150円台後半へと急上昇。円キャリーの再開と米当局者によるタカ派発言が支えに
〇ドル円、円キャリー再開、実需のドル買い、FRB関係者のタカ派発言等に一時150.70まで上昇
〇ユーロドル、独指標不冴え、欧州債利回り低下等に米国時間にかけ1.0664まで下落後、小幅反発
〇ドル円、心理的節目150.00の大台を短期間で回復、テクニカルの地合い極めて強い
〇ファンダメンタルズも日米金融政策格差と円キャリートレードの継続期待がドル円をサポート
〇本日の予想レンジ:150.00ー151.00
海外時間のレビュー
7日(火)のドル円相場は堅調な値動き。アジア時間朝方にかけて、安値149.93まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)日米金融政策格差に着目した円キャリートレードの再開や、(2)本邦輸入企業の実需のドル買い・円売り、(3)ミネアポリス連銀カシュカリ総裁による「利上げ終了を確信できない」「金融引き締めが不十分になるよりも過剰になるくらいの方がよい」「「必要ならFRBは追加利上げをするだろう」とのタカ派的な発言、(4)シカゴ連銀グールズビ総裁による「インフレ率を下げることが最優先課題」とのタカ派的な発言、(5)短期筋のショートカバー、(6)米主要株価指数の堅調推移(リスク選好のドル買い・円売り)が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値150.70まで急伸しました。
その後も、(7)ボウマンFRB理事による「依然として追加利上げが必要になると見込んでいる」とのタカ派的な発言や、(8)ダラス連銀ローガン総裁による「インフレは依然として高すぎる」「インフレ率は2%ではなく3%に向かう傾向にある」とのタカ派的な発言が下値を支え、本稿執筆時点(日本時間11/8午前5時50分現在)においても、150.43前後での底堅い動きが続いております。
7日(火)のユーロドル相場は冴えない動き。アジア時間朝方にかけて、高値1.0723まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)欧米金融政策の方向性の違いに着目したユーロ売り・ドル買い圧力や、(2)ドイツ9月鉱工業生産(結果▲3.7%、予想▲2.7%、※前年比)の市場予想を下回る結果、(3)ドイツ10月建設業PMI(結果38.3、前回39.3)の冴えない結果、(4)デギンドスECB副総裁による「第4四半期のユーロ圏経済はやや縮小するか良くてもほぼ横ばい」とのネガティブ発言、(5)欧州債利回り低下に伴うユーロ売り圧力が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値1.0664まで下落しました。引けにかけて反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間11/8午前5時50分現在)では、1.0695前後で推移しております。尚、昨日発表されたユーロ圏9月生産者物価指数(結果+0.5%、予想+0.5%、※前月比)は市場予想通りの結果となりました。
本日の見通し
ドル円は前週末金曜日(11/3)に記録した安値149.20をボトムに反発に転じると、昨日は一時150.70まで急伸しました。心理的節目150.00の大台を短期間で回復できたことや、日足ローソク足が主要テクニカルポイントの上側で推移していること、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「強気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて強い」と判断できます(先週の米FOMC以降に急増した俄か米ドル・ショート勢が早くもロスカットに追い込まれる展開)。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め長期化観測(昨日は米当局者よりタカ派的な発言が続出→米追加利上げ観測再燃)や、(2)日銀による金融緩和の長期化観測(植田日銀総裁は11/6に「粘り強く金融緩和を継続する」「現時点では物価安定の目標の持続的・安定的な実現を十分な確度をもって見通せる状況には尚至っていない」と発言→金融緩和の年内脱却観測後退)、(3)上記1、2を背景とした日米金融政策格差とそれに伴う円キャリートレードの継続期待(円売り安心感)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。堅調な株式市場も、リスク選好の円売りを通じて、ドル円を下支えすると見られることから、当方では引き続き、ドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は米MBA住宅ローン申請指数、米10年債入札、ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁講演などに注目が集まります。
本日の予想レンジ:150.00ー151.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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