ドル円見通し 149円割れ回避から150円到達へ戻す、先週の急落一服の様相(23/11/7)

11月6日は3日間連続で低下していた米長期債利回りが反発したことで買い戻し優勢となり、NY市場終盤には150円台に到達した。

ドル円見通し 149円割れ回避から150円到達へ戻す、先週の急落一服の様相(23/11/7)

ドル円見通し 149円割れ回避から150円到達へ戻す、先週の急落一服の様相

〇ドル円、11/6は米長期債利回りが反発したことで買い戻し優勢、NY市場終盤に150円台に到達
〇11/1未明の年初来高値151.71から11/3夜の安値149.20までの下げ幅の、3分の1を戻す
〇11/6にユーロ円が年初来高値を更新するなど、クロス円全般の円安感が強まっている印象
〇米長期債利回りは総じて上昇、10年債利回りは4日ぶりに反発、ダウは6連騰、ナスダックは7連騰
〇149.50以上での推移中は一段高余地ありとし、150.15超えからは150.50前後への上昇を想定する
〇149.50割れから続落の場合は、11/3夜安値149.20試しとする

【概況】

ドル円は10月30日の日銀政策修正観測報道から30日深夜安値148.80円まで下げたが、31日の日銀金融政策決定会合で長期金利変動許容上限が引き上げられたもののマイナス金利等の金融緩和継続が決定された事により11月1日未明高値151.71円へ急上昇した。11月1日朝の神田財務官による「市場介入スタンバイ」発言等による円安けん制で下落に転じ、11月2日のFOMCがハト派寄り姿勢だったことと11月3日夜の米雇用統計が低調だったことによる米長期債利回り低下を見ながら11月3日深夜には149.20円まで安値を切り下げたが、10月31日深夜安値割れには至らず、週明けの11月6日は3日間連続で低下していた米長期債利回りが反発したことで買い戻し優勢となり、NY市場終盤には150円台に到達した。

【先週の急落幅に対して凡そ3分の1を戻す】

11月1日未明の年初来高値151.71円から11月3日夜の米雇用統計後に付けた安値149.20円までの下げ幅は2.51円であり、11月7日早朝高値で150.07円を付けて3分の1戻しとなる150.04円をわずかに超えた。半値戻しは150.46円、3分の2戻しは150.87円にあり、3分の1戻し到達から半値戻しまで続伸できるか、半値戻しに届かない範囲にとどまって再び安値試しへ向かうのか試されるところだ。
今年のドル円は1月16日安値127.22円を起点として昨年10月21日高値151.94円に迫るところまで上昇してきたが、三段上げ型の上昇であり、現状は7月14日安値137.24円を起点とした三段目の上昇が11月1日未明の10月31日付け高値151.71円で一巡して修正安に入っている印象がある。今のところは10月3日夜の乱高下で付けた安値147.41円から10月30日深夜安値148.80円へと底上げしてきた流れの範囲にとどまっているため、三段目の上昇をさらに発展的に拡大する可能性もあるが、10月30日安値を割り込む場合は大きめの修正安局面として下値目途が切り下がる可能性があると注意したい。

【クロス円の円安感強まる】

11月6日にユーロ円は160.97円を付けて年初来高値を更新したが、2008年8月以来の高値水準に達している。11月6日の欧州PMIが低調だったことと米長期債利回り上昇によりユーロドルが反落したことで161円には到達できずにいるものの、クロス円全般の円安感が強まっている印象だ。
ポンド円は11月6日夜に185.95円へ上昇した後は反落したが、10月3日安値178.40円以降の高値を更新して2020年3月底123.34円以降の最高値である8月22日高値186.76円に迫っている。
豪ドル円も11月7日朝には97.52円を付けて今年3月24日安値86.06円以降の最高値である6月19日高値97.66円に迫っており、高値更新すれば2020年3月底59.85円以降の最高値更新となる。

日銀は10月31日の金融政策決定会合で長期金利上昇の許容上限を1%とし、1%を一時的に超えることを容認する柔軟化を示したが、マイナス金利等は継続しており、必要に応じて追加金融緩和もあり得るとした。
日銀の植田総裁は11月6日の会見で2%の物価上昇目標達成への判断時期について「今年はもう2か月弱になってしまった」と述べて年内に判断することはなさそうだ。総裁は「目標達成の確度は多少上がってきている」とも述べ、「目標達成が見通せた時点で長短金利操作の撤廃とマイナス金利解除をどうするのか決めたい」とした。
日銀は12月5日に金融緩和政策の功罪を検証する会合を行い、来年5月にも同様の会合をする予定だが、政策変更への判断は時期尚早であり、総裁は「物価目標が見通せるまではYCCの枠組みとマイナス金利を維持することを考えている」と述べている。
欧米豪等に追加利上げの可能性が残り、利上げ状態の長期化感が強まっている状況にあっては、海外投資家にとって日銀の金融緩和継続による円安感が優勢で推移してクロス円全般の上昇基調も続きやすいという環境にあるのではないかと思われる。

【米10年債利回りは4日ぶり反発、ダウは6連騰】

11月6日の米長期債利回りは総じて上昇した。長期金利指標の10年債利回りは先週末比0.08%上昇の4.65%となった。先週のFOMCと米雇用統計を通過して11月1日から3日まで3営業日続落したが、当面の債券買い材料が一巡したことと、今週の大量入札を控えて債券売りが優勢となった印象だが、直前の低下に対するリバウンドという印象であり、12月と来年1月のFOMCにおける利上げ見送りがかなり優勢の中では長期金利の頭打ち感も定着するのではないかと思われる。
30年債利回りも先週末比0.04%上昇の4.81%で終了、利上げに敏感な2年債利回りも0.10%上昇の4.94%となった。
米財務省は11月6日に3か月物と6か月物の合計1430億ドルの入札を行ったが、11月7日に3年債(480億ドル)、8日に10年債(400億ドル)、9日に30年債(240億ドル)の入札を行う予定だ。

一方、NYダウは先週末比34.54ドル高と小幅上昇だったが、10月30日から6連騰、ナスダック総合指数は40.50ポイント高で10月27日から7連騰となった。米国の利上げ打ち止め感による先高期待が優勢であり、中東情勢についても影響は限定的とみて楽観的な動きを回復している。米国株高がアジア株高、日経平均を押し上げればドル円は上昇しやすくなる。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は11月1日未明高値151.71円から急落したが、11月3日夜安値149.20円で目先の底を付けて戻しに入っている状況だ。当面の高値形成期は8日未明にかけて想定されるので戻りは短命で勢いに欠ける可能性もあるが、材料次第では8日未明以降へ高値試しの流れが続く可能性もあるとみる。
149.50円割れから続落に入る場合は戻り一巡による下落期入りを疑い、11月3日夜安値を割り込む場合は10日夜にかけての下落を想定する。

60分足の一目均衡表では11月7日早朝への上昇で遅行スパンが好転して先行スパンへ潜り込んでいるため、遅行スパン好転中は高値試し優先とし、先行スパンを上抜くところから上昇が勢い付く可能性もあるとみるが、先行スパンから転落する場合は下げ再開を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は11月3日夜の20ポイント割れから7日早朝には60ポイント台へ切り返した。その後も50ポイント以上を維持しているのでまだ上昇余地ありとみるが、45ポイント割れからは下げ再開を疑い、30ポイント台前半への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、149.50円を下値支持線、151.15円を上値抵抗線とする。
(2)149.50円以上での推移中は一段高余地ありとし、150.15円超えからは150.50円前後への上昇を想定する。150.50円以上は反落注意とするが、149.70円以上での推移なら8日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)149.50円割れから続落の場合は11月3日夜安値149.20円試しとし、底割れからは148円台中盤(148.65円から148.35円)を目指してゆく下落を想定する。149.20円を割り込んだ後も149.50円以下での推移なら8日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の予定】

11/7(火)
未 定 (中) 10月 貿易収支・米ドル建て (9月 777.1億ドル、予想 820.0億ドル)
12:30 (豪) RBA(豪中銀) 政策金利 (現行 4.10%、予想 4.35%)
16:00 (独) 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 -0.2%、予想 -0.1%)
16:00 (独) 9月 鉱工業生産 前年同月比 (8月 -2.0%、予想 -2.7%)
19:00 (欧) 9月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (8月 0.6%、予想 0.5%)
19:00 (欧) 9月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (8月 -11.5%、予想 -12.5%)
22:30 (米) 9月 貿易収支 (8月 -583億ドル、予想 -599億ドル)
23:50 (米) シュミッド・カンザスシティ連銀総裁、講演

26:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、討論会司会
27:00 (米) 財務省3年債入札(四半期定例入札)
27:30 (米) ローガン・ダラス連銀総裁、講演
28:30 (独) ナーゲル独連銀総裁、講演
29:00 (米) 9月 消費者信用残高 前月比 (8月 -156.3億ドル、予想 100.0億ドル)

11/8(水)
08:50 (日) 10月 外貨準備高 (9月 1兆2372億ドル)
14:00 (日) 9月 景気先行指数CI・速報値 (8月 109.2、予想 108.7)
14:00 (日) 9月 景気一致指数CI・速報値 (8月 114.6、予想 114.7)
16:00 (独) 10月 CPI(消費者物価指数)・改定値 前月比 (9月 0.0%、予想 0.0%)
16:00 (独) 10月 CPI(消費者物価指数)・改定値 前年同月比 (9月 3.8%、予想 3.8%)
18:30 (英) ベイリー英中銀総裁、講演
18:40 (欧) レーンECB理事、講演
19:00 (欧) 9月 小売売上高 前月比 (8月 -1.2%、予想 -0.2%)
19:00 (欧) 9月 小売売上高 前年同月比 (8月 -2.1%、予想 -3.1%)
24:00 (米) 9月 卸売売上高 前月比 (8月 1.8%)
24:30 (米) EIA週間石油在庫統計
27:00 (米) 財務省10年債入札(四半期定例入札)
27:40 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演


注:ポイント要約は編集部

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