トルコリラ円見通し 円安が頭打ち、ドル高リラ安基調続いて先週末から続落(23/10/17)

トルコリラ円の10月16日は概ね5.41円から5.35円の取引レンジ、17日早朝の終値は5.36円で先週末終値5.37円からは0.01円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し 円安が頭打ち、ドル高リラ安基調続いて先週末から続落(23/10/17)

トルコリラ円見通し 円安が頭打ち、ドル高リラ安基調続いて先週末から続落

〇トルコ円、10/16午前には5.41まで戻すもその後はドル高リラ安に圧され、10/17早朝5.36まで下げる
〇10/17午前序盤に対ドルでの史上最安値更新を受け5.35まで安値切り下げ、下落再開に入り始めた印象
〇対ドル、10/17午前に28.04を付ける、1ドル28リラを初めて付けて史上最安値更新
〇終値ベースは2日続けての最安値更新
〇年末に1ドル30リラを超えるとの予想、28リラ台に到達したことにより現実的になる
〇5.38を下回るうちは一段安余地ありとし、5.34割れからは5.32、5.30を順次試す下落を想定する
〇5.39超えからは5.41試しとし、5.39以上での推移なら10/18も高値試しへ向かいやすいとみる

【概況】

トルコリラ円の10月16日は概ね5.41円から5.35円の取引レンジ、17日早朝の終値は5.36円で先週末終値5.37円からは0.01円の円高リラ安だった。
ドル円が150円手前に抵抗感を持ちつつ149円台中盤で揉み合う中、トルコリラ円は高インフレに対して後手に回っている大幅利上げが追い付かずに実質マイナス金利状態が続いていることによるリラの先安感に加え、パレスチナ・イスラエル戦争勃発による近隣としての地政学的リスクの拡大による圧迫感も加わっており、円安の支援が乏しい中でドル高リラ安に圧される展開となっている。
10月9日から11日にかけて一時的な安値で5.30円台序盤へ下げる場面がみられたところから持ち直しに入り、16日午前には5.41円まで戻す場面も見られたが、その後はドル高リラ安に圧され、16日深夜以降はドル円が反落したことにも圧迫されて17日早朝には5.36円まで下げた。
10月17日午前序盤はドル/トルコリラで1ドル28リラを初めて付けて史上最安値を更新したために5.35円まで安値を切り下げており、10月16日午前までの戻り一巡により下落再開に入り始めた印象だ。

【対ドルで17日午前に1ドル28リラに到達、史上最安値更新中】

ドル/トルコリラの10月16日は概ね27.89リラから27.53リラの取引レンジ、17日早朝の終値は27.86リラで先週末終値の27.76リラからは0.10リラのドル高リラ安だった。
8月24日のトルコ中銀による超大幅利上げをきっかけとしたリラの急伸が1日で終わり、8月25日からドル高リラ安が再開してきたが、中東情勢の緊迫化による地政学的リスクの高まりもリラ安要因とされて史上最安値更新が続いてきた。
先週末までは週間で7週連続のドル高リラ安となり、10月6日から10日まで3営業日連続で取引時間中の史上最安値を更新して10日に27.92リラの安値をつけ、その後は新たな安値更新へ進めずにいたものの最安値近辺を維持してきた。10月17日午前には28.04リラを付けて初めて1ドル28リラ台に乗せている。終値ベースでは9月28日から10月10日まで9営業日連続で史上最安値を更新し、10月13日に27.76リラへ3営業日ぶりに最安値を更新したが、16日も2日続けて終値ベースでの最安値更新となった。

【年末の1ドル30リラ台も現実味】

10月17日午前にドル/トルコリラは1ドル28リラを付けて史上最安値を更新した。
8月24日にトルコ中銀が7.5%の超大幅利上げで政策金利を30.0%としたときに一時的なリラの急伸がみられたものの、翌日からリラ安は再開して史上最安値更新を繰り返していた。そこにパレスチナ・イスラエル戦争が勃発したことにより近隣諸国の地政学的リスクが急拡大しており、トルコリラもリスク回避から売られている。
トルコ中銀は2021年末のリラ暴落に際してリラ建て預金の為替差損分を補填する保護預金口座を導入したが、エルドアン大統領再選により就任したトルコ中銀のエルカン総裁は保護預金制度の縮小を着手、外貨準備高を取り崩しての市場介入を止めて為替レートは市場原理に基づくとの姿勢を繰り返し強調してきた。

リラの保護預金口座縮小政策によりリラからハードカレンシーへと資金は流出していることがリラ安を招き、それに対する市場介入によるブレーキ役を果たさないためにリラ安はファンダメンタルズに基づくリラの先安感から下落を続けている。大手金融機関やトルコのエコノミスト及び企業リーダーは年末に1ドル30リラを超えると予想しているが、28リラ台に到達したことにより1ドル30リラは現実的なターゲットとなってきたと思われる。
イスラエルはガザ地区への大規模地上戦を宣言しており、今のところは戦場と想定される地域住民の避難を優先しているところだが、国際的人道的な批判を浴びてもガザへの侵攻を行う決意は固く、実際に地上戦が始まれば戦争終結へのシナリオが見えないままトルコを含めた地政学的リスクの急上昇は続き、リラ安も収まらないのではないかと懸念される。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、10月11日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、11日夜から13日夜にかけての間への上昇を想定してきたが、16日午前時点ではサイクルトップ形成期の延長入りによる上昇余地ありとしたが、5.36円割れからは弱気サイクル入りとした。
10月16日午前へ続伸してから16日夜に5.36円割れへ反落したため、16日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとする。ボトム形成期は17日午前から18日午前にかけての間と想定するが、14日未明安値を基準として19日未明から21日未明にかけての間へ伸びる可能性もあると注意する。
ただし、5.39円超えからは強気サイクル入りとして19日午前から23日午前にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では10月16日夜への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落しているので遅行スパン悪化中の安値試し優先とするが、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は10月16日午後に30ポイント台へ低下してからはやや戻しているものの50ポイントに届かずにいるため40ポイント割れからは下げ再開として20ポイント台への低下を想定し、55ポイント超えからは反騰入りとみて60ポイント台後半への上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.34円を下値支持線、5.39円を上値抵抗線とする。
(2)5.38円を下回るうちは一段安余地ありとし、5.34円割れからは5.32円、5.30円を順次試す下落を想定する。5.36円を割り込んでの推移なら18日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)5.38円から5.39円にかけての水準は戻り売りにつかまりやすいとみる。ただし、5.39円超えからは5.41円試しとし、5.39円以上での推移なら18日も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

10月19日
 20:30 週次 外貨準備高 10月13日時点 グロス (10月6日時点 831.5億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 10月13日時点 ネット (10月6日時点 207.4億ドル)
10月20日
 23:30 9月 中央政府債務残高 (8月 5兆8800億リラ)
10月23日
 16:00 10月 消費者信頼感指数 (9月 71.50)
10月25日
 16:00 10月 製造業信頼感指数 (9月 104.4)
10月26日 トルコ中銀 政策金利 (現行 30.0%)



注:ポイント要約は編集部

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