ユーロ買戻しは継続か
〇先週のユーロドル、週初買いが先行するも1.07を手前に反転、ECB理事会に向けてじり安の展開
〇週末にかけ、米株の下げとドル売りの動きからやや買い戻され越週
〇テクニカルには10月安値からの平行上昇チャンネルに移行し上昇トレンド継続中
〇FRB議長会見で年内利上げの可能性がトーンダウンするとドル売りで反応するとの見方が優勢
〇米国株式市場が利上げ終了と好材料視ならドル高の可能性も
〇中東情勢の緊迫が続けば市場のセンチメント改善は難しく、ドル売り材料となりユーロ高の一週間に
〇今週は1.0500レベルをサポートに、1.0650レベルをレジスタンスとする流れを見る
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロドルは週初こそ買いが先行したものの、1.07を手前に反転、その後はECB理事会に向けてじり安の展開を続けました。ECB理事会は予想通りの現状維持となりましたが、そうだとしても動きが鈍くほとんど材料視されない理事会は最近では珍しい状態でした。週末にかけては米株の下げとドル売りの動きからユーロドルはやや買い戻されて一週間を終えました。
ユーロドルはECB理事会が終わったものの、今週は日銀会合、FOMC、英中銀MPCと続き金融政策ウィークの仕上げ、そして米国雇用統計とイベント的には忙しい月末月初となります。特に今回の日銀会合はYCCの再修正思惑も一部にあり(個人的には同様の見通し)、日銀会合が振れさせる最大の要因となる可能性があります。
また日銀会合後には本邦財務省による介入実績発表と月末のロンドンフィキシングもありますので、月末が最大の注意すべき一日になるのではないかと考えています。その後のFOMCは現状維持で、続く議長会見で年内利上げの可能性がトーンダウンするかどうか、その可能性は十分にあると思いますので、その場合はドル売りで反応するという見方が多そうですが、大きく下げている米国株式市場が利上げ終了と好材料視すれば、ドル高に動く可能性もあるでしょう。ただ、イスラエル情勢が緊迫した状況が続く限り、株式市場のセンチメント改善は難しいので、ここは素直にドル売りの可能性を考えたいと思います。
また英中銀MPCは前回は僅差で現状維持としましたが、今回も票は割れそうですが現状維持となる可能性が高いでしょう。ドル売り材料とポンド売り材料と考えると、前者の影響のほうが大きそうですから今週は基本的にはややユーロ高の一週間を見たいところです。
テクニカルには日足チャートをご覧ください。
先週時点で7月高値からの平行下降チャンネル(青)を上抜け始めていましたが、現在は10月安値からの平行上昇チャンネル(ピンク)に移行して上昇トレンド継続中、現状はそのチャンネルの下限近くに位置しているという認識でよさそうです。
先週は下抜けの可能性を探っていたのですが、ドル円の動きやドルの材料などを考えると素直にトレンド継続という見方でよかったようです。イベントもあり、多少の振れはあることを考え、今週は1.0500レベルをサポートに、1.0650レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
今週のコラム
ECB理事会も終わったので、今週はドイツの10年債利回りと米国10年債利回りの利回り差とユーロドルとの相関を見てみることとします。
方向性を揃えるためにドイツ国債から米国債の利回りを引いた値をオレンジのラインチャートで示し(右軸)、ユーロドル日足をローソク足で示しました(左軸)。
ドル円も同様ですが、米金利上昇による金利差拡大がユーロドルでもユーロ売り、ドル買いの動きとなっていたのですが、10月以降のユーロドル底打ちの動きから、この相関が崩れています。金利差拡大の中でのユーロ買い戻しということで相関係数は10月下旬からは負の相関を示し、金利差拡大がユーロ売りとはなっていないことを示しています。
この負の相関がまだ続くのではないか、というのもユーロ高継続を見る一要因なのですが、どこかで元に戻る(正の相関へと)までは、長期金利から離れた分析をしたほうが良いということだけは確かでしょう。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
10月30日(月)
**:** 欧州冬時間開始 ☆
17:00 リトアニア中銀総裁講演
18:00 ドイツ7〜9月期GDP速報値 ☆
19:00 ユーロ圏10月消費者信頼感
22:00 ドイツ10月CPI速報値 ☆
10月31日(火)
12:00頃 日銀会合結果発表 ☆
15:30 フランス7〜9月期GDP速報値 ☆
15:30 フランス9月消費支出
16:00 ドイツ9月小売売上高、輸入物価
16:45 フランス10月CPI速報値 ☆
16:45 フランス9月PPI
19:00 ユーロ圏7〜9月期GDP速報値 ☆
19:00 ユーロ圏10月CPI速報値 ☆
19:00 本邦10月介入金額公表 ☆
11月1日(水)
16:00 英国10月住宅価格
18:30 英国10月製造業PMI
27:00 FOMC結果発表 ☆
27:30 パウエルFRB議長会見 ☆
11月2日(木)
17:50 フランス10月製造業PMI
17:55 ドイツ10月製造業PMI
18:00 ユーロ圏10月製造業PMI
21:00 英中銀MPC結果発表 ☆
21:30 英中銀総裁会見 ☆
11月3日(金)
16:00 ドイツ9月貿易収支
16:45 フランス9月鉱工業生産
18:30 英国10月サービス業PMI
19:00 ユーロ圏9月失業率
21:30 米国10月雇用統計 ☆
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
10月23日(月)
ユーロドルは東京市場では若干売りが先行したものの、欧州市場に入ると木曜のECB理事会を前にしたポジション調整と見られる買いが強まりました。NY市場では米金利が5%をつけた達成感から急速に水準を下げると、ユーロドルは1.0678レベルまで上昇し高値圏での引けとなりました。
10月24日(火)
ユーロドルは東京時間では前日の買いの流れが継続し後場には1.0694レベルまで上昇していました。しかし欧州市場序盤の弱いドイツの経済指標をきっかけに反転下落、ECB理事会を前にしたポジション調整に乗っかって買っていた短期筋が売ったことで2日掛けての行って来い。1.0583レベルまで下押しし、若干戻して引けました。
10月25日(水)
ユーロドルは上下しながらもドルが底固い動きとなっていたことからユーロの上値が重い動きを続けました。欧州市場で1.0566レベルまで水準を下げたもの下値も固く、終日レンジは40pipsに留まりました。
10月26日(木)
ユーロドルはECB理事会を控えて動きは鈍かったもののドル円でのドル買いに引っ張られて上値が重たい地合いで理事会を迎えました。結果は予想通り現状維持、先行き景気への懸念とインフレが収まっていく見通しが示されましたが目立った反応は見られず、終日のレンジも47pipsとイベントがあった割には静かな値動きの一日となりました。
10月27日(金)
ユーロドルはNY市場までは小動き、NY市場が始まる前に一時的な押しが入ったものの、NY市場ではドル売りの動きからユーロドルは上昇し1.0597レベルまで上げました。しかし、1.0600にはユーロ売りオーダーが並んでいて反落、引けは1.05台半ばとなりました。
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