『約2週間ぶり高値圏へと浮上するも、またしても7.95円の抵抗帯を突破できず』
〇今週の南ア円、週後半にかけ7.94まで急伸
〇中東情勢緊迫化による米長期金利低下とリスクアセット急反発(金・プラチナ価格上昇)が背景
〇買い一巡後は南ア指標の不冴え、米長期金利上昇に7.86まで反落
〇南ア円、主要テクニカルポイント上抜け、買いシグナルも成立、テクニカルの地合い強い
〇但し、7.95円前後は直近で複数回止められている強力な抵抗帯、ここからの上昇容易でない
〇引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.65ー7.95
今週のレビュー(10/9−10/13)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初7.71円で寄り付いた後、(1)中東情勢を巡る緊迫化(パレスチナ自治区のガザを実効支配するハマスとイスラエルとの衝突)や、(2)上記1を背景としたリスク回避ムード(地政学的リスク)が重石となり、週明け早々に、週間安値7.64円まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(3)質への逃避の米債買い(中東情勢緊迫化→質への逃避の米債買い→米金利急低下→南アランドから米国への資金流出圧力後退)や、(4)上記3を背景としたリスクアセットの急反発(南アフリカの主要産品である金・プラチナ価格の急上昇→南アフリカの交易条件改善)、(5)南ア9月SACCI景況感指数(結果108.2、前回107.3)の良好な結果が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値7.94円(9/29以来の高値圏)まで急伸しました。
もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(6)強力なレジスタンスとして市場参加者に意識されている7.95円を背にした戻り売り圧力や、(7)南ア8月製造業生産(結果+1.6%、予想+2.3%)の市場予想を下回る結果、(8)米9月消費者物価指数の市場予想を上回る結果、(9)上記8を背景とした米FRBによる金融引き締め長期化観測(米長期金利上昇→南アフリカから米国への資金流出圧力再開)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間10/14午前4時15分現在)では、7.86円前後まで値を崩す展開となっております。
来週の見通し(10/16−10/20)
南アランドの対円相場は、10/5に記録した約1カ月半ぶり安値7.58円(8/16以来の安値圏)をボトムに切り返すと、今週後半にかけて、一時7.94円まで反発しました。この間、日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、90日線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表転換線、基準線、雲上下限)を軒並み上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「強気のパーフェクトオーダー」も成立するなど、テクニカル的に見て、地合いは強いと判断できます。但し、7.95円前後は直近で複数回止められている強力な抵抗帯(8/29高値7.95円、9/25高値7.95円、9/29高値7.95円)が位置しているため、余程強い南アランド買い材料が出てこない限り、ここからの更なる上昇は容易では無いと考えられます(事実、南アランド円相場は週末にかけて7.86円まで反落)。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)南アフリカ経済の先行き不透明感や、(2)米FRBによる金融引き締め長期化観測(今週発表された米PPI、米CPIがいずれも市場予想を上回る結果→米長期金利の反転上昇→南アフリカから米国への資金流出圧力)、(3)上記2を背景とした金・プラチナ価格の反落リスク(米金利上昇→米ドル急伸→米ドルと逆相関性の強い金・プラチナ価格下落→南アフリカの交易条件悪化懸念)など、南アランド円相場の悪材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。
尚、来週は南ア8月小売売上高以外に目立った南ア経済イベントが予定されていないため、市場の関心は経済的な結びつきの強い中国の主要経済指標(中国第3四半期GDP、中国9月鉱工業生産、中国9月固定資産投資、中国9月小売売上高、中国人民銀行の最優遇貸出金利発表)に移りそうです(冴えない中国経済指標が明らかとなれば、「中国経済の先行き不透明感→南ア経済の下振れリスク拡大」の経路で、南アランドに強い下押し圧力が加わる恐れあり)。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.65ー7.95
注:ポイント要約は編集部
南アフリカランド円日足
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