トルコリラ週報:『対円相場・対ドル相場共に史上最安値を更新。続落リスクに要警戒』(12/2朝)

トルコリラの対円相場は週央にかけて史上最安値(5.05円)を記録するなど冴えない動きが続いています。

トルコリラ週報:『対円相場・対ドル相場共に史上最安値を更新。続落リスクに要警戒』(12/2朝)

『対円相場・対ドル相場共に史上最安値を更新。続落リスクに要警戒』

〇今週のトルコ円、週央にかけ史上最安値5.05まで急落
〇ハマス・イスラエル問題からのトルコと欧米との関係悪化懸念、円高進行等が背景
〇売り一巡後は、トルコ指標の改善等で5.09台に値を戻す
〇トルコ円、主要テクニカルポイントの下側で推移、強い売りシグナルも成立、地合い弱い
〇ファンダメンタルズもトルコリラ円相場の更なる下落を連想させる材料が揃う
〇トルコリラ円相場の短期的な下落をメインシナリオとして予想
〇但しトルコリラの下落は、トルコの正常化政策が奏功し徐々に収束し始める可能性が高い
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):5.00ー5.20

今週のレビュー(11/27−12/1)

今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初5.17円で寄り付いた後、早々に週間高値5.19円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(1)ハマス・イスラエル問題に端を発したトルコと欧米諸国との関係悪化懸念や、(2)ドル円相場の冴えない動き(ドル円相場が149.68から146.66へと急落→トルコリラ円連れ安)、(3)トルコリラの実質マイナス金利に着目した構造的なリラ売り圧力、(4)トルコ11月経済信頼感指数(結果95.3、前回96.5)の不冴な結果、(5)テクニカル的な地合いの弱さ(7/18に記録した安値5.09円を下抜けたことに伴う仕掛け的なリラ売り圧力)が重石となり、週央にかけて、史上最安値5.05円まで急落しました(対ドル相場も史上最安値更新)。

もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(6)トルコ10月貿易赤字(結果65.2億ドル赤字、予想67.0億ドル赤字)の市場予想を下回る結果や、(7)トルコ第3四半期GDP(結果+5.9%、予想+3.9%)の市場予想を上回る結果、(8)格付け会社S&Pグローバルレーティングによる「トルコのソブリン格付け見通しを安定的からポジティブに修正する」とのポジティブ発表が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間12/2午前1時45分現在)では、5.09円前後まで持ち直す動きとなっております。

来週の見通し(12/4−12/8)

トルコリラの対円相場は週央にかけて史上最安値(5.05円)を記録するなど冴えない動きが続いています。日足ローソク足が全てのテクニカルポイント(21日移動平均線、90日移動平均線、200日移動平均線、一目均衡表転換線、基準線、雲上下限、ボリンジャーミッドバンド)の下側で推移していることや、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」「弱気のパーフェクトオーダー」「弱気のバンドウォーク」「ダウ理論の下落トレンド」が成立していること、対円・対ドル共に史上最安値を更新していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて弱い」と判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)ハマス・イスラエル問題に端を発した西側諸国との関係悪化懸念や、(2)トルコ経済を巡る先行き不透明感(今週発表されたトルコ11月製造業PMIは前月の48.4から47.2へ急低下)、(3)トルコリラの実質マイナス金利の長期化懸念(トルコ中銀はアグレッシブな利上げスタンスを継続するも、トルコ国内のインフレ水準に追いつかず)、(4)トルコ中銀のハト派的な見解発表(トルコ中銀は先週開催された会合後の声明で「金融引き締めペースを減速し引き締めサイクルを短期間で完了させる」とのハト派的な見解を発表)など、トルコリラ円相場の更なる下落を連想させる材料が揃っています。こうした中、来週は上記3を見極める目的で、12/4に発表されるトルコ11月消費者物価指数や、トルコ11月生産者物価指数に注目が集まります。市場予想を上回る伸び率が示されれば、「トルコリラの実質マイナス金利拡大→リラ売り」の経路で、トルコリラ円相場が一段と値を崩すシナリオも想定されるため、当方では引き続き、トルコリラ円相場の短期的な下落をメインシナリオとして予想いたします。

もっとも、中長期的な視点(向こう3カ月ー1年程度の視点)で見れば、トルコリラの下落基調は年明け以降、徐々に収束し始める可能性が高いと考えられます。エルドアン大統領、シムシェキ財務相、エルカン総裁が進める正常化政策が海外マネーの流入に繋がるシナリオが期待されるからです(上述の通り、格付け会社S&Pグローバルレーティングも、トルコの双子の赤字が抑制されていることを背景に、トルコのソブリン格付け見通しを「安定的」から「ポジティブ」に上方修正)。

事実、欧州資産運用最大手のアムンディ社はトルコリラに対する見通しを「強気方向」に転換しました。また、米大手金融機関のJPモルガン社やゴールドマン・サックス社も、トルコリラの為替フォワード取引や、残存期間1ー10年のトルコソブリン債の推奨を開始しました。下落から上昇へのトレンド転換のタイミングが目前に迫ってきている可能性もあるため、安値圏での突っ込み売りには細心の注意が必要でしょう。

注:ポイント要約は編集部

来週の予想レンジ(TRYJPY):5.00ー5.20

『対円相場・対ドル相場共に史上最安値を更新。続落リスクに要警戒』

トルコリラ円日足

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