ECB理事会(10月26日開催)結果のポイント:想定通りの内容でユーロは凪相場

欧州中央銀行(ECB)理事会では、主要政策金利の据え置き(4.50%)を発表した。

ECB理事会(10月26日開催)結果のポイント:想定通りの内容でユーロは凪相場

ECB理事会(10月26日開催)結果のポイント:想定通りの内容でユーロは凪相場

【今回のポイント】

〇 政策金利は過去最高の4.5%を据え置き

〇 ラガルドECB総裁は「 PEPP」の議論はなかったと発言

〇 為替市場は無風だったことから小動きに終始

【ECB理事会の結果】

欧州中央銀行(ECB)理事会では、主要政策金利の据え置き(4.50%)を発表した。前回9月の会合まで10回連続で利上げを実施しており、金利据え置きは2022年6月以来となる。

そして、2024年末までに実施予定とされている「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)」の再投資の前倒し終了の議論はされていないことが、ラガルドECB総裁の記者会見での質疑応答にて明らかとなった。

無風がコンセンサスで、さほど注目されていなかったが、ECB理事会後のラガルド総裁の記者会見での内容を整理すると下記の通りとなる。

【ラガルドECB総裁の記者会見コメント】

・現状に対する全般的かつ十分に共有された評価によって、過去15か月間に実施した10回に及ぶ利上げ後の我々の決定は「金利据え置き」である。時に何もしないことも行動の一つで、今回の据え置きという決定には意味がある。そして、全会一致での決定だった。

・金利が「ピーク」に達したという判断を下すつもりはない。我々はデータに依存しており、会合ごとに、「インフレ見通し」「基調インフレ」「金融政策効果」がどの程度強く波及しているかという3つの基準に基づき、金利が十分に効果を発揮しているかを判断する。

・PEPPの再投資に関する議論は、今会合では行っていない。

・成長率に対するリスクは下方に傾いており、金融政策の効果が予想以上に強く生じれば、成長率が低下する可能性はある。また、ロシアの正当化されないウクライナとの戦争、及びイスラエルに対するテロ攻撃を発端とする悲劇的な紛争は地政学リスクの主要要因である。

・インフレ率の上方リスクには、エネルギーと食料品価格の上昇があり、地政学の緊張高まりは、短期的にエネルギー価格を押し上げる可能性があり、中期的な見通しをより不透明にしている。

【市場の反応】

為替市場では、市場コンセンサス通りの「金利据え置き」だったほか、目新しいリスク等も無かったことから無風のリアクションとなった。10月26日21時15分以降の2時間のユーロの上下の値幅は僅か30銭(158円32銭から158円62銭)に留まった。また、対ドルなど他の主要通貨も同様で、前回とは異なる静かな地合いとなった。

【今後、ユーロはどう動く?】

今回の会合は、10月上旬に発生したイスラエルとイスラム組織ハマスとの軍事衝突後ということもあり、「不確実性」を織り込む想定通りの理事会決定と、ラガルドECB総裁の記者会見内容と言えよう。むしろ、この状況下を考慮してか、PEPPの議論が行われなかったことも市場の安心材料となった。ユーロ経済の成長率鈍化という可能性は高いものの、足元、地政学リスクの高まりという世界が対応すべき課題を優先することで、「スタグフレーション」の話題は自然と減りそうだ。

となれば、視線は自ずと、10月30日ー31日の日本銀行の金融政策決定会合に向かう。なお、日銀会合の見通しは、別途お話するのでここでは割愛するので、もう一つの円の関心ごとに振れておく。もちろん、為替介入だ。

市場は、政府・日銀による為替介入実施を警戒しており、ドル売り・円買いの為替介入が実施されれば、ユーロ売り・円買いとなる公算は大きい。10月3日、ドルが150円台に乗せた後に乱高下した事実は、投資家に強いインパクトを与えた。実際、為替介入は行っていないと考えるが、昨年の為替介入実施時、「介入実施」を明言した神田財務官が「コメントを差し控える」としたことで、市場は疑心暗鬼となっている。つまり、政府は新しい「口先介入」の方法で、為替市場のコントロールに成功した。

こうした為替介入に対する懸念が、ユーロの頭をおさえていることから、10月24日の年初来高値159円95銭を上回る展開、つまり160円台到達は難しいだろう。

となれば、中長期的な視点では、2020年5月の114円43銭を起点としたユーロ高・円安のトレンドは近々でピークを迎えると考える。ユーロ圏の経済成長率鈍化も改めて意識されれば、3年半に渡るトレンド転換を視野に入れておいたほうがいいだろう。160円手前では、ユーロ買いは要警戒だ。

【2023年スケジュール】

※米国は現地時間なので、金利発表及び記者会見は日本時間で翌日未明

日銀金融政策決定会合(日銀会合)

9月21日(木)ー22日(金)・・・現状の金融緩和方針を維持したことで、市場はやや円安
10月30日(月)ー31日(火)・・・「現状維持」?
12月18日(月)ー19日(火)・・・?

米連邦公開市場委員会(FOMC)

9月19日(火)ー 20日(水)・・・利上げ見送り、ややタカ派な姿勢が確認できたことで、市場はドル買いで反応
10月31日(火)ー11月1日(水)・・・「現状維持」?
12月12日(火)ー 13日(水)・・・?

欧州中央銀行理事会(ECB理事会)

9月14日(木)・・・0.25%引き上げで政策金利は4.5%、市場はユーロ売りで反応
10月26日(木)・・・想定通りの現状維持でユーロは凪相場
12月14日(木)・・・?

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