先週末に150円到達、ただ上値は依然重い
〇先週のドル円、上値重く上げ渋り、149円半ばレベルで揉み合い続け週末にようやく150円到達
〇リスクは今週もドル高にバイアスだが、本邦円買い介入警戒からドルの上値の重さ変わらず
〇引き続き中東地域の地政学リスクの高まりが原油を中心とした金融市場全般の波乱要因
〇今週は7-9月期GDP速報値や9月PCEデフレータ等の米経済指標が発表予定、10/26ECB理事会も要注意
〇ドル高円安方向は今年高値150.16巡る攻防にまず注目。超えれば昨年高値151.94が薄っすら視界内
〇ドル安円高方向、週明け149.30台までレベルを切り上げてきた21日MAがサポートとして意識
〇今週のドル円予想レンジ、148.00-151.00
<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場はドルが小高い。岩盤のように固く、なかなか到達することの出来なかった150円だが、週末にようやくワンタッチする局面が観測されていた。
前週末は、パレスチナ問題について引き続き様々な動きがあり思惑を呼ぶ格好に。一方、米NSC戦略広報調整官が、北朝鮮はロシアにウクライナで使用する兵器を搬入したと指摘したことが別途物議を醸していたようだ。
そうした状況下、ドル/円は149円半ばで寄り付いたものの、上値は重く上げ渋りの様相。週間を通して150円は近くて遠い存在だった。むしろ、ミスヒット的な値動きから一時的に週間安値の148.77円まで下押す局面も。しかし、すぐに切り返すとドルは再び強保ち合い。149円半ば以上のレベルで揉み合いを続けるなか、週末にようやく150円へと到達。ただ、しっかりと超えることは出来ず、結局小緩んだ149.85円レベルで取引を終えての越週となった。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「パレスチナ情勢」と「米金融政策」について。
前者は、「パレスチナのガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスによるイスラエルの大規模攻撃」−−に端を発した新たな地政学リスク、中東情勢懸念が引き続き原油を中心とした金融市場全般の波乱要因に。そうしたなか、米国など西側諸国はイスラエル寄りの発言が多く聞かれただけでなく、米国務長官や同大統領あるいは英外相といった各国要人によるイスラエル訪問もたびたび観測されていた。しかし、一方で中国やロシアなどは逆にイスラエルを批判。たとえば中国外相は「イスラエルの軍事行動は自衛の範囲を超えている」、またプーチン氏も「イスラエルに対する攻撃を非難しイスラエルの勝利を願うだけでいいと考えているとしたら、それは近視眼的」などと発言していたようだ。
対して後者は、週明けから発表された米経済指標が全般的に好数字。また、NY連銀総裁による「政策金利を当面、高水準で維持する必要がある」、「インフレ抑制策はまだ道半ば」などとした強気発言が聞かれ、ドルの支援要因になっていた。しかし、そののち実施されたパウエルFRB議長の講演内容がややハト派と受け取られ、逆にドルの足かせに。とは言え、「現在の政策が引き締め過ぎでないことは明らか」や「一段の利上げが正当化される可能性がある」といったコメントも同時に聞かれており、個人的にはそれほど弱いというイメージではないと考えている。そのためか、ドルの下押しも一時的かつ限定的。週末には、前述したようにドルは一時150円台へ。
<< 今週の見通し >>
ドル/円相場は、先週末にようやく150円台を付けたものの、その道のりは苦難の連続。実際、先週一週間のドル高値の変遷を見ていくと「149.76円→149.85円→149.93円→149.96円→150.00円」だ。まさに牛歩と言ってもよい値動きになる。いずれにしても、リスクそのものは今週も引き続きドル高にバイアスかかるが、当局の円買い介入警戒などを受けドルの上値の重さは相変わらずか。150円以上のレベルでは上値の伸び悩みも予想されている。実際、本日早朝の時間外取引で再び150円台を付けたとされるが、定着までには至っていない。
月末に予定されている日米の政策金利発表が注視されるなか、今週は先鞭をつける格好でECBが26日に政策金利の発表を実施する。米国のGDP速報値など重要な経済指標が発表されるなか、ECBの金融政策も波乱要因となりかねない。ちなみに、ECBは金利を据え置くといった見方が大勢か。また、それ以外では引き継ぎ事案である中東地域への地政学リスクの高まりや、不動産問題を中心とした中国情勢などにも引き続き注意を要したい。
テクニカルに見た場合、ドル/円は先週末に辛うじて150円をつけたものの、まだ超えられていない。つまり、大局的には引き続きレンジ内にあるとも言えそうだ。今週は先週届かなかった年初来高値の150.16円を更新できるか否か、とともに150円以上のレベルにしっかりと定着することが出来るか否かにまずは注目。ちなみに前者、150.16円を超えれば当局の円買い介入警戒なども聞かれるなか、昨年高値151.94円が視界内に。
今週も、7-9月期のGDP速報値や9月PCEデフレーターなどの重要な米経済指標が発表される予定となっている。また、政治的なイベントも少なくないなか、一部報道からは「臨時国会中の解散」思惑も聞かれている日本の政治情勢、岸田首相の所信表明演説などにも要注意か。
そんな今週のドル/円予想レンジは、148.00-151.00円。ドル高・円安については、今年のドル高値150.16円をめぐる攻防にまず注目。超えれば、昨年高値151.94円が薄っすらとだが視界内へと入ってくる。
対してドル安・円高方向は、週明け段階で149.30円台までレベルを切り上げてきた移動平均の21日線がサポートとして意識される展開か。一時的に割り込むといったものではなく、NYクローズで「しっかり」下回れるかどうかの関心も高い。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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