ドル円見通し 先週の下落幅に対して半値強を戻し150円台維持を試す(23/11/8)

ドル円は11月3日夜安値149.20円を目先の底として上昇期に入ったが、7日夜に150.68円まで高値を切り上げてからはやや下げている。

ドル円見通し 先週の下落幅に対して半値強を戻し150円台維持を試す(23/11/8)

先週の下落幅に対して半値強を戻し150円台維持を試す

〇ドル円、150.68まで高値を伸ばし、11/3にかけての下げ幅に対する半値戻しライン150.46超える
〇9月全世帯消費支出が前月比、予想比ともに悪化、日銀金融緩和継続への必要性を意識させて円安要因に
〇米FRB高官発言相次ぐも内容はまちまち、シカゴ連銀総裁は利上げ打ち止め感を助長する発言
〇11/7米長期債利回り総じて低下、ダウ7営業日続伸
〇150.20以上での推移中は一段高余地あり、150.68超えからは151円台序盤への上昇を想定
〇150.00割れからは149円台中盤(149.65から149.35)試す下落想定

【概況】

ドル円は日銀金融政策決定会合でのマイナス金利等金融緩和政策の継続が示されたことによる円売りで10月30日深夜安値148.80円から11月1日未明高値151.71円まで3円近い急伸となったが、11月2日未明のFOMCがハト派姿勢だったことや11月3日夜の米雇用統計が低調だったことによる米長期債利回り低下とドル安により11月3日深夜には149.20円まで下落した。この間の下げ幅は2.51円となったが10月31日深夜安値割れには至らず、週明けは米長期債利回りの反発とドル高のぶり返しで上昇に転じ、7日早朝には150円台に到達した。7日NY時間には150.68円まで高値を伸ばし、11月3日にかけての下げ幅に対する半値戻しラインとなる150.46円を超えたが、深夜以降は米長期債利回り低下を見て150.30円台へ失速気味となっている。
11月7日午前に発表された9月の全世帯消費支出は前年比2.8%減となり、8月の2.5%減から悪化して市場予想の2.7%減も下回ったことは日銀の金融緩和継続への必要性を意識させて円安要因となったようだ。

【シカゴ連銀総裁、追加利上げを巡る議論は消えるとの見通し】

11月7日は米FRB高官の発言も相次いだが内容はまちまちだった。ウォラーFRB理事はタカ派として知られるが、「年率4.9%となった第3四半期の米GDPはFRBが次の政策を検討する際に注目すべき爆発的な数値だった」とし、金利水準への具体的な言及は避けたものの景気の強さを踏まえた利上げ状態の継続姿勢を示したと思われる。
一方、シカゴ連銀のグールズビー総裁は「インフレ低下が続けば追加利上げを巡る議論は消え、どれくらい長期に金利を据え置くかという議論に転じていく」とし、「GDPや雇用に関する統計よりも今後のインフレ指標を注視していく」と述べた。12月のFOMCへの姿勢に関しては「前もって言及しない」としたが、利上げの打ち止め感を助長する発言内容だった。
ボウマンFRB理事は「インフレ低下の進展が停滞するか不十分なら利上げを支持する用意がまだある」としたが、今後は経済指標次第とし、PCE(個人消費支出)物価指数でのコアサービスインフレは依然として根強く持続するリスクがある」として早期利下げへの消極姿勢を示した。

【米為替報告書で日本は監視対象外を維持】

米財務省は11月7日に2023年6月末までの外国為替動向を対象とした報告書において、日本は監視対象からの除外が維持された。中国を含む6カ国・地域が為替の慣行に関する「監視リスト」の対象になっている。制裁の検討対象とする「為替操作国」はなかった。
かつては円安が米国の貿易競争力を低下させるものとしてけん制対象だったが、今はドル高が自国のインフレ抑制効果をもたらしていることもありドル高に対する米国の懸念は薄い。円安が日本の低成長と金融緩和政策から脱却できない現状を反映していることも理解されているといえそうだ。

【米長期債利回りは再び低下、ダウは7連騰】

11月7日の米長期債利回りは総じて低下した。11月1日から3日にかけては米長期債利回りの大幅低下が目立ったが、11月6日は米国債大量発行週となることへの警戒感から反発していた。しかし7日に実施された3年債入札が堅調だったことで債券売りへの懸念が後退したため債券買い・利回り低下反応となったようだ。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.08%低下の4.57%、30年債利回りは0.08%低下の4.73%、2年債利回りは0.02%低下の4.92%となった。
米財務省は11月6日に3か月物と6か月物の合計で1430億ドル、7日に3年債の480億ドル入札を実施したが、8日には10年債(400億ドル)、9日にも30年債(240億ドル)の入札が行われる。
一方、NYダウは米国の利上げ打ち止め感と景気堅調さへの期待を優先して前日比56.74ドル高と上昇して7営業日続伸となり、ナスダック総合指数も121.08ポイント高で8連騰となった。米国株高が日経平均の上昇に寄与すればドル円も上昇しやすいところだ。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は11月3日夜安値149.20円を目先の底として上昇期に入ったが、7日夜に150.68円まで高値を切り上げてからはやや下げている。11月1日未明高値から5日を経過しているので、いったん調整安に入りやすいところとみて150.20円割れからは下向きとし、150円を割り込む場合は10日深夜にかけての下落を想定する。ただし、いったん下落期に入った後に直前の下げ幅の半値を解消するところからは上昇再開ヘ進んで11月3日夜安値以降の高値更新へ進む可能性もあるとみる。

60分足の一目均衡表では11月7日早朝への上昇で遅行スパンが好転し、7日午前には先行スパンも上抜いた。その後も両スパンそろっての好転を維持しているが、7日夜高値からややジリ安のために遅行スパンは悪化しやすくなっている。遅行スパン悪化からは安値試し優先として先行スパンの下限を試すとみる。先行スパンからの転落を回避して遅行スパンが好転する場合は上昇再開とするが、先行スパンから転落する場合は、その後に先行スパンを上抜き返せないうちは安値試しへ向かいやすい状況が続くと考える。

60分足の相対力指数は11月7日午後から深夜への高値更新に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられるため、60ポイント台回復からは上昇再開とするが、50ポイント割れからは下向きとし、45ポイント割れからは30ポイント台前半への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、150.00円を下値支持線、11月7日夜高値150.68円を上値抵抗線とする。
(2)150.20円以上での推移中は一段高余地ありとし、150.68円超えからは151円台序盤への上昇を想定する。151円以上は反落注意とするが、150.50円以上での推移なら9日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)150.00円割れからは149円台中盤(149.65円から149.35円)を試す下落を想定する。149.50円以下は反騰注意とするが、150円以下での推移なら9日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の予定】

11/8(水)
14:00 (日) 9月 景気先行指数CI・速報値 (8月 109.2、予想 108.8)
14:00 (日) 9月 景気一致指数CI・速報値 (8月 114.6、予想 114.7)
16:00 (独) 10月 CPI(消費者物価指数)・改定値 前月比 (9月 0.0%、予想 0.0%)
16:00 (独) 10月 CPI(消費者物価指数)・改定値 前年同月比 (9月 3.8%、予想 3.8%)
18:30 (英) ベイリー英中銀総裁、講演
18:40 (欧) レーンECB理事、講演
19:00 (欧) 9月 小売売上高 前月比 (8月 -1.2%、予想 -0.2%)
19:00 (欧) 9月 小売売上高 前年同月比 (8月 -2.1%、予想 -3.1%)
24:00 (米) 9月 卸売売上高 前月比 (8月 1.8%、予想 0.8%)
24:30 (米) EIA週間石油在庫統計
27:00 (米) 財務省10年債入札(四半期定例入札)
27:40 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演

11/9(木)
08:50 (日) 9月 経常収支・季調前 (8月 2兆2797億円、予想 3兆0000億円)
08:50 (日) 9月 経常収支・季調済 (8月 1兆6349億円、2兆2697億円)
08:50 (日) 9月 貿易収支・国際収支ベース (8月 -7495億円、2316億円)
08:50 (日) 日銀金融政策決定会合・主な意見(10月30-31日分)
10:30 (中) 10月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (9月 0.0%、予想 -0.2%)
10:30 (中) 10月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (9月 -2.5%、予想 -2.8%)
14:00 (日) 10月 景気ウオッチャー現状判断 (9月 49.9、予想 50.0)
14:00 (日) 10月 景気ウオッチャー先行判断 (9月 49.5、予想 49.7)
17:10 (欧) レーンECB理事、講演
17:30 (英) ピル英中銀理事、講演
17:35 (日) 植田日銀総裁、FT主催イベントのインタビュー

22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.7万件、予想 21.9万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 181.8万人)
23:30 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、バーキン・リッチモンド連銀総裁、座談会
26:00 (米) パエゼ・セントルイス連銀暫定総裁、講演
27:00 (米) 財務省30年債入札(四半期定例入札)
28:00 (米) パウエルFRB議長、パネル討論会に参加


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