トルコリラ円見通し ドル円の反発で先週末までの下落一服(23/11/7)

トルコリラ円の11月6日は概ね5.28円から5.21円の取引レンジ、7日早朝の終値は5.26円で先週末終値と同値だった。

トルコリラ円見通し ドル円の反発で先週末までの下落一服(23/11/7)

トルコリラ円見通し ドル円の反発で先週末までの下落一服

〇トルコ円、11/6午前に一時的安値5.21を付け10/31午前安値を割り込み、8/24高値5.77以降の安値更新
〇その後、ドル円の上昇に合わせて11/7早朝には5.28まで戻す
〇対ドル、11/6は概ね28.44から28.14の取引レンジ、新たな最安値更新はなかったが、最安値近辺を維持
〇昨日発表の10月貿易赤字、前月から悪化、赤字体質変わらず
〇5.25を上回るうちは一段高余地ありとし、5.28超えからは5.30試しを想定する
〇5.25割れからは下落再開と仮定して、5.23、5.21を順次試す下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の11月6日は概ね5.28円から5.21円の取引レンジ、7日早朝の終値は5.26円で先週末終値と同値だった。
ドル高リラ安基調が続いていることに圧迫されつつ、目先はドル円の動向を追いかけている。
ドル円は10月31日に日銀が長期金利変動許容基準を引き上げたもののマイナス金利を維持して必要に応じて追加緩和を行うという金融緩和政策維持を決定したため、10月30日深夜安値148.80円から11月1日未明高値151.71円へ急伸して年初来高値を更新したが、神田財務官による市場介入を匂わせる円安けん制発言をきっかけに下落に転じ、11月2日未明のFOMCが予想よりもハト派寄りだったことと11月3日夜の米雇用統計が低調だったことによる米10年債利回りの3営業日続落に合わせて失速し、11月3日夜には149.20円まで下げた。しかし週明けは重要イベント通過による買い戻しと、米国債大量入札週により米10年債利回りが反発したために7日早朝には150円に到達するところまで戻し、先週の急落幅に対して凡そ3分の1を戻した。

トルコリラ円はドル円の動きに合わせ、11月1日未明に5.36円まで反騰したが、ドル円の反落により11月4日早朝には5.24円まで下落した。11月6日は午前の一時的な安値で5.21円を付けて31日午前の一時的安値5.23円を割り込み8月24日高値5.77円以降の安値を更新したが、ドル円の上昇に合わせて7日早朝には5.28円まで戻した。
クロス円全般が円安基調にあることでトルコリラ円への支えも効いているが、ドル円の戻りが鈍ければドル高リラ安による圧迫感が前面に出てきてトルコリラ円を押し下げやすい状況にあると考えたい。

【対ドルでは最安値圏に留まる】

ドル/トルコリラの11月6日は概ね28.44リラから28.14リラの取引レンジ、7日早朝の終値は28.36リラで先週末終値の28.38リラからは0.02リラのドル安リラ高だった。
8月最終週から先週までは10週連続のドル高リラ安となり、11月3日には安値で28.58リラを付けて取引時間中の史上最安値を更新、日足の終値ベースでは10月23日から11月3日まで10営業日連続で史上最安値を更新してきた。
週明けの11月6日は新たな最安値更新へは進まなかったものの28リラ台序盤では売られて最安値近辺を維持しており、11月7日午前は28.46リラから28.36リラのレンジで推移しつつ最安値更新を伺う動きを見せている。

10月26日のトルコ中銀による5.0%の大幅追加利上げで政策金利の週間レポレートは35.0%へ引き上げられたが、11月3日発表の10月CPI(消費者物価指数)は前年比61.36%で9月の61.53%から若干の低下にとどまり、コアCPIの前年比は69.8%で9月の68.9%から伸びている。11月2日に公表されたトルコ中銀による四半期毎の年末インフレ率予想では2023円末のCPIは65.0%とされており、政策金利をさらに引き上げてゆかないと大幅なマイナス金利状態の解消には至らず、利上げ催促のリラ売りはさらに続きやすい状況と思われる。

【10月の貿易赤字は9月から悪化、赤字体質変わらず】

11月6日にトルコ貿易省が発表した10月の貿易統計速報では貿易赤字が67億ドルとなり赤字は9月の50億ドルから拡大した。輸出は229億ドルで9月の226.7億ドルから若干増加したが輸入は296億ドルとなり9月の276.6億ドルを大幅に上回ったために収支が悪化した。
速報ベースの貿易赤字は今年2月に144億ドルとなり過去最大となり、その後はやや赤字が縮小して7月に54億ドル、10月に50億ドルと低下したが、2月の最大赤字の後も6月に127億ドル、8月に124億ドルとそれぞれ100億ドルを超える赤字を計上しており、構造的な赤字体質が改善されたとは言い難い状況だ。リラ安による購買力低下により、輸入は今年5月に343億ドルまで拡大して過去最大となった後は伸びずにいるために輸入減少の際に赤字も減るが、輸入依存は今後も続く。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、10月31日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして31日午後から11月2日午後にかけての間への上昇を想定していたが、11月2日午前時点では弱気転換目安とした5.30円を割り込んだために11月1日未明高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして3日午前から7日午前にかけての間への下落を想定した。
11月6日午前に一時的な安値で5.21円を付けてからドル円の上昇に合わせて5.28円まで戻したため、11月6日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。トップ形成期は7日早朝から8日未明にかけての間とし、5.25円以上での推移中は一段高余地ありとみるが、5.25円割れからは弱気サイクル入りの可能性を優先して9日午前から13日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では11月7日早朝への上昇で遅行スパンが好転したが、先行スパンの突破には至らずにいる。遅行スパン好転中は高値試し優先とし、先行スパンを上抜くところからは上昇が勢い付く可能性があるとみるが、先行スパンから再び転落する場合は下落再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は11月3日夜の下落時時に20ポイント台前半へ低下してから戻したが、7日早朝に60ポイントへ迫ってから失速気味となっている。50ポイントを上回るか一時的に割り込んでもすぐに回復するうちは上昇余地ありとするが、45ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.25円を下値支持線、5.28円を上値抵抗線とする。
(2)5.25円を上回るうちは一段高余地ありとし、5.28円超えからは5.30円試しを想定する。5.30円前後は売られやすいと注意するが5.26円以上での推移なら8日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)5.25円割れからは下落再開と仮定して5.23円、5.21円を順次試す下落を想定する。5.21円以下は反騰注意とするが、一時的な高値を除いて5.25円以下で推移する場合は8日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

11月7日
 23:30 10月 財務省現金残増減 (9月 -690.53億トルコリラ)
11月9日
 20:30 週次 外貨準備高 11月3日時点 グロス (10月27日時点 824.1億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 11月3日時点 ネット (10月27日時点 251.5億ドル)
11月10日
 16:00 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 -0.8%)
 16:00 9月 鉱工業生産 前年同月比 (8月 3.1%)
 16:00 9月 失業率 (8月 9.2%)
11月13日
 16:00 9月 経常収支 (8月 6.19億ドル)
 16:00 9月 小売売上高 前月比 (8月 -4.7%)
 16:00 9月 小売売上高 前年同月比 (8月 17.2%)



注:ポイント要約は編集部

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