トルコリラ円見通し ドル/トルコリラの史上最安値更新に圧迫される展開続く(23/10/11)

トルコリラ円の10月10日は概ね5.38円から5.32円の取引レンジ、11日早朝の終値は5.36円だった。

トルコリラ円見通し ドル/トルコリラの史上最安値更新に圧迫される展開続く(23/10/11)

ドル/トルコリラの史上最安値更新に圧迫される展開続く

〇トルコ円、10/11早朝終値5.358、終値ベースで8/24超大幅利上げで急伸して以降の最安値更新
〇対ドル、10/6から3営業日連続で取引時間中の史上最安値を更新
〇実質マイナス金利状態解消せず、中東情勢緊迫化による地政学的リスクも圧迫要因でリラ安基調続く情勢
〇トルコ鉱工業生産、安定的な上昇基調へ進めず7月から2か月連続のマイナス、低迷感増す
〇トルコ8月失業率は9.2%、市場予想の9.8%への悪化に反し7月の9.4%から改善
〇5.39以下での推移中は一段安余地ありとし、5.34割れからは5.30前後への下落を想定する
〇5.39超えからは5.41試しとするが、5.41前後は反落警戒

【概況】

トルコリラ円の10月10日は概ね5.38円から5.32円の取引レンジ、11日早朝の終値は5.36円だったが、小数点下三桁での終値は9日の5.361円から5.358円へ下落しており、終値ベースとしては8月24日にトルコ中銀の超大幅利上げで急伸して以降の最安値を更新している。
ドル/トルコリラでは3営業日連続で取引時間中の史上最安値更新となり、終値ベースでは9月28日から最安値更新が連日続いており、トルコリラ円はドル円の上昇が10月3日夜の急落後にブレーキがかかった状況のためにドル高リラ安に圧される展開となっている。

【円安による押し上げが途切れ9月末からは下落基調に】

ドル円は10月3日に150.15円を付けて年初来高値を更新して昨年10月21日高値151.94円以来の高水準に達したところから数分で147.41円へ急落し、直後に149円台前半へ戻す乱高下となったが、その後も149円台前半で戻り売りにつかまって上値が重くなっている。中東情勢の緊迫化により10月9日朝から10日午前にかけてはリスク回避的な円高反応を見せて148.15円へ下落し、10日夜に149円台序盤へ戻してから再び失速しているが、米長期債利回りが低下していることでユーロやポンドが上昇していることもあり、150円台へ再び挑戦する勢いに欠けてトルコリラ円への押し上げ要因となれずにいる。
トルコリラ円は8月24日のトルコ中銀による超大幅利上げで急伸したところをピークに反落し、しばらくは5.40円台を中心とした持ち合いで推移していたが、9月末以降は下落基調が鮮明となり持ち合いから転落して8月24日の急騰幅を解消している。
当面はドル円による押し上げが効かない状況でドル高リラ安の進行に圧迫されつつ安値を切り下げてゆく展開で進みやすい状況と思われる。

【対ドルでは3日連続で史上最安値更新】

ドル/トルコリラの10月10日は概ね27.92リラから27.50リラの取引レンジ、11日早朝の終値は27.71リラで前日終値の27.67リラからは0.04リラのドル高リラ安だった。
8月24日のトルコ中銀による7.5%の超大幅利上げによるリラの反騰が続かずに8月25日からドル高リラ安が再開して9月22日には8月24日の急騰幅を解消して史上最安値更新に入ったが、その後も史上最安値を繰り返し更新してきた。
10月9日も中東情勢緊迫化によるトルコへの地政学的リスクが意識されてリラ売りが継続し、10月6日から3営業日連続で取引時間中の史上最安値を更新した。終値ベースでは9月28日から9営業日連続で史上最安値を更新している。

シムシェキ財務相は10月10日、経済政策の正常化を実行していることによりトルコリラが下落する根拠はないと強気の主張を述べたが、エルドアン大統領再選後の経済政策正常化は評価されているものの高インフレに対するトルコ中銀の大幅利上げでも実質マイナス金利状態は解消せず、中東情勢緊迫化による地政学的リスクがトルコリラへの圧迫要因となり始めたこともあり、当面はリラ安基調が続きそうな情勢と思われる。

【トルコ鉱工業生産は低調】

10月10日にトルコ統計局が発表した8月の鉱工業生産は前月比が0.8%減となり7月の0.3%減からさらに低迷、前年同月比は3.1%増で7月の7.6%増から半減以下となった。前月比での低調さが目立ったのは製造業の1.3%減、耐久財受注の3.2%減、非耐久財の2.3%減、ローテク分野の2.8%減等だった。
鉱工業生産の前月比は2021年からマイナスとプラスを繰り返しており、安定的な上昇基調へ進めずにいるが7月から2か月連続のマイナスとなり低迷感が増している印象だ。
10月10日に発表されたトルコの8月失業率は9.2%となり7月の9.4%から改善した。市場は9.8%への悪化を予想していたものの予想外に改善した。しかし男性失業率は7.5%で7月の7.6%から低下して女性は12.8から12.6%へ改善したものの依然として高水準にとどまっている。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、10月6日夜に戻してから一段安したために10月10日午前時点では10月6日夜高値をサイクルトップとした新たな弱気サイクル入りとして11日午後から16日午後にかけての間への下落を想定した。
10月10日夜へ戻したものの5.38円で売られているためまだ一段安余地ありとするが、5.39円超えからは強気サイクル入りとして11日夜から13日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では10月10日夜へ戻したところでは遅行スパンが好転できず、先行スパンを一時超えたものの再び失速するなど方向感に欠けている。5.39円を下回るうちは一段安余地ありとして遅行スパン悪化中の安値試し優先とするが、5.39円超えからは反騰入りとして遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は10月10日午前の30ポイント割れから夜に戻したものの50ポイント台を維持できずにいる。55ポイント以下での推移中は一段安余地ありとし、40ポイント割れからは20ポイント台への低下を想定するが、55ポイント超えからは反騰継続の可能性ありとみて60ポイント台前半への上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.34円を下値支持線、5.39円を上値抵抗線とする。
(2)5.39円以下での推移中は一段安余地ありとし、5.34円割れからは5.30円前後への下落を想定する。5.30円以下は反騰注意とするが、5.37円以下での推移なら12日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)5.39円超えからは5.41円試しとするが、5.41円前後は反落警戒とする。

【当面の主な予定】

10月11日
 16:00 8月 経常収支 (7月 -54.66億ドル)
 16:00 8月 小売売上高 前月比 (7月 2.7%)
 16:00 8月 小売売上高 前年同月比 (7月 31.0%)
10月12日
 20:30 週次 外貨準備高 10月6日時点 グロス (9月29日時点 815.8億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 10月6日時点 ネット (9月29日時点 206.4億ドル)
10月16日
 17:00 9月 財政収支 (8月 512.7億リラ)

10月26日 トルコ中銀 政策金利 (現行 30.0%)



注:ポイント要約は編集部

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