トルコリラ円見通し 対ドルでのリラ安継続とドル円の反落で最安値に迫る(23/11/28)

トルコリラ円の11月27日は概ね5.18円から5.13円の取引レンジ、28日早朝の終値は5.13円で先週末終値の5.18円からは0.05円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し 対ドルでのリラ安継続とドル円の反落で最安値に迫る(23/11/28)

トルコリラ円見通し 対ドルでのリラ安継続とドル円の反落で最安値に迫る

〇トルコリラ円、11/27は午前からドル円が下落したことで、午後に5.15を割り込む
〇11/28午前序盤には5.13円を割り込む、戻り一巡から下げ再開に入っている印象
〇対ドル、11/27は概ね28.92から28.69の取引レンジ、取引時間中・終値ベースともに史上最安値更新
〇トルコへの海外投資、トルコ中銀の外貨準備高の増加で立ち直りを見せるか
〇5.16円えからは、5.18への上昇を想定する
〇5.11割れからは、5.08前後への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の11月27日は概ね5.18円から5.13円の取引レンジ、28日早朝の終値は5.13円で先週末終値の5.18円からは0.05円の円高リラ安だった。
8月24日のトルコ中銀による7.5%利上げをきっかけとした一時的な急伸で5.77円へ上昇したものの、その後はドル高リラ安の継続に圧迫され、ドル円が152円手前で頭打ちとなり円安による支えが効かなくなる中で徐々に7月18日に付けた史上最安値5.08円へ迫ってきている。

ドル円は米国の利上げ終了感と米長期債利回り低下及び全般のドル安を見て11月13日夜高値151.90円から11月21日夕安値147.15円まで大幅下落し、当面の円買いドル売りが一巡したとして11月23日未明高値149.74円まで戻したが、25日早朝にかけては149.50円を挟んだ三角持ち合いにつかまり、週明けの27日は午前から円買いドル売りが再開して三角持ち合いから下放れに入り、28日午前には148.10円割れへ続落して下落再開感が優勢となりつつある。

トルコリラ円はドル円の11月13日夜から11月21日への大幅下落時に11月21日安値5.11円(ベンダーによっては5.09円)へ下落し、ドル円の反発とトルコ中銀による5%追加利上げにより5.20円まで戻したが、ドル円が149.50円を挟んだ持ち合いとなる中でトルコリラ円の戻りも頭打ちとなり、5.18円近辺での膠着状態で先週を終えていた。
週明けの11月27日は午前からドル円が下落したことで午後には5.15円を割り込み、28日午前序盤には5.13円を割り込んでいる。すでに11月21日からの戻り幅の過半を解消しており、戻り一巡から下げ再開に入っている印象だ。

【対ドルでは11週連続で史上最安値更新】

ドル/トルコリラの11月27日は概ね28.92リラから28.69リラの取引レンジ、28日早朝の終値は28.88リラで先週末終値の28.86リラからは0.02リラのドル高リラ安だった。
米国の利上げ終了感により為替市場は概ねドル安で推移しているが、トルコリラは高インフレが収まらず利上げが追い付かないことによりリラ安が長期化している。
週間では8月末から先週まで13週連続のドル高リラ安となり、9月後半から10週連続で史上最安値を更新してきたが、週明けの27日も取引時間中の史上最安値を28.92リラへ更新、終値ベースでも最安値を更新しており、11週連続での最安値更新に入っている。

【トルコへの海外投資で立ち直りを見せるか】

トルコ中銀は11月23日に市場予想の2.5%利上げの倍となる5.0%の追加利上げを決定して政策金利を40.0%へ引き上げた。発表直後にはリラ買いの動きも見られたが、8月24日に7.5%の超大幅利上げを決定した時のようなサプライズ感はなく、8月末からのリラ安基調は継続と受け止められて史上最安値更新を繰り返している。インフレ率が60%を超える状況では政策金利が40%となっても実質的にマイナス金利状態に変わりはなく、リラ安が落ち着く見通しはまだ低い。
しかし、最近ではトルコ中銀の外貨準備高の増加、UAEによるトルコへの投資が年末までにまとまるのではないかとの報道もあり、来年に入って高インフレが落ち着けばこれまでの利上げ効果が再認識されてリラ安が落ち着き、景気テコ入れが成功すれば外資によるトルコへの投資意欲が回復し、リラ安からリラ高へと基調が変わる可能性も考えられる。

高金利通貨としての魅力も再評価されれば、リラが史上最安値水準にあるうちに買いポジションを作りたいという思惑も徐々に強まる可能性もあるだろう。ほぼ一本調子でのドル高リラ安に変化の兆しがみられるのか、年末にかけて注目したいところだ。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、11月21日夕安値をサイクルボトムとして21日未明から23日未明にかけての間への上昇を想定してきたが、11月23日夜へ高値を切り上げてから反落して前回サイクルトップからも5日以上を経過したため、27日午前時点では23日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして27日の日中から28日夕にかけての間への下落を想定した。
11月28日午前へ続落しているが、24日午後安値を起点としてボトム形成期が29日午後から12月1日午後にかけての間へ延びる可能性があると注意する。強気転換には5.16円を超える反騰が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では11月23日夜高値からの下落で遅行スパンが悪化し、27日の続落で先行スパンからも転落したため、遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。先行スパンからの転落が続くうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は11月28日午前に30ポイントを割り込んでいるため、20ポイント以下への下落余地ありとみる。強気転換は50ポイント超えからとする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.11円を下値支持線、5.16円を上値抵抗線とする。
(2)5.16円手前は戻り売りにつかまりやすいとみる。5.16円超えからは5.18円への上昇を想定するが、その後の反落注意とする。
(3)5.11円割れからは5.08円前後への下落を想定する。5.08円以下は反騰注意とするが、5.15円以下での推移が続く場合や直前安値から0.03円を超える反発がみられないうちは29日も安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な予定】

11月29日
 16:00 10月 貿易収支確報 (9月 -50.1億ドル)
 16:00 11月 経済信頼感指数 (10月 96.5)
11月30日
 16:00 7-9月 GDP 前期比 (4-6月 3.5%)
 16:00 7-9月 GDP 前年同期比 (4-6月 3.8%、予想 5.6%)
 20:30 週次 外貨準備高 11月25日時点 グロス (11月17日時点 892.3億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 11月25日時点 ネット (11月17日時点 289.9億ドル)
12月1日
 16:00 11月 イスタンブール製造業PMI (10月 48.4)
12月4日
 16:00 11月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (10月 3.43%)
 16:00 11月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (10月 61.36%)
 16:00 11月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (10月 1.94%)
 16:00 11月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (10月 39.39%)


注:ポイント要約は編集部

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