ドル円の反落に合わせて失速、対ドルでは終値ベースで史上最安値を連日更新中
〇トルコ円、ドル円追いかけ 11/1早朝に5.36まで大幅上昇するも11/2午前序盤は5.30割り込む
〇ドル円、目先は安値試しが続きやすい、トルコ円は円高による圧迫感続くか
〇対ドル、11/1は概ね28.34から28.10の取引レンジ、終値ベースで史上最安値更新
〇実質的な大幅マイナス金利状態に対し、市場はトルコ中銀の追加利上げ催促としてのリラ売り継続
〇本日はトルコ中銀の四半期インフレ予想報告発表の予定
〇5.33を下回るうちは一段安警戒とし、5.28割れからは5.25前後への下落を想定
〇5.33超えからは5.35前後への上昇を想定
【概況】
トルコリラ円の11月1日は概ね5.36円から5.30円の取引レンジ、2日早朝の終値は5.33円で前日終値の5.35円から0.02円の円高リラ安だった。
日銀の金融緩和継続によりドル円が10月30日深夜安値148.80円から11月1日早朝高値151.71円へ急伸したため、トルコリラ円もドル円を追いかけて10月31日午前に一時的な安値で5.23円を付けたところを除いて31日深夜安値5.26円から反騰入りし、11月1日早朝には5.36円まで大幅上昇した。
しかし11月1日朝に神田財務官が市場介入について「スタンバイだ」と述べる等円安けん制のトーンを上げたことでドル円は急騰後の修正安に入り、1日夜の米ADP民間雇用増加数が冴えずISM製造業景況指数も低下したことで151円を割り込み、2日未明のFOMCが予想通りに利上げを見送りパウエル議長会見もハト派的な姿勢と受け止められたことでドル安が継続となり、ドル円は2日午前には150.50円を割り込んだ。
トルコリラ円もドル円の下落に合わせて2日早朝には5.30円へ下落、2日午前序盤には5.30円を割り込んでいる。
ドル円は151.71円を付けて昨年10月21日高値151.94円に迫ってから反落入りしているが、市場介入への警戒感と急騰後の利益確定売り優勢の流れに加え、米長期債利回りが急低下したことで失速している。150円台を維持して足場を固めて上昇再開ヘ進めるかどうか、今晩の米経済指標及び明日夜の米雇用統計を見て方向性を示して行くと思われるが、目先は安値試しが続きやすいところとみて、トルコリラ円にとっては円高による圧迫感が続きやすいと注意したい。
【対ドルでは終値ベースで史上最安値更新】
ドル/トルコリラの11月1日は概ね28.34リラから28.10リラの取引レンジ、2日早朝の終値は28.31リラで前日終値の28.28リラからは0.03リラのドル高リラ安だった。
8月24日にトルコ中銀が7.5%利上げを決定したことによるリラ買いで25.02リラへ急伸したもののリラ買い一巡でドル高リラ安が再開し、9月22日に史上最安値を更新してからも連日のように最安値更新を続けてきた。10月31日には28.47リラを付けて取引時間中の最安値を更新し、1日は新たな安値更新には至らなかったものの日足の終値ベースでは10月23日から11月1日まで8営業日連続で史上最安値を更新している。
【トルコ中銀への追加利上げ催促としてのリラ売り続く】
トルコ中銀は10月26日に5.0%の追加利上げをして政策金利の週間レポレートを35.0%へ引き上げたが、9月のトルコCPI上昇率は前年比61.53%であり、11月3日に発表予定の10月CPIは事前予想で62.12%までさらに伸びると見込まれている。実質的な大幅マイナス金利状態にある中で、市場はトルコ中銀による大幅な追加利上げを催促してリラ売りを継続している。
11月2日にはトルコ中銀の四半期インフレ予想報告が発表され、3日には10月のトルコCPI、コアCPI,PPIの発表がある。
トルコ中銀は前回の四半期報告において2023年末のインフレ予想をそれまでの22.3%から58.0%へ引き上げ、エルカン中銀総裁は段階的な金融引き締めを継続する姿勢を強調し、6月から10月まで5会合連続の利上げを行ってきた。10月26日の追加利上げにおいても必要ならさらに追加利上げを行う姿勢を示したが、世界全体のインフレ率が高止まり傾向にあること、リラ安による通貨インフレが加速していること、7月に財政再建のためとして増税したことによる企業コストの上昇、パレスチナ・イスラエルの戦争状態による地政学的リスクの増大を踏まえれば、トルコのインフレ率が劇的に改善する見込みは立たず、中銀がどこまで利上げを継続できるのか試される状況だ。
11月1日に発表されたイスタンブールの10月小売価格指数は前月比3.69%上昇して9月の5.46%からは若干鈍化したものの月次としては高水準の上昇が続いており、前年比では72.73%へ上昇した。卸売価指数は前月比3.53%上昇、前年比は64.04%上昇した。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、10月26日午後高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして27日午前から31日午前にかけての間への下落を想定していたが、10月31日午前に一時的な安値を付けてから反騰入りしたため、11月1日午前時点では10月31日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。トップ形成期を31日午後から11月2日午後にかけての間と想定してすでに反落注意期にあるとしたが、11月2日午前に5.30円を割り込んでいるため11月1日未明高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして3日午前から7日午前にかけての間への下落を想定する。強気転換には11月1日未明高値5.36円に迫る必要があると考える。
60分足の一目均衡表では11月2日午前への下落により遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落しつつあるため、遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、連続的な下落で先行スパンから転落する場合は下げ足が速まる可能性があると注意する。連続的な上昇で先行スパンを上抜き返す場合は上昇再開の可能性ありとして遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンを上抜いてからの反落で先行スパンから転落する場合は下げが深まりやすいと考える。
60分足の相対力指数は10月31日深夜に80ポイントへ到達してから低下したが、11月2日午前には40ポイントを割り込んでいるので、50ポイント以下での推移か一時的に50ポイントを超えても維持できないうちは一段安余地ありとみる。強気転換は55ポイントを超えてその後も50ポイント台を維持して指数の高値切り上げヘ進む必要があると考える。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.27円を下値支持線、5.33円を上値抵抗線とする。
(2)5.33円を下回るうちは一段安警戒とし、5.28円割れからは5.25円前後への下落を想定する。5.25円以下は反騰注意とするが、5.30円以下での推移なら3日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)5.33円超えからは5.35円前後への上昇を想定するが、ドル円の急伸が発生しないうちは5.35円前後で戻り売りにつかまりやすいとみる。
【当面の主な予定】
11月2日
16:30 トルコ中銀 四半期インフレ予測報告書
20:30 週次 外貨準備高 10月27日時点 グロス (10月20日時点 825.7億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 10月27日時点 ネット (10月20日時点 225.5億ドル)
11月3日
16:00 10月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (9月 4.75%、予想 3.93% 予想レンジ 3.20〜5.00%)
16:00 10月 CPI消費者物価指数 前年同月比 (9月 61.53%、予想 62.12%、予想レンジ 61.00〜64.10%)
16:00 10月 コアCPI 前月比 (9月 5.3%)
16:00 10月 コアCPI指数 前年同月比 (9月 68.9%)
16:00 10月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (9月 3.4%)
16:00 10月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (9月 47.44%)
注:ポイント要約は編集部
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