ドル円の上昇を見て6日からの上昇継続で5.30円台に到達
〇トルコ円、ドル円追いかけ11/9早朝は5.31、午前はドル円反落気配で一時5.27へ下げるなど上昇一服感
〇ドル円が151円台到達によりいったん修正安に入る場合、円高とリラ安の両面から圧される可能性も
〇対ドル、11/8は概ね28.55から28.28の取引レンジ、史上最安値近辺での推移
〇ロイター社調査、2024年第3四半期では1ドル35リラの予想
〇5.26を上回るうちは一段高余地ありとし、5.31超えからは5.32、5.33を順次試す上昇を想定
〇5.26割れからは下落再開として5.24、5.21を順次試す下落を想定
【概況】
トルコリラ円の11月8日は概ね5.31円から5.27円の取引レンジ、9日早朝の終値は5.30円で前日終値の5.27円からは0.03円の円安リラ高だった。
ドル高リラ安基調は続いているものの、ドル円が先週の急落幅の過半を解消する上昇となり、トルコリラ円はドル円の上昇を追いかけている。
ドル円は10月30日深夜安値148.80円から11月1日未明高値151.71円へ急伸した後、FOMCがハト派姿勢だったことや米雇用統計が低調だったこと等により11月3日夜に149.20円まで下落したが、10月30日深夜安値割れを回避して切り返しに入ってきた。11月8日は日銀植田総裁が国会答弁で金融緩和政策を当面維持する姿勢を示したことが円売り材料となり、米10年債利回りが前日から続落したもののドル高円安基調を続けて11月9日未明には151.05円まで高値を伸ばした。151円到達後はやや下げており、3連騰後の修正安に入る可能性もあるところと思われる。
トルコリラ円は11月6日午前に一時的な安値で5.21円を付けて31日午前の一時的安値5.23円を割り込んだが、その後はドル円の上昇を見ながらジリ高の推移に入り、9日早朝には5.31円を付けた。9日午前はドル円の反落気配で一時5.27円へ下げるなど上昇一服感がみられる。
ドル高リラ安基調が続いているものの、円安がリラ安に勝るようなら戻り高値の切り上げを続ける可能性もあるが、ドル円が151円台到達によりいったん修正安に入る場合は円高とリラ安の両面から圧される可能性もあるところと注意したい。
【対ドルでは史上最安値近辺での推移】
ドル/トルコリラの11月8日は概ね28.55リラから28.28リラの取引レンジ、9日早朝の終値は28.43リラで前日終値の28.45リラからは0.02リラのドル安リラ高だった。
8月24日の一時的なリラ高の後はドル高リラ安の再開に入り、9月22日に史上最安値更新に入ってからも連日のように取引時間中及び終値ベースでの最安値更新を繰り返してきた。11月7日には11月3日に付けたそれまでの取引時間中の最安値28.58リラを超えて28.64リラをつけ、終値ベースでは10月23日から11月3日まで10営業日連続で史上最安値を更新し、11月7日は28.45リラを付けて2日ぶりに最安値を更新した。
11月8日は米10年債利回りの低下によりドル高圧力がやや後退したために対ドルでのリラ最安値更新は回避されたが、9日午前序盤は28.53リラから28.41リラのレンジで推移しており、取引時間中の最安値更新を試しつつある。
【2024年第3四半期では1ドル35リラの予想】
ロイター社が10月4日に調査したエマージングマーケットにおける先行き予想の集計では、2024年第3四半期のトルコリラは1ドル35リラが予想中央値、最も下落するとの予想では1ドル39リラ、現状から安定するとの予想では1ドル28リラとなっている。
トルコ経済が勢いを回復し、CPIが年率で60%を超える高インフレが収まり、トルコ中銀による適切な追加利上げによりトルコリラの下落が落ち着き可能性はあるだろうが、現状からさほど改善せず、高インフレが続き中銀による利上げが追い付かないか、利上げの打ち止めとなる場合には1ドル35リラを超えてゆくことも懸念されるという状況だ。
今年4月14日に金融大手のJPモルガンが大統領選挙後の見通しとして最悪の場合は2023年末に30リラへ下落する可能性もあるとしたが、すでに28リラ台後半へ進んでいることを踏まえればこのままのペースで29リラを超えて30リラへ迫って行く可能性も現実味のある予想だ。
10月20日にトルコ中銀が公表したエコノミストらの予測調査では2023年末時点の予想中央値は1ドル30.045リラとされている。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、11月6日午前に一時的な安値で5.21円を付けてからドル円の上昇に合わせて5.28円まで戻したため、11月7日午前時点では11月6日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、トップ形成期を7日早朝から8日未明にかけての間と想定した。
11月9日早朝に5.31円まで高値を切り上げてから失速気味のため9日早朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りと仮定する。ボトム形成期は9日午前から13日午前にかけての間とし、9日早朝高値超えからは新たな強気サイクル入りとして14日早朝から16日早朝にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では11月7日早朝への上昇で遅行スパンが好転して7日午後には先行スパンを上抜き、その後も両スパンそろっての好転を維持しているものの、9日午前の下落で遅行スパンは悪化しやすい位置にある。遅行スパン悪化からは下落期入りとみて安値試し優先とし、先行スパンから転落する場合は下げ足が速まる可能性もあると注意する。ただし、9日早朝高値超えからは新たな上昇期に入るとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は11月8日夜から9日早朝への高値更新に際して指数のピークがフラットとなる弱気逆行がみられるため反落期入りを警戒し、50ポイント割れからは30ポイント前後への低下を伴う下落を想定する。ただし、50ポイント割れを切り返して60ポイント台を回復する場合は上昇再開の可能性を優先する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.26円を下値支持線、5.31円を上値抵抗線とする。
(2)5.26円を上回るうちは一段高余地ありとし、5.31円超えからは5.32円、5.33円を順次試す上昇を想定する。5.32円以上は反落注意とするが、5.28円以上での推移なら10日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)5.26円割れからは下落再開として5.24円、5.21円を順次試す下落を想定する。5.23円以下は反騰注意とするが、一時的な高値を除いて5.26円以下で推移する場合は10日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
11月9日
20:30 週次 外貨準備高 11月3日時点 グロス (10月27日時点 824.1億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 11月3日時点 ネット (10月27日時点 251.5億ドル)
11月10日
16:00 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 -0.8%)
16:00 9月 鉱工業生産 前年同月比 (8月 3.1%)
16:00 9月 失業率 (8月 9.2%)
11月13日
16:00 9月 経常収支 (8月 6.19億ドル)
16:00 9月 小売売上高 前月比 (8月 -4.7%)
16:00 9月 小売売上高 前年同月比 (8月 17.2%)
注:ポイント要約は編集部
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