『軟調推移が継続するも下値余地は限定的。政府・中銀の正常化政策が支援材料』
〇今週のトルコ円、S&Pによる格付け見通しの引き上げ等に週明け早々に高値5.48まで上昇
〇週末にかけては、週間安値5.34(8/24以来の安値圏)まで下落
〇トルコの9月インフレ指標は、CPI+61.53%、PPI+47.44%、CPIコア+68.93%とまちまち
〇トルコ円、主要テクニカルポイントを下抜け、売りシグナルも成立、テクニカルの地合い弱い
〇ファンダメンタルズはトルコ政府・中銀による正常化路線への転換期待等がサポート
〇引き続き、トルコリラ円相場の上昇をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):5.30ー5.60
今週のレビュー(10/2−10/6)
今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初5.45円で寄り付いた後、(1)格付け会社S&Pグローバル・レーティング社による格付け見通しの引き上げ(ネガティブから安定的への上方修正)や、(2)トルコ9月製造業PMI(結果49.6、前回49.0)の前回比改善が支援材料となり、週明け早々に週間高値5.48円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(3)米FRBによる金融引き締め長期化観測や、(4)上記3を背景とした伝統的金融市場のリスクオフ再燃(新興国から米国への資金流出圧力)、(5)日本政府・日銀による為替介入観測(ドル円急落→トルコリラ円連れ安)が重石となり、週末にかけて、週間安値5.34(8/24以来の安値圏)まで下落しました。
引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間10/7午前2時50分現在)では、5.41円前後で推移しております。尚、今週発表されたトルコのインフレ指標は、トルコ9月消費者物価指数(結果+61.53%、予想+61.60%)および、トルコ9月生産者物価指数(結果+47.44%、予想+49.41%)が市場予想を下回る一方、トルコ9月消費者物価コア指数(結果+68.93%、予想+67.20%)は市場予想を上回るなど、強弱まちまちの結果となりました。
来週の見通し(10/9−10/13)
トルコリラの対円相場は上値の重い展開が続いています。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、90日線、200日線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表転換線、基準線、雲上下限)を軒並み下抜けしていることや、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」「弱気のパーフェクトオーダー」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます。但し、ファンダメンタルズ的に見ると、(1)トルコ政府中銀による正常化路線への転換期待(トルコは失われた信用を取り戻すべく、シムシェキ財務相、エルカン総裁主導の正常化政策が進展中→大手格付け会社が相次いでトルコの格付け見通しを上方修正→外国人投資家マネーの流入期待)や、
(2)トルコ中銀による金融引き締め長期化観測(エルドアン大統領再選以降、トルコ中銀は計2150bpの大幅利上げを実施→これまで利上げに異を唱えてきたエルドアン大統領もトルコ中銀の金融引き締め政策をついに容認→実質金利のマイナス幅縮小期待→金利先高観に着目したリラ買い期待)、(3)トルコ経済の復調期待(先週発表されたトルコ9月景気動向指数、トルコ9月設備稼働率、トルコ9月経済信頼感、トルコ8月貿易収支、今週発表されたトルコ9月製造業PMIは軒並み良好な結果)など、トルコリラ円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。今週は日本政府・日銀による介入観測を背景に、ドル円急落→トルコリラ円連れ安の動きが強まりましたが、来週はこうした動きが一巡すると見られることから、当方では引き続き、トルコリラ円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週はトルコ8月失業率、トルコ8月鉱工業生産、トルコ8月経常収支に注目が集まります。
来週の予想レンジ(TRYJPY):5.30ー5.60
トルコリラ円日足
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