『実質金利低下の影響で南アランドは約1ヵ月ぶり安値圏へ急落』
○今週の南ア円、週明け早々に8.17まで上昇後、週末にかけて7.89まで下落
○南ア中銀の3会合連続での政策金利据え置きなどを背景とした、実質金利低下などが重石
○日足ローソク足が主要テクニカルポイントを下抜けするなど、地合い悪化を強く印象付けるチャート形状
○ファンダメンタルズも、南アおよび中国経済の先行き不透明感など、下落を連想させる材料揃う
○南アランド円相場の見通しを、従来までの「ブル」から「ベア」へと変更
○来週の予想レンジ(ZARJPY):7.80ー8.05
今週のレビュー(11/20−11/24)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初8.14円で寄り付いた後、(1)米金利低下に伴うドル売り圧力や、(2)上記1を背景とした伝統的金融市場のリスクオン再開(新興国通貨に上昇圧力)、(3)金・プラチナ価格の堅調推移(南アフリカの交易条件改善期待)が支援材料となり、週明け早々に、週間高値8.17円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)米感謝祭を控えたポジション調整や、(5)南ア10ー12月期BER企業信頼感指数(結果+31、予想+37、前回+33)の冴えない結果、(6)南ア10月消費者物価指数(結果+5.9%、予想+5.6%)および、同コア指数(結果+4.4%、予想+4.2%)の市場予想を上回る結果、(7)南アフリカ中銀による3会合連続での政策金利据え置き決定、(8)上記6、7を背景とした南アランドの実質金利低下、(9)米金利上昇に伴うドル買い圧力(南アフリカから米国への資金流出懸念)が重石となり、週末にかけて、週間安値7.89円(10/26以来の安値圏)まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間11/25午前4時45分現在)では、7.93円前後で推移しております。
来週の見通し(11/27−12/1)
南アランドの対円相場(ZARJPY)は、11/16に記録した年初来高値8.33円(昨年9/13以来、約1年2ヵ月ぶり高値圏)をトップに反落に転じると、今週末にかけて、一時7.89円まで下落しました。この間、日足ローソク足が主要テクニカルポイント(一目均衡表転換線、基準線、21日移動平均線、ボリンジャーミッドバンド)を下抜けした他、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」も消失するなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化を強く印象付けるチャート形状となりつつあります。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)南アフリカ経済の先行き不透明感(今週発表された南ア10ー12月期BER企業信頼感指数の不冴な結果)や、(2)中国経済の先行き不透明感、(3)米FRBによる金融引き締め長期化観測(今週発表された米FOMC議事要旨がタカ派的な内容となった他、米11月ミシガン大消費者期待インフレ率も市場予想を上回る結果→米長期金利の反転上昇→新興国通貨に下押し圧力)、(4)南ア中銀による金融引き締め終了の思惑(今週発表された南アCPIは市場予想を上回る結果となったが、南ア中銀は3会合連続での政策金利据え置きを決定→来年早々には利下げ開始の可能性もあり→南アランドの実質金利に低下圧力)など、南アランド円相場の下落を連想させる材料が揃っています。
以上を踏まえ、当方では、南アランド円相場の見通しを、従来までの「ブル」から「ベア」へと変更いたします(目先は7.86円前後に走る90日移動平均線や、7.81円付近に切り上がってくる一目均衡表雲上限を下抜けられるか否かに注目)。尚、来週は南ア10月生産者物価指数や、南ア10月貿易収支に加えて、中国の主要経済指標(中国11月製造業PMI、同非製造業PMI、同財新製造業PMI)にも注目が集まります。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.80ー8.05
注:ポイント要約は編集部
南アフリカランド円日足
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