ドル円見通し 10月26日午後に乱高下するもその後は150円台前半でしっかり(23/10/27)

高値トライへ進み午後には150.77円まで急伸した。

ドル円見通し 10月26日午後に乱高下するもその後は150円台前半でしっかり(23/10/27)

ドル円見通し 10月26日午後に乱高下するもその後は150円台前半でしっかり

〇ドル円、10/26早朝150.31へ上昇し年初来高値更新、午後150.77まで上昇するも直後に149.98へ急落
〇150円割れとその後の反騰に対する買い注文の連鎖で、150.62まで切り返す
〇150円を突破したことにより、10/3以降の三角持ち合い型から上放れる
〇米GDP速報は5期連続プラス、四半期PCEデフレーターは鈍化しインフレのピークアウト感示す
〇10/26の米長期債利回りは上昇後に反落、NYダウ・ナスダックは続落
〇150.10を上回るうちは一段高余地ありとし、150.60超えからは150.77試しとする
〇149.98割れから続落する場合は下落継続の可能性を優先して、148円台中盤への下落を想定する

【概況】

ドル円は10月26日早朝に150.31円へ上昇して10月3日夜の乱高下時に付けた高値150.15円を超えて年初来高値を更新したが、午前の政府関係者による円安けん制発言が緩かったことで高値トライへ進み午後には150.77円まで急伸した。しかし売り注文の連鎖反応で直後に149.98円へ急落し、150円割れとその後の反騰に対する買い注文の連鎖で150.62円まで切り返した。
10月26日夜は7-9月期の米実質GDP速報値が5四半期連続プラス成長となり市場予想を上回る堅調な数字となったもののインフレ指標のコアPCE(個人消費支出)物価指数は市場予想をやや下回ったためにドル高反応は鈍く、米長期債利回りが低下したことでドル円は上値を抑えられつつ150円台前半を維持してしっかりする展開となった。

【10月3日高値超えで三角持ち合い上放れ】

ドル円は10月3日夜に150.15円を付けた直後に147.41円まで急落する波乱が発生し、10月17日夜にも直前の149.69円から148.81円へ急落して乱高下するなど波乱含みでの推移が続いている。いずれも実弾での市場介入は確認されなかったものの150円に対する市場介入警戒感が根強い状況が続いてきた。
10月24日には150円到達へ進み切れなかったとしていったん149.30円まで反落したところは買い拾われており、10月26日未明の150円到達後の円安けん制トーンがさほど上がらなかったことで市場介入姿勢を試すように急伸したと思われるが、急落不安も大きい中でまとまった売り注文が連続的にヒットしたのだろうと推察される。しかし、10月3日安値から10月17日安値、24日安値と底上げ基調を維持して150円を突破したことにより、10月3日以降の三角持ち合い型から上放れており、政府関係者による円安けん制がエスカレートして市場介入が現実味を帯びないようだと挑発的な上昇へと進む可能性もあるのではないかと思われる。

来週の日銀金融政策決定会合での政策一部修正論も見られるが、売り買いのパワーゲームで買い方優勢となれば上昇は勢い付き、政府・日銀は昨年10月21日高値151.94円を超えられることにストップをかけるのかどうか決意が試されそうだ。

【米GDP速報,5期連続プラスだが、四半期PCEデフレーターは鈍化】

10月26日に発表された米7-9月期実質GDP速報値は年率換算前期比4.9%増で4-6月期の2.1%増から伸びて5四半期連続プラス成長となった。市場予想の4.3%増を上回った。景気の底固さを示すものだが、米FRBがインフレ指標として注視しているコアPCE(個人消費支出)物価指数速報値は2.4%上昇で市場予想の2.5%を下回り、インフレのピークアウト感を示した。
GDPの凡そ7割を占める個人消費は4.0%増で前期の0.8%増から大幅に伸び、住宅投資は3.9%増で10期ぶりプラスだった。輸出は6.2%増と堅調だったが、設備投資は0.1%減と悪化して8期ぶりマイナスとなった。
9月の米耐久財受注額は前月比4.7%増で市場予想の1.5%を大幅に上回り、8月の0.1%減から回復した。設備投資の先行指標とされる航空機を除く非国防資本財受注は前月比0.6%増で市場予想の0.1%を上回った。

新規失業保険申請件数は10月21日までの週間で前週比1万件増加の21万件となり2週ぶりに悪化して市場予想の20.8万件を上回った。失業保険受給者総数は10月14日までの週間で179万人となり前週から6万3000人増加して市場予想の174万人を上回った。
この日の米経済指標は概ね堅調な数字だったが、コアPCEデフレーターの鈍化と新規失業保険申請件数の悪化もあり、米長期債利回りの低下反応を招き、ドル円の上昇要因としては鈍かった。

【米長期債利回りは低下、ダウは続落】

10月26日の米長期債利回りは総じて低下した。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.12%低下の4.84%で終了した。10月23日に5.02%まで上昇してから急低下して10月22日から24日までの3営業日続落で4.80%まで下げてから25日に前日比0.13%上昇と戻し、26日は4.99%まで続伸してから反落しておりやや頭打ち感が出ている。
30年債利回りは前日比0.10%低下の4.99%となった。10月23日に5.18%をつけたところから24日に4.93%まで低下したものの25日に前日比0.15%上昇で切り返し、26日は5.13%まで続伸してから反落した。
利上げに敏感な2年債利回りは前日比0.09%低下の5.04%となった。10月19日に5.26%まで上昇してから23日に5.04%まで低下した後は下げ渋り、25日は前日比0.02%上昇とし、26日も5.14%まで続伸したものの5.13%以上に抵抗感があり失速した。

最近の米経済指標や利回り動向を見て、市場としては来週のFOMCと12月のFOMCはともに利上げ見送りと予想している。
日本の長期金利指標である新発10年債(372回債)利回りは26日に0.030%上昇の0.880%で終了、一時は0.885%をつけて2013年7月以来の高水準を更新したが円高材料視はされていない。
一方、NYダウは前日比251.63ドル安と下落、25日の105.45ドル安から続落し、ナスダック総合指数は225.61ポイント安で25日の318.65ポイント安から続落した。25日はアルファベット決算を見て売られたが26日もIT関連の売りが目立った。長期金利上昇期の継続感と中東情勢への懸念も重石となっている。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は10月17日夜の一時的な急落で148.81円を付けたところから5日目となる10月24日夕安値で目先の底を付けて一段高に入ったが、26日午後の急伸後に一時急落する波乱となりその後も高値切り上げヘ進めずにいるので、26日午後高値を超えないうちは安値試しへ進みやすいとみて27日午後から31日夕にかけての間への下落を想定する。ただし、150円台前半を維持してしっかりしているので、150.50円超えからは26日高値150.77円試しとし、高値更新からは新たな上昇期入りとして31日午後から11月2日午後にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では10月26日午後の乱高下後を150円台前半の持ち合いで推移しているため先行スパンを上回る状況を維持しているものの遅行スパンは悪化しやすくなっている。遅行スパン悪化からは安値試し優先とするが、先行スパンを上回るうちはその後に遅行スパンが好転するところから上昇再開とし、先行スパンへ潜り込むところからは下向きとし、先行スパン転落からは下げ足が速まるとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は10月26日午前から午後への一段高に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられるため、目先は下向きとして50ポイント割れからは40ポイント弱を目指す下落を想定するが、60ポイント超えからは上昇再開の可能性ありとし、65ポイント超えからは上昇が勢い付くとみて70ポイント台中盤への上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、149.98円を下値支持線、150.77円を上値抵抗線とする。
(2)150.10円を上回るうちは一段高余地ありとし、150.60円超えからは150.77円試しとし、150.77円超えからは151円台序盤への上昇を想定する。売り注文の連鎖や口先での市場介入及び実弾での市場介入も警戒されるが、直前高値から1円程度の急落は買い拾われやすいとみる。
(3)149.98円割れから続落して早々に150.10円を超えられない場合は下落継続の可能性を優先して148円台中盤(148.65円かた148.35円)への下落を想定し、149.98円以下での推移か直前安値から1円を超える反騰がみられない場合は週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の予定】

10/27(金)
21:30 (米) 9月 個人所得 前月比 (8月 0.4%、予想 0.4%)
21:30 (米) 9月 PCE(個人消費支出) 前月比 (8月 0.4%、予想 0.5%)
21:30 (米) 9月 PCEデフレーター 前年同月比 (8月 3.5%、予想 3.4%)
21:30 (米) 9月 コアPCEデフレーター 前月比 (8月 0.1%、予想 0.3%)
21:30 (米) 9月 コアPCEデフレーター 前年同月比 (8月 3.9%、予想 3.7%)
22:00 (米) バーFRB副議長、FRBの会議で開会の挨拶
23:00 (米) 10月 ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値 (速報 63.0、予想 63.0)



注:ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る