『中東情勢緊迫化でリラ売り基調継続。対ドル相場は史上最安値を連日更新』
〇今週のトルコ円、週央にかけて、週間安値5.29まで下落、週末は5.35前後で推移
〇対ドルでは連日史上最安値を更新、地政学リスクの高まり、米引き締め長期化観測が背景
〇トルコ円、主要テクニカルポイントの下で推移、売りシグナルも継続、テクニカルの地合い弱い
〇ファンダメンタルズは悪化の一途をたどる中東情勢が重石に
〇トルコリラに対する見通しを「ブル(強気)」から「ベア(弱気)」に変更
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):5.20ー5.50
今週のレビュー(10/16−10/20)
今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初5.37円で寄り付いた後、早々に週間高値5.41円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(1)中東情勢(パレスチナ・イスラエル情勢)緊迫化に端を発した地政学的リスクの高まりや、(2)イスタンブール総領事館前で発生した大規模抗議集会(イスラエルの外交官全員が安全上の理由でトルコから退去)、(3)上記1、2を背景としたトルコ金融市場のリスク回避ムード(トルコの主要株価指数は9/21以来の安値圏へと大幅下落)、(4)トルコ9月住宅販売件数(結果▲9.5%、前回▲1.1%)の冴えない結果、(5)米FRBによる金融引き締め長期化観測(新興国から米国への資金流出圧力)が重石となり、週央にかけて、週間安値5.29円まで下落しました。週末にかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間10/21午前4時00分現在)では、5.35円前後で推移しております。尚、対ドル相場は週を通して史上最安値を連日で更新しました。
来週の見通し(10/23−10/27)
トルコリラの対円相場は冴えない動きが続いています。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、50日線、90日線、200日線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表転換線、基準線、雲下限)の下側で推移していることや、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」「弱気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の下落トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)中東情勢を巡る地政学的リスクの高まりや、(2)上記1を背景とした欧米諸国との関係悪化懸念(トルコ国内のイスラム保守派による反イスラエルデモ発生)、(3)上記1を背景としたトルコ国内の治安悪化懸念(観光収入の急減リスク)、(4)米FRBによる金融引き締め長期化観測(対ドルでのトルコリラ売り圧力)など、トルコリラ円相場の下落を連想させる材料が揃っています。当方はこれまで、(5)トルコ政府・トルコ中銀による正常化路線への転換(シムシェキ財務相、エルカン総裁による正常化政策→大手格付け会社によるトルコ格付け見通しの上方修正)や、(6)トルコ中銀による金融引き締め長期化観測(トルコ中銀による追加利上げ観測→実質金利のマイナス幅縮小)を背景に、トルコリラ円相場の上昇をメインシナリオとして予測してきましたが、悪化の一途をたどる中東情勢に鑑み、トルコリラに対する見通しを「ブル(強気)」から「ベア(弱気)」に変更いたします。
尚、来週はトルコ10月消費者信頼感指数や、トルコ10月製造業信頼感指数、トルコ中銀金融政策決定会合に注目が集まります。10/26に予定されているトルコ中銀金融政策決定会合では、大幅な追加利上げ(現行の30%から35%への追加利上げ)が見込まれているものの、政策金利引き上げに伴うリラ買いでの反応は一時的なものに留まりそうです(追加利上げ実施でトルコリラが上昇する局面は絶好の売り場となる公算大)。
来週の予想レンジ(TRYJPY):5.20ー5.50
注:ポイント要約は編集部
トルコリラ円日足
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