ドル円は150円の抵抗感抜けず、対ドルでの下落基調続いて6営業日続落
〇トルコ円、日足終値で6営業日続落、ドル円の150円に対する上値抵抗感大きく押し上げ効果乏しい
〇ドル円が下落期に入った場合、ドル高リラ安の継続と共に円高によりトルコ円が押し下げられる可能性も
〇対ドル、10/20は概ね28.18から27.64の取引レンジ、週間では8週連続の下落
〇トルコ中銀調査 年末のCPI予想68.01%、3か月後政策金利予想37.27%
〇5.36を下回るうちは一段安余地ありとし、5.32割れからは5.30、5.28を順次試す下落を想定
〇5.36超えからは5.37及び5.38を試す上昇を想定
【概況】
トルコリラ円の10月20日は概ね5.38円から5.29円の取引レンジ、21日早朝の終値は5.35円で、小数点下三桁では19日終値の5.349円から20日終値の5.348円までわずかに円高リラ安であり、日足終値ベースでは10月13日から6営業日続落となった。週間では10月13日終値5.37円から0.02円の円高リラ安だった。
ドル円は10月3日夜に150.15円から147.41円へ急落する波乱発生から持ち直し、10月13日未明高値149.82円、18日未明高値149.85円、19日早朝高値149.93円、20日は未明高値で149.95円を付けて夕刻には149.99円まで高値を徐々に伸ばしてきたが、10月3日の波乱経験から150円に対する上値抵抗感も大きく行き詰まり感もみられるためにトルコリラ円への押し上げ効果は乏しくなっている。150円突破から円安が勢い付けばトルコリラ円への大きな押上げとなるが、いったん仕切り直しの下落期に入るようだとドル高リラ安の継続とともに円高によりトルコリラ円が押し下げられる可能性もあるところだ。
トルコリラ円は8月24日のトルコ中銀による超大幅利上げをきっかけとして当日安値5.29円から高値5.77円へ急伸したが、ドル高リラ安のぶり返して8月25日に反落してからも右肩下がりの展開を続け、10月9日には5.29円を付けて8月24日の急騰幅を解消し、その後の戻りも勢いを欠いている。
10月18日午後の5.29円や10月20日朝の5.30円等の飛び値となる安値も見られて下ブレしやすい状況で推移している。10月20日午後には一時的な高値で5.38円を付ける場面もあったが、10月18日以降は概ね5.36円前後が抵抗となって上値の重い展開だ。
【対ドルでは8週連続の下落】
ドル/トルコリラの10月20日は概ね28.18リラから27.64リラの取引レンジ、21日早朝の終値は27.95リラで前日終値の27.96リラからは0.01リラのドル安リラ高だった。週間では10月13日終値27.76リラから0.19リラのドル高リラ安で、週間では8月最終週から8週連続の下落となった。
8月24日のトルコ中銀による超大幅利上げにより当日に27.27リラから25.02リラへドル安リラ高となったもののリラ買いは一日に終わり、8月25日からドル高リラ安が再開して9月22日に史上最安値更新に入り、その後も連日のように最安値を更新して10月18日には28.20リラまで史上最安値を更新した。終値としては10月13日から18日終値28.00リラまで4営業日連続で史上最安値を更新した。
10月19日と20日は新たな最安値更新へは進んでいないものの8月24日高値を起点としたドル高リラ安基調の範囲にある。
【トルコ中銀調査 年末のCPI予想68.01%、3か月後政策金利予想37.27%】
10月20日にトルコ中銀による企業リーダー及びエコノミストに対する調査による各種予想(月次のビジネス・サーベイ)が発表された。
それによると、2023年末のCPI上昇率(年率)は68.01%で9月調査の67.22%から上昇、12か月後のCPIは45.28%で9月の44.94%から上昇した。2023年のGDP予想は年率4.1%で9月時点の3.9%から上方修正されたが、2023年の経常赤字予想は459億ドルで9月の443億ドルから上方修正された。
ドル/トルコリラの2023年末予想中央値は1ドル30.0453リラで9月時点の30.1422リラからは若干の下方修正、政策金利の週間レポレートに対する予想は3か月後で37.27%(9月時点は34.73%)、12か月後で37.00%(9月時点は32.44%)となった。
10月26日20時にトルコ中銀の政策金利発表がある。中銀はエルカン新総裁体制に入ってからそれまでの8.5%から6月に15.0%、7月に17.5%、8月に25.0%、9月に30.0%へと4会合連続で利上げしてきた。6月と7月の利上げは市場の期待を裏切る小幅なものとしてリラ売り材料とされ、8月の利上げは予想を超える超大幅利上げだったために当日は急激なリラ高を招いたものの、それではまだまだ足りないとして8月25日からリラ安が再開してきた。
9月のCPI(消費者物価指数)上昇率は全体の前年比で61.53%、コア指数で68.9%であり、政策金利が30%ではまだ実質的に大幅なマイナス金利状態に留まる。10月20日発表のビジネスサーベイでは年末の政策金利予想が37.27%であり、40%を超えはないとの見方が主流のようだが、40%超えへ進まずに10月のCPIがさらに上昇するようなら、利上げ催促のリラ売りが勢い付く可能性もあると注意したい。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、10月16日午前高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして19日未明から21日未明にかけての間への下落を想定していたが、10月19日午前から20日未明へ戻したため、19日午前安値で直近のサイクルボトムを付けたもののその後の反落により20日午前時点ではすでにサイクルトップを付けて弱気サイクル入りした可能性が高いとした。
10月20日午後の一時的高値を除いて20日深夜への上昇では20日未明高値へ届かずに23日朝へ失速気味のため、20日未明高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りと仮定して10月24日朝から26日午前にかけての間への下落を想定する。ただし、5.36円超えからは強気転換注意として5.38円前後への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では10月23日朝の下落では先行スパンからの転落には至らずにいるものの遅行スパンが悪化しつつあるため、先行スパン転落の転落を回避するうちは上昇再開余地ありとするが、先行スパン転落からは下落期入りとして遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は10月20日未明と21日未明の上昇時には60ポイントに届かずに23日午前序盤に40ポイントを割り込んでいるので下向きとして20ポイント台への低下を想定する。強気転換は50ポイントを超えるところからとする。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.32円を下値支持線、5.36円を上値抵抗線とする。
(2)5.36円を下回るうちは一段安余地ありとし、5.32円割れからは5.30円、5.28円を順次試す下落を想定する。5.28円以下は反騰注意とするが、5.32円以下での推移なら24日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)5.36円超えからは5.37円及び5.38円を試す上昇を想定するが、5.37円以上は反落警戒とみる。
【当面の主な予定】
10月23日
16:00 10月 消費者信頼感指数 (9月 71.50)
10月25日
16:00 10月 製造業信頼感指数 (9月 104.4)
16:00 10月 設備稼働率 (9月 77.3%)
10月26日
20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 30.0%)
20:30 週次 外貨準備高 10月20日時点 グロス (10月13日時点 8313.1億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 10月20日時点 ネット (10月13日時点 220.6億ドル)
10月30日
16:00 10月 経済信頼感指数 (9月 95.4)
10月31日
16:00 9月 貿易収支 (8月 -86.6億ドル)
16:00 7-9月期 観光収入 (4-6月 129.8億ドル)
17:00 9月 海外観光客数 前年同月比 (8月 5.65%)
注:ポイント要約は編集部
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