トルコリラ円見通し 中銀利上げは予想通りでリラ安基調に変わり無し(23/10/27)

トルコリラ円の10月26日は概ね5.36円から5.27円の取引レンジ、27日早朝の終値は5.33円で前日終値の5.34円からは0.01円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し 中銀利上げは予想通りでリラ安基調に変わり無し(23/10/27)

トルコリラ円見通し 中銀利上げは予想通りでリラ安基調に変わり無し

〇トルコ円、10/26は5.32から5.36までのレンジでの小動き中心、トルコ中銀の利上げへの反応鈍い
〇ドル円が10/26午後に急伸後に一時急落する乱高下が発生した後は、ドル円を見ながら上値重い展開
〇対ドル、10/26は概ね28.31から27.91の取引レンジ、リラ安基調継続
〇取引時間中・終値ベースともに、史上最安値を連日更新
〇トルコ中銀、政策金利を35.0%に引き上げるも予想通りだったため、リラ安に歯止めかからず
〇5.36を下回るうちは一段安余地あり、5.30を割り込むと5.27、5.25を順次試す下落を想定する
〇5.36超えからは反騰継続とみて、5.37から5.38への上昇を想定する

【概況】

トルコリラ円の10月26日は概ね5.36円から5.27円の取引レンジ、27日早朝の終値は5.33円で前日終値の5.34円からは0.01円の円安リラ高だった。
ドル/トルコリラにおけるリラ安基調の継続により26日午前に一時的なドル高リラ安を反映した飛び値となる5.28円の安値もあったが、それを除けば5.32円から5.36円までのレンジでの小動きとなり、26日20時のトルコ中銀による5%追加利上げも市場予想通りだったために反応は鈍かった。
トルコリラ円は10月13日から23日にかけて7営業日の続落となり、10月24日には一時的安値で5.25円を付けて8月24日のトルコ中銀による7.5%利上げをサプライズとして急伸した時の高値5.77円以降の安値を更新した。その後も飛び値で5.30円を繰り返し割り込んでおり、中心的な取引レンジはやや右肩上がりで下げ渋り感も出ていたが、ドル円が10月26日午後に急伸してから一時急落する乱高下が発生した後はドル円を見ながら上値が重くなっている。

ドル円は10月26日未明に150円台に到達、午前序盤に150.31円へ続伸したものの財務省・政府関係者からのけん制発言が鈍かったために午後高値で150.77円を付けて年初来高値を更新したが、10月3日夜に乱高下したのと同様に売り注文連鎖とその後の買い注文連鎖で149.98円へ急落してから戻す波乱となった。しかし波乱後は150円台前半を維持しており、政府による口先介入がトーンを上げて市場介入への警戒感を高めない場合には市場介入の決意性を試すように円安が勢い付く可能性がある。また市場介入が発生すれば10月3日夜の波乱レベルを超える急落商状となることもあり得る。
トルコリラ円としてはドル高リラ安の継続による圧迫感を超える円安なら5.40円台回復へ向かう可能性も出てくると思われるが、151円手前で上値が多くなるようだと円安による押し上げ効果が減衰し、介入ないし介入警戒感で連続的に下落する場合にはリラ安と円高が重なって下げ足が速まることも考えられる。

【中銀の利上げは予想通りでリラ安基調は継続】

ドル/トルコリラの10月26日は概ね28.31リラから27.91リラの取引レンジ、27日早朝の終値は28.13リラで前日終値の28.11リラから0.02リラのドル高リラ安だった。
トルコ中銀が市場予想通りに5.0%の追加利上げを決定して政策金利を35%へ引き上げたものの、CPI上昇率が60%を超えていることによる実質的な大幅マイナス金利状態は解消せず利上げはさらに必要としてリラ安基調が継続した。
取引時間中の史上最安値は10月18日の28.20リラから24日に28.22リラへ、25日に28.28リラへ更新してきたが、26日午前序盤には28.31リラを付けて3営業日連続で史上最安値を更新した。終値ベースでも10月23日終値で28.06リラ、24日に28.10リラ、25日に28.11リラとし、26日終値28.13リラで4営業日連続の最安値更新となった。

【トルコ中銀、予想通りの利上げではリラ安に歯止めはかからず】

トルコ中銀は10月26日の金融政策委員会(MPC)において主要政策金利の週間レポレートを5.0%引き上げて35.0%とした。市場の事前予想は中央値が5.0%利上げで2.5%から5.0%の利上げ予想だったが、予想通りだったために市場の反応は鈍かった。
中銀はインフレを抑制するため「必要なだけ金利をさらに引き上げる用意がある」と従来の姿勢を繰り返したが、9月のトルコCPI前年比は61.53%で年末にかけてはさらに上昇すると見込まれており、実質的な大幅マイナス金利状態は改善の見込みが立っていない。
エルカン総裁体制に入ってから連続利上げされているが、2.5%利上げでは失望を買い、5.0%利上げでは反応は薄く、8月24日の7.5%利上げではリラ高反応がみられたもののリラ買いは1日で終わりリラ安が再開した。

トルコ中銀による月次のビジネス・サーベイにおいてはトルコ主要企業トップとエコノミストによる為替予想では年末に1ドル30リラへ向かう見込みとされているが、10月26日に金融大手のソシエテ・ゼネラルは12か月後には1ドル34リラまでリラ安が進むとの予想を発表している。
トルコ中銀は11月と12月に5.0%ずつの追加利上げを行い政策金利が45%に達してCPIが鈍化すればリラ安が落ち着く可能性もあるだろう。しかし、元来は高金利は悪としてきたエルドアン大統領がそこまでの利上げを容認できるかどうか疑問符も付く。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、10月24日午前の一時的な急落による安値から持ち直し、26日早朝にかけて円安により上昇したため、24日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして24日夜から26日夜にかけての間への上昇を想定した。
26日午前の一時的な飛び値を除いて26日午後へ上昇したが、その後は軟調推移のために26日午後高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとし、ボトム形成期を27日午前から31日午前にかけての間と想定する。ただし、10月26日午後高値5.36円超えからは強気サイクル入りとして31日午後から11月2日午後にかけての間への上昇を想定する。 

60分足の一目均衡表では一時的な安値を除いて先行スパンを上回っているのでまだ上昇余地が残るが、連続的な下落で先行スパンから転落する場合は下落継続とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は10月26日早朝に70ポイント到達へ急伸してから反落し、その後は50ポイントを挟んだ揉み合いとなっている。60ポイント超えからは上昇再開とするが、50ポイント以下での推移中は下向きとし、40ポイント割れからは20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.30円を下値支持線、5.36円を上値抵抗線とする。
(2)5.36円を下回るうちは一段安余地ありとし、連続的な下げで5.30円を割り込むところからは5.27円、5.25円を順次試す下落を想定する。5.25円以下は反騰注意とするが、5.32円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)5.36円超えからは反騰継続とみて5.37円から5.38円への上昇を想定するが、5.37円以上は反落警戒圏とし、その後に5.32円を割り込む場合は下落再開と考える。

【当面の主な予定】

10月30日
 16:00 10月 経済信頼感指数 (9月 95.4)
10月31日
 16:00 9月 貿易収支 (8月 -86.6億ドル)
 16:00 7-9月期 観光収入 (4-6月 129.8億ドル)
 17:00 9月 海外観光客数 前年同月比 (8月 5.65%) 



注:ポイント要約は編集部

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