ドル円見通し 米長期債利回り低下するも、日銀総裁の金融緩和継続姿勢で151円台到達(23/11/9)

ドル円は11月3日夜の米10月雇用統計発表後に付けた安値149.20円からの反騰を継続して9日未明には151.05円を付けた。

ドル円見通し 米長期債利回り低下するも、日銀総裁の金融緩和継続姿勢で151円台到達(23/11/9)

米長期債利回り低下するも、日銀総裁の金融緩和継続姿勢で151円台到達

〇昨日ドル円、日銀総裁の金融緩和継続姿勢を受け円安優勢の動き強まる、11/9未明151.05に
〇米長期債利回り低下でユーロドルの反発も見られたものの、日米金利差からドル買い・円売り継続
〇11/1未明高値151.71超えへの挑戦へ進む可能性高まってきた印象
〇米長期債利回りは続落、ダウは8日ぶり反落だがナスダックは9連騰、株高基調継続か
〇150.50以上での推移中は一段高余地ありとし、151.25超えからは151円台中盤への上昇を想定
〇150.50割れからは150.00前後への下落を想定

【概況】

ドル円は11月3日夜の米10月雇用統計発表後に付けた安値149.20円からの反騰を継続して9日未明には151.05円を付けた。10月31日の日銀金融政策決定会合における金融緩和継続により151.71円へ急伸して年初来高値を更新し、11月2日未明の米FOMCがハト派姿勢だったことや3日夜の米雇用統計が低調だったことで10月30日深夜安値148.80円以降の急伸幅の大半を解消したが、ドル売り・円買いイベント通過による巻き戻しに入り11月7日には150円台を回復。11月8日は日銀の植田総裁が国会で金融緩和継続姿勢を改めて述べたことで円安優勢の動きが強まり、米長期債利回りが低下したことでユーロドルの反発も見られたもののドル買い・円売りは継続した。10月31日高値151.71円から11月3日夜安値149.20円までの下げ幅2.51円に対する半値戻し150.46円と3分の2戻し150.87円をクリアしたことで、11月1日未明高値151.71円超えへの挑戦へ進む可能性も高まってきた印象だ。

【日銀総裁、金融緩和継続姿勢】

11月8日に日銀の植田総裁は衆議院財務金融委員会において、2%の物価目標の達成に向けて「物価と賃金の好循環が少しずつ起こってきている」としたが、2%の物価目標を達成できる見通しが立つまで今の大規模な金融緩和策を維持するとした。
日銀による物価見通しの上方修正が相次いでいることについては、「見通しの誤りがあったことは認めざるをえない」としたものの物価上昇への好循環が「まだ少し弱いことを考えて現在の緩和政策を維持している」とし、長短金利操作やマイナス金利などの大規模緩和をいつまで続けるのかとの質問に対しては見通しがある程度の確度で持てるまでとした。上場投資信託(ETF)の買い入れについては、市場の不安心理がある程度なくなる状態になればやめていく準備が整うとした。植田総裁の答弁は全般的に金融緩和政策の維持姿勢を改めて示すものとして円安要因と受け止められた。

【米長期債利回りは続落、ダウは8日ぶり反落だがナスダックは9連騰】

11月8日の米長期債利回りは2年債利回りがわずかに上昇したものの10年債と30年債は低下した。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.08%低下の4.49%となった。10月23日の5.02%をピークに低下してきており、11月3日に4.48%をつけてからいったん戻したものの7日、8日と続落しており、日足の終値ベースでは10月23日以降の安値を更新している。
30年債利回りは前日比0.11%低下の4.62%となり、10月23日の5.18%をピークとした低下を継続しており、8日は取引時間中及び日足の終値ベースでこの間の安値を更新している。
2年債利回りは前日比0.01%上昇の4.93%だったが、10月19日の5.26%から11月3日の4.81%まで大幅低下した後の下げ渋りという印象だ。

先週の米FOMCや米雇用統計を通過して利上げの打ち止め感が優勢となっており、来年5月にも利下げがあるのではないかとの見方も浮上している。11月8日はパウエルFRB議長が会合でのあいさつを行ったが、金融政策に言及しなかったことが市場による利上げ打ち止め感を肯定するものと受け止められた印象もある。
米長期債利回りの低下傾向はドル円の上昇にはブレーキとなるものだが、日本の10年債利回りの上昇も落ち着いており、日米の金利差が大きい状況に変わりはなく、日銀の金融緩和継続感によるドル円の上昇期待が勝っているようだ。
NYダウは11月7日まで7連騰してきたが、11月8日は利益確定売りに圧されて前日比40.33ドル安と8営業日ぶりに反落した。ナスダック総合指数は10.55ポイント高と上昇して9連騰しており、株高基調は継続している印象だ。株高によるリスク先行感はドル円の押し上げ要因でもある。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は11月3日夜安値149.20円を目先の底として上昇期に入っているが、11月6日から3連騰で151円台に到達しているため、このまま11月1日未明高値151.71円を試しに向かう可能性があるものの、その前にいったん修正安が入りやすいところと注意したい。150.50円割れからは下落期入りとみて10日深夜にかけての下落を想定する。

60分足の一目均衡表では11月7日早朝への上昇で遅行スパンが好転し、7日午前には先行スパンも上抜いたが、その後も両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、26日基準線割れを弱気転換注意とし、遅行スパン悪化からはいったん下落期に入るとみて安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は11月7日夜から9日早朝への高値切り上げに対して指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられるため反落注意とし、50ポイントを上回るうちは上昇余地ありとするが、50ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント台への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、150.50円を下値支持線、151.25円を上値抵抗線とする。
(2)150.50円以上での推移中は一段高余地ありとし、151.25円超えからは151円台中盤(151.35円から151.65円)への上昇を想定するが、151.50円以上は反落警戒とする。
(3)150.50円割れからは150.00円前後への下落を想定する。150円以下は反騰注意とするが、150.50円以下での推移なら10日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の予定】

11/9(木)
10:30 (中) 10月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (9月 0.0%、予想 -0.1%)
10:30 (中) 10月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (9月 -2.5%、予想 -2.7%)
14:00 (日) 10月 景気ウオッチャー現状判断 (9月 49.9、予想 50.0)
14:00 (日) 10月 景気ウオッチャー先行判断 (9月 49.5、予想 49.5)
17:10 (欧) レーンECB理事、講演
17:30 (英) ピル英中銀理事、講演
17:35 (日) 植田日銀総裁、FT主催イベントのインタビュー
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.7万件、予想 21.8万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 181.8万人、予想 182.0万人)
23:30 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、バーキン・リッチモンド連銀総裁、座談会
26:00 (米) パエゼ・セントルイス連銀暫定総裁、講演
27:00 (米) 財務省30年債入札(四半期定例入札)
28:00 (米) パウエルFRB議長、パネル討論会に参加

11/10(金)
休場 米国(政府・為替・債券休場、株式・商品市場は通常取引)
08:50 (日) 10月 マネーストックM2 前年同月比 (9月 2.4%)
09:30 (豪) 豪中銀、四半期金融政策報告
16:00 (英) 7-9月期 GDP・速報値 前期比 (4-6月 0.2%、予想 -0.1%)
16:00 (英) 7-9月期 GDP・速報値 前年同期比 (4-6月 0.6%、予想 0.5%)
16:00 (英) 9月 月次GDP 前月比 (8月 0.2%、予想 -0.1%)
16:00 (英) 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 -0.7%、予想 -0.1%)
16:00 (英) 9月 鉱工業生産 前年同月比 (8月 1.3%、予想 1.1%)
16:00 (英) 9月 貿易収支・物品 (8月 -159.50億ポンド、予想 -153.00億ポンド)
16:00 (英) 9月 貿易収支 (8月 -34.15億ポンド、予想 -26.50億ポンド)
21:30 (米) ローガン・ダラス連銀総裁、講演
24:00 (米) 11月 ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値 (10月 63.8、予想 63.8)
24:20 (独) ナーゲル独連銀総裁、講演
28:00 (米) 10月 月次財政収支 (9月 -1710億ドル)


注:ポイント要約は編集部

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