『上値の重い展開が継続。対ドル相場は史上最安値を更新』
〇今週のトルコ円、トルコ指標の好調、円安進行等に週後半5.37まで上昇
〇週末にかけては中銀利上げ幅のノーサプライズ、トルコ株の大幅下落に5.26まで反落
〇トルコ円、主要テクニカルポイントの下で推移、売りシグナルも継続、テクニカルの地合い弱い
〇ファンダメンタルズは中東情勢を巡る地政学的リスク、米金融引き締めの長期化観測が重石に
〇トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):5.15ー5.45
今週のレビュー(10/23−10/27)
今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初5.35円で寄り付いた後、(1)トルコ10月消費者信頼感指数(結果74.6、前回71.5)の力強い結果や、(2)重要イベントを控えたポジション調整(トルコ中銀が週後半に予定されている金融政策決定会合で大幅利上げに踏み切るとの警戒感)、(3)エルドアン大統領によるスウェーデンのNATO加盟批准に向けた法案提出、(4)トルコ10月設備稼働率(結果77.4%、前回77.3%)の良好な結果、(5)トルコ10月景気動向指数(結果105.3、前回105.1)の良好な結果、(6)ドル円相場の堅調推移(ドル円が直近高値を突破し、約1年ぶり高値となる150.79まで急上昇→トルコリラ円連れ高)が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値5.37円まで上昇しました。
しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(7)トルコ中銀による利上げ幅(政策金利を30.0%から35.0%への500bp利上げ)の予想通りの結果や、(8)トルコ株の大幅下落(エルドアン大統領によるイスラム組織ハマスの擁護発言→欧米との関係悪化懸念→トルコ株急落)が重石となり、週末にかけて、週間安値5.26円まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間10/28午前1時00分現在)では、5.30円前後で推移しております。尚、対ドル相場は週央にかけて史上最安値を更新しました。
来週の見通し(10/30−11/3)
トルコリラの対円相場(TRYJPY)は上値の重い展開が続いています。日足ローソク足が主要テクニカルポイントの下側で推移していることや、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」「弱気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の下落トレンド」が成立していること、対ドル相場が年初来安値を連日で更新していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)中東情勢を巡る地政学的リスクの長期化懸念(一部通信社より「イスラエルはハマスが求めた長期停戦に応じなかった」との報道あり)や、(2)エルドアン大統領によるイスラム組織ハマスの擁護発言(欧米との関係悪化懸念)、(3)トルコ株の大幅下落(トルコ政府・中銀による正常化路線への転換を好感して入っていた海外マネーのアンワインド)、(4)トルコ国内の治安悪化懸念(観光収入の減少リスク)、(5)米FRBによる金融引き締め長期化観測(トルコから米国への資金流出圧力)、(6)トルコリラの実質金利のマイナス継続(トルコ中銀による大幅利上げが継続するも、実質金利のマイナス幅解消には程遠い状態)など、トルコリラ円相場の下落を連想させる材料が揃っています。
以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は、トルコ9月貿易収支や、トルコ10月製造業PMI、トルコ10月消費者物価指数、トルコ10月生産者物価指数に注目が集まります。特にインフレ指標への注目度が高く、市場予想を上回る場合には、実質金利のマイナス幅拡大(トルコ中銀による利上げがインフレに追いつかないリスク)が改めてクローズアップされる恐れがあるため、週後半にかけてのトルコリラ急落に警戒が必要でしょう。
来週の予想レンジ(TRYJPY):5.15ー5.45
注:ポイント要約は編集部
トルコ円日足
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