『トルコ中銀は500bpの大幅利上げに踏み切るもリラ売り基調に歯止めが効かず』
○今週のトルコ円、トルコと欧米諸国との関係悪化懸念などが重石となり11/21にかけ5.10まで急落
○その後、トルコ中銀の大幅利上げなどを支えに、週末にかけ5.18前後まで小幅に持ち直す動き
○テクニカル的には、対ドル相場が連日で史上最安値を更新するなど地合いは「極めて弱い」と判断
○ファンダメンタルズも、トルコ経済を巡る先行き不透明感など下落を連想させる材料が揃う
○トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想
○来週の予想レンジ(TRYJPY):5.00ー5.25
今週のレビュー(11/20−11/24)
今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初5.21円で寄り付いた後、早々に週間高値5.23円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(1)イスラエル問題に端を発したトルコと欧米諸国との関係悪化懸念(エルドアン大統領は今週、「イスラエルの核兵器問題が世界的な議題から外されることを容認しない」「西側諸国はイスラエルによるパレスチナ自治区ガザにおける戦争犯罪を正当化しようとしている」と発言)や、(2)トルコ中銀会合での利上げ幅が市場予想より小幅なものに留まるのではないかとの思惑、(3)ドル円相場の冴えない動き(ドル円が約2ヵ月半ぶり安値147.15まで急落→トルコリラ円連れ安)が重石となり、翌11/21にかけて、週間安値5.10円(7/19以来、約4カ月ぶり安値圏)まで急落しました。
その後は、(4)7/18に記録した史上最安値5.09円を背にした押し目買い圧力や、(5)ドル円相場の持ち直し(ドル円が147.15から149円台後半へと急上昇→トルコリラ円連れ高)、(6)トルコ中銀・総準備高の大幅回復(2014年9月以来の高水準へ回復)、(7)トルコ11月消費者信頼感指数(結果75.5、前回74.6)の良好な結果、(8)トルコ中銀会合での大幅利上げ実施(トルコ中銀は市場予想の250bpを上回る500bpの利上げを実施→政策金利は40.0%に到達)が支えとなり、本稿執筆時点(日本時間11/25午前5時00分現在)では、5.18円前後まで小幅に持ち直す動きとなっております。
来週の見通し(11/27−12/1)
トルコリラの対円相場は冴えない動きが続いています(今週は一時5.10円まで急落するなど、7/18に記録した史上最安値5.09円に迫る展開)。対ドル相場が連日で史上最安値を更新し続けていることや、日足ローソク足が全てのテクニカルポイントの下側に位置していること、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」「弱気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の下落トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて弱い」と判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)イスラエル問題に端を発した西側諸国との関係悪化懸念や、(2)トルコ経済を巡る先行き不透明感(今週発表されたトルコ11月景気動向指数は冴えない結果)、(3)トルコリラの実質金利のマイナス継続(トルコ中銀は政策金利を40.0%まで引き上げるも、直近で発表されたトルコ10月消費者物価指数61.36%や、トルコ中銀が公表した2023年末時点のインフレ見通し65.00%を踏まえると、トルコリラのマイナス実質金利は解消されず)、(4)トルコ中銀のハト派的な見解発表(トルコ中銀は会合後の声明で「金融引き締めペースを減速し、引き締めサイクルを短期間で完了させる」との見解発表)など、トルコリラ円相場の下落を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週はトルコ10月貿易収支や、トルコ第3四半期GDP、トルコ11月製造業PMIに注目が集まります。
来週の予想レンジ(TRYJPY):5.00ー5.25
注:ポイント要約は編集部
トルコ円日足
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