来週の為替相場見通し:『来週は日銀金融政策決定会合と米FOMCがメインイベント』(10/28朝)

ドル円は週後半にかけて年初来高値(150.79)を更新するなど、力強い動きが続いています。

来週の為替相場見通し:『来週は日銀金融政策決定会合と米FOMCがメインイベント』(10/28朝)

『来週は日銀金融政策決定会合と米FOMCがメインイベント』

〇今週のドル円、週前半の安値149.32から週後半にかけ150.79まで急伸、年初来高値を更新
〇PMI、新築住宅販売等の米指標の好調と米長期金利上昇が背景
〇その後は米3QPCEコアデフレータの予想以上の低下等に伸び悩み、149円台半ばで越週
〇ユーロドル1.05-1.06台での推移、ECBの利上げ打ち切りも予想の範疇で方向感を欠く動き
〇ドル円テクニカルの地合い強く、ファンダメンタルズもドル円上昇の材料揃う
〇来週は日米金融政策イベントと、FRBパウエル議長、日銀植田総裁会見に注目
〇引き続き、ドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(USDJPY):147.50ー152.00、(EURUSD):1.0400−1.0700

今週のレビュー(10/23−10/27)

<ドル円相場>
今週のドル円相場は、週初149.79で寄り付いた後、(1)日銀による金融緩和の修正観測(日本経済新聞社は10/22付朝刊で「月末の金融政策決定会合で日銀がイールドカーブコントロールの再修正を議論する可能性」と報道→円金利上昇→円買い再開)や、(2)米著名投資家ビル・アックマン氏による米債ショート解消の噂(現在の相場水準で長期債ショートを維持することはリスクが大き過ぎると判断)、(3)米モルガン・スタンレー社による米ドルに対するスタンス変化(強気からニュートラルへの見通し転換発表)、(4)中東情勢緊迫化に伴う地政学的リスクの長期化懸念、(5)米金利低下に伴うドル売り圧力が重石となり、翌10/24にかけて、週間安値149.32まで下落しました。

しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(6)米10月製造業PMI速報値(結果50.0、予想49.5)および米10月非製造業PMI速報値(結果51.0、予想49.9)の市場予想を上回る結果や、(7)日米金利差に着目した円キャリートレードの再開期待、(8)米9月新築住宅販売件数(結果75.9万件、予想68.0万件)の市場予想を上回る結果、(9)米長期金利の急上昇、(10)直近高値突破に伴う仕掛け的なドル買い・円売りが支援材料となり、週後半にかけて、年初来高値150.79(昨年10/21以来、約1年ぶり高値圏)まで急伸しました。

もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(11)米第3四半期PCEコアデフレータ(結果2.4%、予想2.6%)の市場予想を下回る結果や、(12)米金利低下に伴うドル売り圧力、(13)政府・日銀による介入警戒感、(14)短期筋の利食い売りが重石となり、本稿執筆時点(日本時間10/28午前2時20分現在)では、149.55前後まで値を崩す動きとなっております。尚、今週発表された米第3四半期GDP速報値(結果4.9%、予想4.3%)は市場予想を上回る結果となりましたが、ドル買いでの反応は限定的となりました。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、週初1.0594で寄り付いた後、(1)欧州債利回り上昇に伴うユーロ買い圧力や、(2)ユーロ圏10月消費者信頼感指数速報値(結果▲17.9、予想▲18.3)の市場予想を上回る結果、(3)米金利低下に伴うドル売り圧力、(4)直近高値突破に伴う仕掛け的なユーロ買い・ドル売り、(5)ECB理事会を控えたポジション調整が支援材料となり、翌10/24にかけて、週間高値1.0695(9/20以来、約1カ月ぶり高値圏)まで急伸しました。

しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(6)心理的節目1.0700を背にした戻り売り圧力や、(7)ユーロ圏10月製造業PMI速報値(結果43.0、予想43.5)およびユーロ圏10月非製造業PMI速報値(結果47.8、予想48.5)の市場予想を下回る結果、(8)欧州債利回り低下に伴うユーロ売り圧力、(9)米10月製造業PMI速報値および米10月非製造業PMI速報値の市場予想を上回る結果、(10)短期筋のストップSELL、(11)ドイツIfo経済研究所のフュースト所長による「ECBは2024年後半に利下げに踏み切る可能性」「ECBがこれ以上の利上げに踏み切る理由はほとんど見当たらない」とのハト派的な発言、(12)ECB理事会での政策金利の据え置き決定(ECBは25年の歴史の中で最長となっていた連続利上げの打ち切りを決定→ECBによる金融引き締め終了の思惑→ユーロ売り再開)が重石となり、週後半にかけて、週間安値1.0522まで下落しました。

もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(13)米第3四半期PCEコアデフレータ(結果2.4%、予想2.6%)の市場予想を下回る結果や、(14)米金利低下に伴うドル売り圧力が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間10/28午前2時20分現在)では、1.0569前後まで持ち直す動きとなっております。尚、ラガルドECB総裁はECB理事会後の記者会見で「ユーロ圏経済は弱いままであり、年内も同じような状態が続くだろう」「インフレは近いうちに低下するだろう」とのハト的な見解を示しましたが、ユーロ売りでの反応は限定的となりました。

来週の見通し(10/30−11/3)

<ドル円相場>
ドル円は週後半にかけて年初来高値(150.79)を更新するなど、力強い動きが続いています。日足ローソク足が主要テクニカルポイントの上側で推移していることや、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「強気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは強い(下値余地は乏しい)と判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め長期化観測(直近で発表された米雇用統計、米PPI、米CPI、米ミシガン大期待インフレ率、米小売売上高、米GDPは軒並み市場予想を上回る力強い結果→米長期金利の高止まり)や、(2)日銀による金融緩和の長期化観測、(3)上記1、2を背景とした日米金融政策の方向性違い(日米金利差拡大に伴う円キャリートレードの継続期待→円売り安心感)、(4)政府・日銀による実弾介入の難易度上昇(国際通貨基金サンジャヤ・パンス副局長は先々週、「最近の円安はファンダメンタルズに沿った動きで、為替介入の要件を満たしていない」と発言)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。

こうした中、来週は上記1を確認する目的で10/31ー11/1に開催される米FOMCおよびパウエルFRB議長記者会見と、上記2を確認する目的で10/30ー10/31に開催される日銀金融政策決定会合および植田日銀総裁記者会見に注目が集まります。前者(FOMC)については、政策金利の据え置きが見込まれているため、市場参加者の関心事は、パウエルFRB議長より「今後の金融政策に関するヒント」が得られるか否かとなっています。ここ最近繰り返されている「長期金利の高止まりが実質的な金融引き締め効果をもたらしているため追加利上げの必要性が低下している」とのスタンスが改めて示される場合には、一時的にドル売りで反応する可能性があるものの、これは裏を返すと「長期金利が仮に低下すれば追加利上げの必要性が増すこと」を示しているとも受け止められるため、結果として政策金利の「より高く・より長く」が意識され、為替市場では一巡後にドル高で反応するシナリオが想定されます。

また、後者(BOJ)については、展望レポートの上方修正や、イールドカーブコントロールの再修正が警戒されているものの、仮に展望レポートの上方修正(2023年度や2024年度のみならず2025年度も上方修正される場合)や、イールドカーブコントロールの再修正(0.5%の目途値の撤廃など)がなされたとしても、日米金利差が埋まるわけでは無いため(円キャリートレードの合理性が失われるわけではないため)、こちらも一巡後の反転(円買いで反応した後に、怒涛の円売りに繋がるシナリオ)が想定されます。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします(但し、日米金融政策イベントに絡んでボラティリティが高まる可能性があるため、予想レンジは通常時よりも幅広く設定いたします)。尚、来週は日米金融政策イベント以外にも、米10月ISM製造業景況指数、米10月ADP雇用統計、米10月ISM非製造業景況指数、米10月雇用統計など重要イベント目白押しの1週間となります。

来週の予想レンジ(USDJPY):147.50ー152.00

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場(EURUSD)は10/3に記録した年初来安値1.0448(昨年12/7以来の安値圏)をボトムに反発に転じると、今週前半にかけて一時1.0695まで急伸しましたが、週央以降は再び反落に転じ、現在は1.05台後半での推移が続いています。日足ローソク足が主要テクニカルポイントの下側で推移していることや、一目均衡表の分厚い雲が上方より垂れ下がってくること、90日線と200日線のデッドクロスが実現したこと、強い売りシグナルを示唆する「弱気のパーフェクトオーダー」が約1年ぶりに点灯したこと等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱い(上値余地は乏しい)と判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)欧州経済の先行き不透明感(国際通貨基金は先々週、ユーロ圏の経済成長率見通しの下方修正を発表。ECB専門家調査によると、ユーロ圏の成長率予測は2023年が前回の+0.6%から+0.5%へ下方修正。2024年が前回の+1.1%から+0.9%へ下方修正。今週発表されたユーロ圏製造業PMI、非製造業PMIは軒並み悪化)や、(2)ECBによる金融引き締め休止観測(ECBは11会合ぶりに政策金利の引き上げを停止→利上げサイクルがついに終了)、(3)米FRBよる金融引き締め長期化観測(米10年債利回りは2007年7月以来の高水準での推移が継続)、(4)上記2、3を背景とした欧米金融政策の方向性の違い(欧米金利差拡大に伴うユーロ売り・ドル買い圧力)、(5)中東情勢緊迫化に端を発した地政学的リスクの長期化懸念(一部通信社より「イスラエルはハマスが求めた長期停戦に応じなかった」との報道あり)など、ユーロドル相場の下落を連想させる材料が揃っています。

来週発表されるユーロ圏10月消費者物価指数(HICP)が市場予想を上回る場合や、ユーロ圏7−9月期GDP速報値が市場予想を下回る場合には、スタグフレーション発生への警戒感から、ユーロ売りに拍車がかかるシナリオが想定されます。以上を踏まえ、当方では引き続き、ユーロドル相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(10/3に記録した年初来安値1.0448を早期に試すシナリオを想定)。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.0400−1.0700

注:ポイント要約は編集部

『来週は日銀金融政策決定会合と米FOMCがメインイベント』

ドル円日足

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