トルコリラ円見通し ドル円の反落とドル高リラ安継続で続落(23/10/10)

10月9日は概ね5.43円から5.35円の取引レンジ、10日早朝の終値は5.36円で前日終値からは0.03円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し ドル円の反落とドル高リラ安継続で続落(23/10/10)

トルコリラ円見通し ドル円の反落とドル高リラ安継続で続落

〇トルコリラ円、10/6午後に5.35へ下落、10/10午前序盤には5.34へ安値をさらに切り下げる
〇中東情勢緊迫化によるリスク回避型の円高反応と、ドル高リラ安に圧されて、右肩下がりの展開続く
〇対ドル、10/6は概ね27.77から27.29の取引レンジ、10/9は概ね27.89から27.38の取引レンジ
〇10/6・10/9と続けて、取引時間中及び終値ベースでの最安値を更新
〇中東情勢の緊張、トルコにとっては近隣の戦争状態でありリスクが拡大しかねない
〇5.38以下での推移中は下向きとし、5.33割れからは5.30、5.28を順次試す下落を想定する
〇5.38超えからは5.40試しとするが、5.40前後は反落警戒とする

【概況】

トルコリラ円の10月6日は概ね5.41円から5.35円の取引レンジ、7日早朝の終値は5.39円で前日終値の5.38円からは0.01円の円安リラ高だった。週間では9月29日終値5.44円から0.05円の円高リラ安だった。
10月9日は概ね5.43円から5.35円の取引レンジ、10日早朝の終値は5.36円で前日終値からは0.03円の円高リラ安だった。
対ドルでトルコリラの史上最安値更新が続く中、トルコリラ円はリラ安に圧迫されながらもドル円の騰落を見ながら推移しているが、ドル円が10月3日夜に150円到達後に急落する波乱となるなど150円に対する抵抗感も厚く年初からの上昇がやや頭打ちとなる中で、ドル高リラ安に圧されて右肩下がりの展開が続いている。

【円高とドル高リラ安が重なる】

トルコリラ円は10月3日夜にドル円が乱高下したところで5.36円へ急落し、その後も5日午前と6日午後に5.35円と安値を切り下げてきたが、10月10日午前序盤には5.34円へ安値をさらに切り下げている。9日午後にはドル/トルコリラの一時的な波乱を反映して5.30円の安値を付ける場面も見られたが、8月24日にトルコ中銀による超大幅利上げで急伸する前の安値5.29円割れへの余裕が乏しくなっている。

ドル円は10月3日夜に150円台到達から乱高下に見舞われたが、6日夜の米雇用統計直後に149.50円まで戻していた。しかし中東情勢緊迫化によるリスク回避型の円高反応で下落に転じており、10日午前序盤には148.50円を割り込んで6日夜高値から1円を超える下落規模に発展している。
安全資産買いでゴールド、米国債が買われており、米10年債利回りは時間外取引で低下し、米FRB高官によるややハト派よりの発言も相次いだことで円高へ傾斜しているが、148円を割り込む場合は10月3日夜高値150.15円を当面のピークとして下落基調を続ける可能性があり、トルコリラ円にとってはドル高リラ安と円高による圧迫が重なることも考えられる。

【対ドルでは連日の史上最安値更新】

ドル/トルコリラの10月6日は概ね27.77リラから27.29リラの取引レンジ、7日早朝の終値は27.54リラで前日終値の27.51リラから0.03リラのドル高リラ安だった。
週間では9月29日終値27.37リラから0.17リラのドル高リラ安だった。
10月9日は概ね27.89リラから27.38リラの取引レンジ、10日早朝の終値は27.67リラで前日終値からは0.13リラのドル高リラ安だった。
8月24日のトルコ中銀による超大幅利上げをきっかけとしたリラの急伸は1日で終わり、8月25日からドル高リラ安が再開してきたが、9月22日に8月24日の急騰幅を解消して史上最安値更新に入り、その後も史上最安値を繰り返し更新してきた。10月6日は取引時間中及び終値ベースでの史上最安値を揃って更新し、9日も中東情勢の緊迫化によるリラ売りで取引時間中及び終値ベースでの最安値更新を続けた。

【中東情勢の緊張】

10月7日にパレスチナの武装勢力ハマスがイスラエルに大規模な軍事攻撃を行い、イスラエルがこれに報復、レバノンの武装勢力ヒズボラもイスラエルと交戦に入るなど、中東戦争レベルに事態が悪化するのではないかとの懸念が広がっている。
トルコのエルドアン大統領は双方への仲裁姿勢を示しているが、米国は空母を近海に派遣、米英中仏などがイスラエル支援を表明するなど、軍事的な緊張感が高まっている。
原油相場は産油国への飛び火を警戒して急伸し、安全資産として有事の金買いによりゴールドが上昇するなどリスク回避的な動きがみられる。まだパニック的な様相ではなく、NYダウが連騰するなど冷静さも見られるが、トルコにとっては近隣の戦争状態であり、国内の反政府勢力やシリア国境の緊張感が高まる可能性や、難民問題などのリスクが拡大しかねない。イスタンブール株価指数は9日に3%を超える下落となっている。
原油相場の高騰が続くようだとトルコの高インフレがさらに深刻化し、トルコ中銀による大幅利上げでは実質マイナス金利状態が解決できない懸念も増大する。当面はトルコにとってはマイナス要因として中東情勢を見る必要がありそうだ。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、10月2日夜高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして10月4日午後から6日午後にかけての間への下落を想定したが、10月6日夜にかけて戻してから一段安しているため、10月6日午後安値を直近のサイクルボトム、6日夜高値を同サイクルトップとした新たな弱気サイクル入りとして11日午後から16日午後にかけての間への下落を想定する。強気転換には5.38円超えから5.40円に迫るような反騰が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では10月9日朝からの下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したが、その後も両スパンの悪化が概ね続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とする。ただし、先行スパンを上抜き返すところからは反騰継続とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は10月6日夜に60ポイントへ迫ってから低下に転じて10日午前には一時30ポイントを割り込んでいるため、50ポイント以下での推移中は下向きとして20ポイント前後を試す下落余地ありとし、50ポイント超えからは反騰継続とみて60ポイント台を目指す上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.33円を下値支持線、5.38円を上値抵抗線とする。
(2)5.38円以下での推移中は下向きとし、5.33円割れからは5.30円、5.28円を順次試す下落を想定する。5.30円以下は反騰注意とするが、5.38円以下での推移なら11日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)5.38円超えからは5.40円試しとするが、5.40円前後は反落警戒とする。

【当面の主な予定】

10月10日
 16:00 8月 鉱工業生産 前月比 (7月 -0.4%)
 16:00 8月 鉱工業生産 前年同月比 (7月 7.4%)
 16:00 8月 失業率 (7月 9.4%)
10月11日
 16:00 8月 経常収支 (7月 -54.66億ドル)
 16:00 8月 小売売上高 前月比 (7月 2.7%)
 16:00 8月 小売売上高 前年同月比 (7月 31.0%)
10月12日
 20:30 週次 外貨準備高 10月6日時点 グロス (9月29日時点 815.8億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 10月6日時点 ネット (9月29日時点 206.4億ドル)
10月16日
 17:00 9月 財政収支 (8月 512.7億リラ)

10月26日 トルコ中銀 政策金利 (現行 30.0%)



注:ポイント要約は編集部

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