トルコリラ円見通し 円高とリラ安で史上最安値更新(23/11/30)

トルコリラ円の11月29日は概ね5.12円から5.07円の取引レンジ、30日早朝の終値は5.09円。小数点下三桁では5.086円で前日終値の5.094円からは若干の下落となった。

トルコリラ円見通し 円高とリラ安で史上最安値更新(23/11/30)

円高とリラ安で史上最安値更新

〇昨日のトルコ円、ドル円の146円台下落に合わせ5.07へ下落、7/18の史上最安値5.08割り込む
〇その後ドル円の反発に深夜5.12まで戻すもドル円が147円を再び割り込んだところで5.07割り込む
〇対ドル、11/29は概ね28.95から28.68の取引レンジ、本日午前序盤に史上最安値更新
〇今夜の米10月PCEデフレーターを受けドル円一段安の場合、トルコ円も大きな売り圧力となるか
〇12/4発表のトルコ11月CPI、事前予想は前年比63%へ加速
〇11月トルコ貿易赤字、前月より拡大して65.2億ドル、本日は7-9月期GDP発表
〇5.10から5.12にかけての水準は戻り売りにつかまりやすいとみる
〇5.05割れからは5.03、5.00を順次試す下落を想定

【概況】

トルコリラ円の11月29日は概ね5.12円から5.07円の取引レンジ、30日早朝の終値は5.09円。小数点下三桁では5.086円で前日終値の5.094円からは若干の下落となった。
ドル高リラ安が収まらない中でドル円が11月13日夜高値を起点として下落基調にあり、11月29日はドル円が午前に146円台へ下落したところで5.07円(ベンダーによっては5.05円)へ下落して7月18日の史上最安値5.08円を割り込んだ。
ドル円が29日深夜にかけて148円へ迫る反発となり、トルコリラ円も5.12円まで戻したが、ドル円が戻り売りにつかまって30日午前に147円を再び割り込んだところでトルコリラ円は5.07円を割り込んでいる。

【ドル円は11月21日安値を割り込んで一段安】

ドル円は11月13日夜に151.90円を付けて年初来高値としたが、昨年10月21日高値151.94円を超えず、米国のインフレ鈍化傾向が顕著となったことで米長期債利回りが低下に転じた流れを見て11月21日安値147.15円まで下げた。いったん売られ過ぎの反動で11月23日未明高値149.74円まで戻したものの27日に149円を割り込んで下落再開に入り、11月29日午前には146.67円を付けて11月21日安値を割り込んだ。
米10年債利回りは10月23日の5.02%をピークに低下へ転じ、11月29日には3営業日続落で4.25%まで低下している。市場では早ければ来年3月にも利下げ議論に入るとの見方が出始めて全般的なドル安感が強まっているが、ドル円は152円手前まで上昇したことでいったん仕切り直しの円高期に入ったところで米長期債利回りが大幅に低下したことで円高継続感が強まっている印象だ。今夜の米10月PCE(個人消費支出)デフレーターがインフレ鈍化を顕著にすればドル円も一段安しかねず、トルコリラ円にも大きな売り圧力となりかねないと注意したい。

【対ドルでは11月30日午前序盤に史上最安値更新】

ドル/トルコリラの11月29日は概ね28.95リラから28.68リラの取引レンジ、30日早朝の終値は28.88リラで前日終値の28.89リラからは0.01リラのドル安リラ高だった。
8月24日のトルコ中銀による7.5%利上げをきっかけとした一時的なリラ買いで反騰したものの、8月25日からドル高リラ安が再開して9月22日以降は繰り返し史上最安値を更新してきた。直近では11月27日に続いて28日に28.94リラへ取引時間中の史上最安値を更新し、終値ベースでは28日終値で最安値を更新した。
11月29日は新たな最安値更新には至らなかったものの最安値近辺にとどまり、11月30日午前序盤には28.95リラを付けて取引時間中の史上最安値を更新している。
11月23日にトルコ中銀が6月からの6会合連続利上げで政策金利を5.0%引き上げて40%としたものの、リラ買いは限定的で翌日には史上最安値を更新しており、年末に向けて1ドル30リラへの下落基調が続くとのコンセンサスに沿った動きが続いている。

【12月4日のトルコ11月CPI、事前予想は前年比63%へ加速】

12月4日にトルコの11月CPI(消費者物価指数)とPPI(生産者物価指数)の発表がある。11月29日にまとめられた市場の事前予想ではCPI前月比が10月の3.43%から11月は3.90%へ加速、前年同月比も10月の61.36%から63.00%へ加速すると見込まれている。
前年同月比の予想レンジは61.60%から64.08%、前月比の予想レンジは3.00%から4.62%と幅広い。トルコのインフレ率はまだピークを付けていないとみられ、トルコ中銀によるビジネスサーベイにおけるエコノミストらの予想中央値は67.23%(10月時点では68.01%)であり、11月に続いて12月もまだ上昇すると思われる。
問題は2024年に入って連続利上げによる引き締め効果や世界全般のインフレ頭打ちによりトルコのインフレも鈍化傾向へ進めるかどうかということであり、インフレ鈍化が顕著になれば40%まで引き上げられてきた高金利も踏まえて史上最安値更新を続けてるトルコリラに対する売られ過ぎ感と先行きの反騰期入りへの期待感が強まることも考えられるが、インフレが収まらなければ政策金利40%ではまだ低いとして利上げ催促的なリラ売りが勢いを増すことも警戒される。

【11月トルコ貿易赤字は65.2億ドル】

11月29日にトルコ統計局が発表した10月貿易統計確報では、貿易赤字は65.2億ドルとなり赤字は9月の50.1億ドルから拡大した。11月6日に貿易省が発表した速報の赤字額67億ドルを若干下回ったが市場の反応は鈍かった。輸出は229億ドルで9月の225億ドルから若干増、輸入は9月の275億ドルから294億ドルへ拡大した。
11月29日に発表された11月の経済信頼感指数は95.3となり10月の96.5から悪化した。8月に94.1へ低下してからやや持ち直していたが再び失速している。
11月30日は7-9月期トルコGDP発表がある。事前予想では前期比が4-6月期のマイナス0.1%かラプラス3.5%へ改善し、前年同期比は4-6月期の3.8%から改善して5.6%増と予想されている。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、11月23日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして27日の日中から28日夕にかけての間への下落を想定し、11月28日午前時点では24日午後安値を起点としてボトム形成期が延びる可能性があるとした。
11月29日午前に史上最安値を更新してから深夜へ戻し、30日午前序盤に一段安しているため、直近のサイクルボトムを11月29日午前安値とし、29日深夜高値でサイクルトップを付けて新たな弱気サイクル入りしたとみて12月4日午前から6日午前にかけての間への下落を想定する。現状からの強気転換は11月29日深夜高値5.12円を超えるところからとする。

60分足の一目均衡表では11月23日夜高値からの下落で遅行スパンが悪化し、27日の続落で先行スパンからも転落したが、その後も両スパンそろっての悪化が続いているので遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。先行スパンからの転落が続くうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とする。強気転換は先行スパンを上抜き返すところからとする。

60分足の相対力指数は11月29日夜の上昇時に60ポイントへ迫ったものの30日午前には30ポイント台へ失速している。戻り一巡から一段安しているため10ポイント台への低下を想定する。強気転換には55ポイントを超えてその後も50ポイント以上を維持する反騰が必要と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.05円を下値支持線、5.12円を上値抵抗線とする。
(2)5.10円から5.12円にかけての水準は戻り売りにつかまりやすいとみる。
(3)5.05円割れからは5.03円、5.00円を順次試す下落を想定する。5.02円以下は反騰注意とするが、5.10円以下での推移なら12月1日も安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な予定】

11月30日
 16:00 7-9月 GDP 前期比 (4-6月 3.5%)
 16:00 7-9月 GDP 前年同期比 (4-6月 3.8%、予想 5.6%)
 20:30 週次 外貨準備高 11月25日時点 グロス (11月17日時点 892.3億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 11月25日時点 ネット (11月17日時点 289.9億ドル)
12月1日
 16:00 11月 イスタンブール製造業PMI (10月 48.4)
12月4日
 16:00 11月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (10月 3.43%、予想 3.9%)
 16:00 11月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (10月 61.36%、予想 63.00%)
 16:00 11月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (10月 1.94%)
 16:00 11月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (10月 39.39%)


注:ポイント要約は編集部

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