ユーロ高トレンドは継続も1.07台後半で小休止か
〇先週のユーロドル、日銀会合後のドル円での円安の動きがユーロ円にも波及して上昇
〇その後、ドル高の動きとユーロ円が160円を割り込む動きが重なり、1.0518レベルに
〇FRB議長のハト派的発言、弱い米指標を受け米金利低下、ユーロドルは週末1.0747レベルに上昇
〇今週はECB主要メンバーの講演にて最近のスタンスに変化がないか確認
〇テクニカルには、ユーロドル上昇継続トレンドに変化が出るか要注目
〇今週は1.0630レベルをサポートに、1.0770レベルをレジスタンスとする流れを見る
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロドルは日銀会合後のドル円での円安の動きがユーロ円にも波及したことでユーロドルもまた上昇する動きから始まりました。その後、ドル高の動きとユーロ円が160円の大台を割り込む動きが重なりユーロドルはFOMC直後に週間安値となる1.0518レベルをつけました。
1.05の大台を試しきれない中で、パウエル議長がややハト派的なスタンスであったこと、週末に向けては米国の経済指標が全般に予想よりも弱い結果となったことから米金利が低下、ドル売りの動きからユーロドルは1.0747レベルまで上昇後にやや押しての週末クローズとなりましたが、ドル円と動きにずれはあったものの、米金利低下によるドル売りの動きが結果として影響が大きかった週となりました。
今週も欧州からは経済指標やECB関係者の発言が連日ありますが、重要なイベントをいくつかピックアップすると、デギンドスECB副総裁、レーンECB理事、ラガルドECB総裁と主要メンバーの講演で最近のスタンスに変化が無いかを確認することとなります。現状ではECBはターミナルレートに到達し、現在の金利水準をしばらく維持というのがコンセンサスとなっていますので、それを基準にタカ派(利上げ余地あり)、ハト派(市場コンセンサスよりも弱き)なのかを考える流れです。
そうした中でユーロ圏PPIや主要国のPMI、CPIの改定値も判断材料とはなりますが、経済指標に関してはそれほど重要度が高いものはありません。発言に注意すべき一週間ということになるでしょう。またテクニカルには上昇トレンドが継続していますので、このトレンドに変化が出るかどうかのほうが個人的には気になる材料です。
テクニカルには日足チャートをご覧ください。
7月高値からの平行下降チャンネル(青)を上抜け、現在は10月安値からの平行上昇チャンネル(ピンク)に移行して上昇トレンド継続中です。先週は下値も上値も若干このチャンネルを抜けてはいますが、下ヒゲと上ヒゲでわずかに抜けているだけなので、今週のところはこれまでと同じチャンネルで判断します。
先週はドル安の動きでユーロドルが1.07台に乗せる動きとなり、チャンネル上限に重なる動きとなってきましたが、7月高値と10月安値の38.2%戻しが1.0763と先週高値に近い水準となっているため、現在は同水準をターゲットにもう少し上値を伸ばす余地があるという見方でよさそうです。週を通して上側のラインも上昇していきますので、ターゲット水準を付けた後は調整で下げる動きが予想されます。ただ下値は金曜安値圏の1.06台前半ではユーロ買いオーダーが入ってくると考えられます。
今週は1.0630レベルをサポートに、1.0770レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
今週のコラム
今週はドルインデックスの日足チャートを見てみます。
ドルインデックスはユーロの割合が高いためユーロドルのチャートを上下逆にしたチャートになりがちですが、最近はユーロ以外の通貨の動きの影響からだいぶ形状が異なっている印象です。
10月と11月第1週でダブルトップ状のリバーサルパターンを形成し、ネックラインにあたる10月安値を下抜ける動きとなってきました。このネックラインは7月安値と10月高値の23.6%押しとも一致していますが、同水準を下抜けたことで次のターゲットとなる38.2%押し104.06が視野に入ってきました。
値幅的には現行水準から0.7%に過ぎませんが、テクニカルにドル全般が弱い流れになって来ているチャートですから、引き続きユーロドル、ドル円等主要通貨でのドル安の流れには注意が必要でしょう。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
11月6日(月)
**:** 米国冬時間開始 ☆
16:00 ドイツ9月製造業新規受注
17:35 デギンドスECB副総裁講演 ☆
17:50 フランス10月サービス業PMI
17:55 ドイツ10月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏10月サービス業PMI
18:30 英国10月建設業PMI
21:45 オーストリア中銀総裁講演
27:00 ドイツ連銀総裁講演 ☆
11月7日(火)
09:01 英国10月小売売上高
16:00 ドイツ9月鉱工業生産
19:00 ユーロ圏9月PPI ☆
28:30 ドイツ連銀総裁講演
11月8日(水)
16:00 ドイツ10月CPI
16:45 フランス9月貿易収支
17:45 レーンECB理事講演 ☆
18:00 ベルギー中銀総裁、アイルランド中銀総裁講演
18:30 英中銀総裁講演 ☆
19:00 ユーロ圏9月小売売上高
21:30 スペイン中銀総裁講演
**:** ユーロ圏財務相会合 ☆
11月9日(木)
09:01 英国10月住宅価格
17:00 フランス中銀総裁講演 ☆
17:10 レーンECB理事講演
26:30 ラガルドECB総裁講演 ☆
**:** EU財務相会合
11月10日(金)
16:00 英国7〜9月期GDP速報値 ☆
16:00 英国9月鉱工業生産、貿易収支
21:30 ラガルドECB総裁講演
24:20 ドイツ連銀総裁講演
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
10月30日(月)
週明けのユーロドルは東京市場では動かず、欧州市場に入ると米金利低下をきっかけにユーロ高(ドル安)の動きとなりました、ユーロは目立った材料が出たわけではありませんが、対ドル、対円ともに買われ月末を前にした実需からみの動きであったように見えました。その後、NY市場ではドル円が下げたため、ユーロ円は下げましたが、ユーロドルは引けまで底固い値動きを続けました。
10月31日(火)
ユーロドルは東京市場ではドル円とともにドル買いの動きからユーロ売りとなっていましたが、欧州市場序盤からはユーロ円でも円安となり大きく買われる動きとなったことからユーロドルは上昇、1.0675レベルの高値を付けました。欧州昼以降はドル買いの動きが強まったことで1.0558レベルまで下押しし、安値圏での引けとなりました。またユーロ円は高値160.95レベルと2008年以来の高値を付けましたが、ユーロドルの下げもあり引けにかけては失速し160円台前半へと押しました。
11月1日(水)
ユーロドルはドル円とともにユーロ円でも円買い戻しの動きが続いたことから上値の重たい展開が続き、NY市場で1.0517レベルまで押しが入り、やや戻して引けました。FOMC後の米金利低下の影響はほとんど見られませんでした。
11月2日(木)
ユーロドルはNY市場までは小動き、NY市場に入り前日FOMC後の動きから米金利が低下する動きとともにユーロドルは1.0668レベルまで買われましたが、引けにかけては1.06台前半へと押して引けました。
11月3日(金)
ユーロドルはNY市場まではユーロが底固い動きではあったものの、基本的に小動きの流れが続いていました。弱い雇用統計をきっかけとしたドル売りの動きからユーロドルは1.0747レベルまで上伸し、若干押しての週末クローズとなりました。
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