トルコリラ円見通し 対ドルでリラ安一服、ドル円の反発で戻す(23/12/1)

トルコリラ円の11月30日は概ね5.14円から5.06円の取引レンジ、12月1日早朝の終値は5.13円で前日終値の5.09円からは0.04円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し 対ドルでリラ安一服、ドル円の反発で戻す(23/12/1)

トルコリラ円見通し 対ドルでリラ安一服、ドル円の反発で戻す

〇トルコ円、11/30午前に5.06を付けて11/29午前安値を割り込み、最安値を更新
〇その後、ドル円の上昇に合わせて深夜には5.14まで戻す
〇対ドル、11/30は概ね28.95から28.54の取引レンジ、11/30は最安値更新を回避
〇昨日発表のトルコ7−9月期GDP、前期比は低調だが前年同期比は市場予想を上回る
〇外貨準備高は増加、新総裁による外貨準備高増強方針で高水準に
〇5.10以上での推移中は一段高余地ありとし、5.15超えからは5.17前後への上昇を想定する
〇5.10割れからは、下げ再開を警戒して5.08前後試しとする

【概況】

トルコリラ円の11月30日は概ね5.14円から5.06円の取引レンジ、12月1日早朝の終値は5.13円で前日終値の5.09円からは0.04円の円安リラ高だった。
ドル/トルコリラにおけるドル高リラ安基調が収まらない中でドル円の下落も重なったためにトルコリラ円は11月29日安値で5.07円を付けて7月18日の史上最安値5.08円を割り込んだ。ドル円は11月29日深夜へ戻してから30日午前へ反落したものの29日安値割れを回避したが、トルコリラ円はドル高リラ安に押し下げられて30日午前に5.06円を付けて29日午前安値を割り込み最安値を更新した。
しかし、11月30日夜の米10月PCEデフレーターがインフレ鈍化傾向を示したものの市場予想と一致したため、当面のインフレ指標とドル売りイベントを通過したとして全般ドル高となり、ドル円が29日深夜高値を超えて148.51円へ高値を伸ばしたため、トルコリラ円もドル円の上昇に合わせて30日深夜には5.14円まで戻した。
12月1日午前序盤は上げ渋っているものの5.12円を買われてしっかりしている。

ドル円の反騰が一時的なものに留まり11月13日以降の下落基調が続くのか、週明けもリバウンドを継続できるのかによりトルコリラ円の動向も左右される。

【対ドルでは最安値更新を回避】

ドル/トルコリラの11月30日は概ね28.95リラから28.54リラの取引レンジ、12月1日早朝の終値は28.85リラで前日終値の28.88リラからは0.03リラのドル安リラ高だった。
11月23日にトルコ中銀が政策金利を5.0%引き上げて40%としたもののドル高リラ安基調は変わらず、11月29日には28.95リラへ取引時間中の史上最安値を更新した。ただ終値ベースでは11月28日終値28.89リラの後は安値更新へ進まずに30日も29日終値に対しては若干のドル安リラ高で終了している。
11月30日はトルコの7−9月GDPが予想を上回ったことや週次の外貨準備高が大幅に増加するなどトルコリラに対するプラス材料もあり、中長期的なリラ安トレンドに変化は見られないものの、短期的にはリラ安に若干ブレーキがかかった印象もある。

【トルコ7−9月期GDP、前期比0.3%増と低調】

11月30日にトルコ統計局が発表した7−9月のトルコ実質GDP成長率は2009年基準で前期比0.3%増となり4−6月期の3.3%増から低下したが、前年同期比は5.9%増で4−6月期の3.9%増から上昇して市場予想の5.6%を上回った。
世帯の最終消費支出は11.2%増、政府最終消費支出は5.3%増となり、業種別では建設が8.1%増と高い伸びを示し、工業は5.7%増、金融保険が5.1%増、サービスが4.3%増、不動産は2.7%増だった。
前年同期比は2023年7−9月期が4.1%で同年4−6月期の7.6%から大きく低下していたため、同期比較でやや押し上げられた側面もある。7-9月期以降は4.1%、3.3%、4.0%、3.9%と低迷してきたが、前期比の鈍化を踏まえれば2023年7−9月期で5.9%へ上昇したことで低迷期から脱却したと判断するのは時期尚早と思われる。
トルコ中銀が11月までに6会合連続利上げを行い政策金利が8.5%から40.0%へ上昇し、7月には増税ラッシュがあったことを踏まえると、10-12月期はそれらの影響で減速するのではないかとの見方もある。

トルコリラ円見通し 対ドルでリラ安一服、ドル円の反発で戻す

12月4日にトルコの11月消費者物価指数と生産者物価指数の発表があるが、11月30日に発表された10月のS−PPI(サービス業生産者物価指数)は前月比1.21%上昇、前年同月比は76.99%だった。2022年10月に104.28%以降はやや低下しているものの依然として高水準にある。

【外貨準備高が増加】

トルコ中銀が発表した週次の外貨準備高は11月25日時点のグロスで910億ドルとなり11月17日時点の892.3億ドルから大幅に増加し、ネットでは358.1億ドルとなり11月17日時点の289.9億ドルから大幅に増加した。
ネットの外貨準備高は中銀が外貨準備を取り崩して為替市場介入を繰り返したことにより2023年6月序盤にマイナス57億ドルまで悪化したが、エルドアン大統領再選後に就任したエルカン新総裁による外貨準備高増強と市場介入を行わない方針で改善しており、2021年11月の326.4億ドルを超えて2020年3月以来の高水準に達した。グロスでも2017年11月以来の高水準へ回復してる。
外貨準備高の増加は中長期的にトルコ金融政策への信頼感を高めるものとしてトルコリラの下落基調に対するブレーキ役となるが、高インフレ率が政策金利を大幅に上回る実質マイナス金利状態を背景として8月末からのドル高リラ安基調はまだ続いており、年末には1ドル30リラへ到達するのではないかとの見方も有力だ。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、11月29日午前に史上最安値を更新してから深夜へ戻し、30日午前序盤に一段安したために直近のサイクルボトムを11月29日午前安値として底割れからは新たな弱気サイクル入りとし、強気転換は11月29日深夜高値超えからとした。
11月30日午前に29日午前安値を割り込んだが、その後の反騰で29日深夜高値を超えたため、30日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、サイクルトップ形成期を11月30日深夜から12月4日にかけての間とする。まだ一段高余地ありとするが、すでに反落警戒期にあるとみて5.10円割れを弱気転換注意とし、5.08円割れからは新たな弱気サイクル入りとして5日午前から7日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では11月30日深夜への上昇で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いた。その後も両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は下落再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は11月30日深夜の上昇時に70ポイントを超えたがその後に60ポイントを割り込んでいる。50ポイント以上を維持するうちは一段高余地ありとするが、相場が高値を切り上げる際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合は反落警戒とし、50ポイント割れから続落し始める場合は下落再開とみて30ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.10円を下値支持線、5.15円を上値抵抗線とする。
(2)5.10円以上での推移中は一段高余地ありとし、5.15円超えからは5.17円前後への上昇を想定する。5.17円以上は反落注意とするが、5.10円を上回っての推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)5.10円割れからは下げ再開を警戒して5.08円前後試しとするが、円高が勢い付く場合等には5.06円前後へ下値目途を引き下げる。5.0.8円を割り込んだ後も5.10円以下での推移なら週明けも安値試しへ進みやすいとみる。

【当面の主な予定】

12月1日
 16:00 11月 イスタンブール製造業PMI (10月 48.4)
12月4日
 16:00 11月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (10月 3.43%、予想 3.9%)
 16:00 11月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (10月 61.36%、予想 63.00%)
 16:00 11月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (10月 1.94%)
 16:00 11月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (10月 39.39%)
12月7日
 20:30 週次 外貨準備高 12月1日時点 グロス (11月25日時点 910億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 12月1日時点 ネット (11月25日時点 358.1億ドル)



注:ポイント要約は編集部

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