ドル円の反発で戻すが5.30円には届かず8日午前は上値重い
〇トルコリラ円、11/8午前序盤はドル円の反落気配に合わせてやや下げているが5.27近辺で確り
〇先週からはドル円の騰落を追いかける展開
〇対ドル、11/7は取引時間中の最安値28.64リラつけ、終値ベースでも再び最安値更新
〇高インフレと政策金利のギャップに、トルコリラの下落基調収まらず
〇5.26を上回るうちは一段高余地あり、5.29超えからは5.30、5.31を順次試す上昇を想定
〇5.26割れからは下落再開として5.24、5.21を順次試す下落を想定
【概況】
トルコリラ円の11月7日は概ね5.29円から5.24円の取引レンジ、8日早朝の終値は5.27円で前日終値の5.26円からは0.01円の円安リラ高だった。
ドル高リラ安基調が続いていることを気にしつつ、先週からはドル円の騰落を追いかける展開となっている。
ドル円は日銀の金融緩和維持により10月30日深夜安値148.80円から11月1日未明高値151.71円へ急伸して年初来高値を更新したが、神田財務官による円安けん制や11月2日未明のFOMCがハト派姿勢だったことと11月3日夜の米雇用統計が低調だったことで米10年債利回りが大幅低下したために11月3日夜に149.20円へ反落した。週明けの6日は米長期債利回りが反発したことと大幅下落に対する揺れ返しで戻し、7日午前に150円台に到達し、7日夜にかけてはドル高のぶり返しで150.68円まで戻した。先週の下落幅の半値戻しにあたる150.46円を若干上回ったが、その後は米長期債利回り低下を見て失速気味となっている。
トルコリラ円はドル円の騰落を見ながら11月1日未明高値5.36円から反落に転じて11月4日早朝に5.24円まで下落し、11月6日午前には一時的な安値で5.21円を付けて31日午前の一時的安値5.23円を割り込んだが、6日夜にかけてはドル円の上昇を見ながら持ち直し、7日も午前に一時的安値で5.24円を付ける場面も見られたものの8日早朝には5.29円まで戻した。
11月8日午前序盤はドル円の反落気配に合わせてやや下げているが5.27円近辺でしっかりしている。
【対ドルで取引時間中と終値での史上最安値更新】
ドル/トルコリラの11月7日は概ね28.64リラから28.25リラの取引レンジ、8日早朝の終値は28.45リラで前日終値の28.36リラからは0.09リラのドル高リラ安だった。
8月24日のトルコ中銀による7.5%利上げをサプライズとして一時急伸したものの8月25日からドル高リラ安が再開し、9月22日に史上最安値更新に入ってからも連日のように取引時間中及び終値ベースでの最安値更新を繰り返してきた。
10月26日にトルコ中銀が5.0%の追加利上げをして政策金利を35.0%としたものの市場の予想通りでインパクトにかけ、トルコ中銀への追加利上げ催促感が強まってリラ安に歯止めがかかっていない状況だ。
11月7日は11月3日に付けたこれまでの取引時間中の最安値28.58リラを超えて28.64リラをつけ、終値ベースでは10月23日から11月3日まで10営業日連続で史上最安値を更新し、11月6日は更新しなかったものの7日は再び最安値を更新している。
【トルコリラの下落基調収まらず】
ドル/トルコリラは8月最終週から先週までは10週連続のドル高リラ安だったが、今週も基調は変わらずに11週連続のドル高リラ安となりつつあるが、トルコリラ安の最大根拠は高インフレと政策金利のギャップにある。
11月2日にトルコ中銀は四半期報告で年末インフレ率予想を65.0%として前回8月の58.0%から大幅上方修正した。
11月3日に発表された10月のトルコCPI前年比は全体で61.36%と9月の61.53%から若干鈍化したもののコア指数では69.8%となり9月の68.9%から伸びが加速しており、インフレが大幅に鈍化してゆく期待に乏しい。
トルコ中銀はインフレ抑制のために緩やかなペースで利上げを継続するとしているが、8月の7.5%利上げが市場予想の2.5%利上げの3倍だったことでサプライズとされて1日だけリラ買いが発生したものの、その後の5.0%利上げに対しては市場のリラ買い反応はほとんど見られない。仮に11月の追加利上げが2.5%に留まる場合は失望感によりリラ売りが勢い付く可能性があり、5.0%利上げでも市場の反応は鈍いままと思われる。
トルコ中銀はエルカン総裁体制に入ってから外貨準備高を取り崩してリラ買いの市場介入を行うことを止め、為替水準は市場原理にゆだねるとしてきた。正常な判断であり、外貨準備高の増加は中長期的にはリラの信用度を高めるものの、短期的には中銀によるリラ防衛はないということになりリラ安の進行がある程度放置されることとなる。
中東情勢は今のところ世界経済には大きな影響を与えないと受け止められてNYダウが7連騰するなど株式市場は楽観的だが、トルコにとっては近隣の地政学的リスク、外交的軋轢の高まり、テロや反政府勢力の行動が刺激されることによる治安悪化等により経済の柱である海外観光客の足にも影響を与えかねないと懸念される。ロシア・ウクライナ戦争、パレスチナ・イスラエル戦争、イランと米国・イスラエルの関係悪化と軍事的な緊張感の高まりも気になるところだ。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、11月1日未明高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして3日午前から7日午前にかけての間への下落を想定していたが、11月6日午前に一時的な安値で5.21円を付けてからドル円の上昇に合わせて5.28円まで戻したため、11月7日午前時点では11月6日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、トップ形成期を7日早朝から8日未明にかけての間とした。
11月8日早朝へ続伸してから失速気味のためすでにサイクルトップを付けた可能性があると注意し、5.26円割れからは弱気サイクル入りとして9日午前から13日午前にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では11月7日早朝への上昇で遅行スパンが好転して7日午後には先行スパンを上抜いたが、8日早朝高値からの反落で遅行スパンは悪化しつつある。先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンから転落する場合は下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は11月7日午後から8日早朝にかけての高値切り上げに際して指数のピークがフラットとなる弱気逆行気配がみられるために弱気転換注意とし、55ポイント超えからは上昇再開とするが、50ポイント以下での推移中は下向きとし、45ポイント割れからは30ポイント前後への低下を伴う下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.26円を下値支持線、5.29円を上値抵抗線とする。
(2)5.26円を上回るうちは一段高余地ありとし、5.29円超えからは5.30円、5.31円を順次試す上昇を想定する。5.31円以上は反落注意とするが、5.27円以上での推移なら9日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)5.26円割れからは下落再開として5.24円、5.21円を順次試す下落を想定する。5.23円以下は反騰注意とするが、一時的な高値を除いて5.26円以下で推移する場合は9日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
11月9日
20:30 週次 外貨準備高 11月3日時点 グロス (10月27日時点 824.1億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 11月3日時点 ネット (10月27日時点 251.5億ドル)
11月10日
16:00 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 -0.8%)
16:00 9月 鉱工業生産 前年同月比 (8月 3.1%)
16:00 9月 失業率 (8月 9.2%)
11月13日
16:00 9月 経常収支 (8月 6.19億ドル)
16:00 9月 小売売上高 前月比 (8月 -4.7%)
16:00 9月 小売売上高 前年同月比 (8月 17.2%)
注:ポイント要約は編集部
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