トルコリラ円見通し ドル円の一段高に押し上げられるも26日午前にはドル高リラ安で失速(23/10/26)

トルコリラ円の10月25日は概ね5.35円から5.32円の取引レンジ、26日早朝の終値は5.34円で前日終値5.33円からは0.01円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し ドル円の一段高に押し上げられるも26日午前にはドル高リラ安で失速(23/10/26)

ドル円の一段高に押し上げられるも26日午前にはドル高リラ安で失速

〇トルコ円、ドル円の年初来高値更新に合わせ上昇するも、対ドルでの史上最安値更新により5.27に急落
〇対ドル、10/25は概ね28.28から27.90の取引レンジ、10/26午前序盤は28.31へ最安値切り下げる
〇本日20時にトルコ中銀MPC(金融政策委員会)、市場予想は5%追加利上げの35.0%
〇5%利上げの場合、一時的なリラ買い発生の可能性もあるが、一巡後はリラ売り再開か
〇連続的な下げで5.30を割り込むところからは5.27、5.25を順次試す下落を想定
〇5.35超えからは反騰継続とみて5.36から5.37への上昇を想定

【概況】

トルコリラ円の10月25日は概ね5.35円から5.32円の取引レンジ、26日早朝の終値は5.34円で前日終値5.33円からは0.01円の円安リラ高だった。
ドル円が10月26日早朝に150.31円へ上昇して10月3日夜の乱高下時に付けた高値150.15円を超えて年初来高値更新へ一段高したため、トルコリラ円も午前安値5.32円からジリ高で推移し、26日早朝には5.35円まで高値を切り上げた。しかし、26日午前序盤にはドル/トルコリラにおける史上最安値更新により5.27円まで急落するなどドル高リラ安による下ブレが続いており、8月24日の急騰後は右肩下がりの展開が続いている。

ドル円は10月3日夜に150.15円を付けてから147.41円へ急落する波乱となり、その後は繰り返し150円手前で売られつつ、10月10日安値148.15円から10月17日安値148.81円、24日夕刻安値149.30円と底上げ基調を維持して三角持ち合いの様相だったが、米5年債入札低調による債券売りと米新築戸建て販売好調により米長期債利回り上昇・ドル高となったことに押し上げられて26日早朝に150.31円まで年初来高値を更新した。
今夜はECB理事会、米国のGDP速報、新規失業保険申請件数、耐久財受注発表が相次ぎ、27日夜にはインフレ指標として重視されている米PCE(個人消費支出)デフレーターの発表等もあり、内容次第では波乱もあり得るところだ。また150円台に乗せたことによる市場介入への警戒感も増しているため、トルコリラ円としては円安の加速による押し上げ期待がある反面、介入ないし介入警戒感による急落発生で押し下げられるリスクもあるところと注意したい。
10月26日20時にはトルコ中銀による追加利上げも想定されているが、利上げ幅によってはリラの急伸も急落もあり得るため、硬軟両刀で構えておきたい。

【大幅利上げ催促で史上最安値更新】

ドル/トルコリラの10月25日は概ね28.28リラから27.90リラの取引レンジ、26日早朝の終値は28.11リラで前日終値の28.10リラからは0.01リラのドル高リラ安だった。
8月24日にトルコ中銀が市場予想を大幅に超える7.5%追加利上げで政策金利を30.0%へ引き上げたことで一時的なリラ買い殺到がみられたものの、リラの先安感は継続として8月25日からリラ売りが再開してきた。
10月23日終値で28.06リラへ史上最安値を更新し、24日も28.10リラへ最安値を更新たが、25日も3営業日連続で終値としての最安値を更新した。取引時間中の史上最安値は10月18日の28.20リラから24日に28.22リラへ更新し、25日も28.28リラへ2日連続で更新したが、26日午前序盤には28.31リラへ最安値をさらに切り下げている。
10月25日に発表されたトルコ中銀による10月製造業景況指数は103.3となり9月の104.4から低下、設備稼働率は9月の77.3%から77.4%へ若干上昇したが市場の反応は鈍かった。

【今夜、トルコ中銀の追加利上げ幅に注目】

10月26日20時にトルコ中銀MPC(金融政策委員会)がある。
エルドアン大統領再選後に就任したエルカン新総裁体制に入ってからは、(1)インフレ抑制のための利上げを行う、(2)リラ安防衛のための市場介入をせず為替水準は市場原理に任せる、(3)外貨準備高を増加させる、(4)2021年末に導入されたリラ建て預金の為替差損を補填する保護預金制度を縮小して正常化する、という基本姿勢が貫かれている。
就任後のMPCにおいては6月にそれまでの8.5%から15.0%へ、7月に17.5%、8月に25.0%、9月に30.0%へと4会合連続で利上げを決定しており、10月26日会合については5.0%の追加利上げで35.0%へ引き上げられるのではないかと予想されている。
市場予想通りに5%利上げが決定される場合、一時的なリラ買いが発生する可能性もあるが、9月のトルコCPIが前年比61.53%上昇だったために実質的に大幅なマイナス金利状態にある現状の改善には程遠いとしてリラ買い一巡後にはリラ売りが再開しやすいのではないかと思われる。市場予想を下回る2.5%利上げに留まる場合はリラ売りが勢い付き、年末にかけて1ドル30リラを目指す可能性が高まると思われる。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、10月24日午前の一時的な急落による安値から持ち直し、26日早朝にかけて円安により上昇したため、24日午前安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしたと思われる。高値形成期は24日夜から26日夜にかけての間と想定されるが、26日午前に一時的な急落で5.27円まで失速したこともあり、すでにサイクルトップを付けて弱気サイクル入りしている可能性も考えられる。
一時的な飛び値を除いて5.30円を上回るうちは上昇余地ありとし、26日早朝高値を超える場合は26日夜にかけて高値試しを続ける可能性があるとみるが、連続的な下げで5.30円を割り込む場合は弱気サイクル入りとして27日午前から31日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では10月26日午前序盤の反落で遅行スパンが悪化しやすい位置に来ているが、一時的な安値を除いて先行スパンを上回っている。一時的な安値を除いて先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、連続的な下げにより先行スパンから転落する場合は下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は10月26日早朝に70ポイント到達へ急伸したが、その後に50ポイントを割り込んでいる。55ポイント超えからは上昇再開とするが、50ポイント以下での推移中は下向きとし、40ポイント割れからは20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.30円を下値支持線、5.35円を上値抵抗線とする。
(2)5.35円を下回るうちは一段安余地ありとし、連続的な下げで5.30円を割り込むところからは5.27円、5.25円を順次試す下落を想定する。5.25円以下は反騰注意とするが、5.32円以下での推移なら27日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)5.35円超えからは反騰継続とみて5.36円から5.37円への上昇を想定するが、5.36円以上は反落警戒圏とし、その後に5.32円を割り込む場合は下落再開と考える。

【当面の主な予定】

10月26日
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 30.0%、予想 35.0%)
 20:30 週次 外貨準備高 10月20日時点 グロス (10月13日時点 8313.1億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 10月20日時点 ネット (10月13日時点 220.6億ドル)
10月30日
 16:00 10月 経済信頼感指数 (9月 95.4)
10月31日
 16:00 9月 貿易収支 (8月 -86.6億ドル)
 16:00 7-9月期 観光収入 (4-6月 129.8億ドル)
 17:00 9月 海外観光客数 前年同月比 (8月 5.65%) 


注:ポイント要約は編集部

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