、143円台後半へと急落後に144円台に戻して引けるという荒っぽい第1週を見ることとなりました。

ディスクレーマー

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