トルコリラ円見通し ドル円の反落とドル高リラ安継続で3営業日続落
〇トルコリラ円、10/5午前にドル円下落に合わせて5.35へ下落、夜5.41まで戻すも再び失速
〇9/28朝高値以降の右肩下がりの展開継続、今夜の米雇用統計から流れが変わるか注目
〇対ドル、10/5は概ね27.59から27.28の取引レンジ、終値ベースでは27.50台に乗せて史上最安値更新
〇週次の外貨準備高が減少、当面のピークに達した可能性も
〇5.42以下での推移中は下向きとし、5.35割れからは5.32、5.30を順次試す下落を想定する
〇5.42超えからは、5.44試しとする
【概況】
トルコリラ円の10月5日は概ね5.42円から5.35円の取引レンジ、6日早朝の終値は5.38円で前日終値の5.41円からは0.03円の円高リラ安だった。
対ドルでトルコリラの史上最安値更新が続く中、トルコリラ円はリラ安に圧迫されつつドル円の波乱にも振り回されている。
ドル円は10月3日夜に150.15円へ上昇して年初来高値を更新して昨年10月21日高値151.94円以来の150円台に到達したところから数分で147.41円へ急落し、直後に149円台前半へ反騰する乱高下となり、10月5日朝にかけては149円を挟んだ揉み合いで推移して乱高下の落ち着きがみられたものの、5日午前に148.25円へ下落し、5日夜に149.10円へいったん戻してから6日未明に5日午前安値に迫る反落となり上値の重い展開となっている。
トルコリラ円は10月3日夜にドル円が乱高下したところで5.46円から5.36円へ急落し、ドル円の反騰時に5.43円まで戻した後は5.40円を挟んだ揉み合いの様相だったが、10月5日午前にドル円が下落したところで5.35円へ下落し、夜に5.41円まで戻してから再び失速しており、9月28日朝高値以降の右肩下がりの展開を続けている。
ドル円が150円到達から急落したことは市場介入によるものでも市場介入ではなく売り注文の連鎖反応によるものであっても、強い抵抗水準であることを再認識させるものであり、150円を超えて昨年10月21日高値151.94円超えを目指して行くには米雇用統計におけるドル円にとっての強気サプライズ等の強力な推進材料が欲しいところだ。
トルコリラ円としてはドル円の上昇力が回復するなら円安効果による押し上げ期待が復活するものの、ドル円が上値の重い状況に留まればドル高リラ安が直接影響して安値切り下げを余儀なくされやすくなると注意したい。今夜の米雇用統計から流れが変わるか注目される。
【対ドルは終値で27.50リラ台に到達】
ドル/トルコリラの10月5日は概ね27.59リラから27.28リラの取引レンジ、6日早朝の終値は27.51リラで前日終値の27.49リラからは0.02リラのドル高リラ安だった。
8月24日のトルコ中銀による超大幅利上げをきっかけとして当日安値27.27リラから25.02リラへ急伸したものの、リラ買いは1日で終わり8月25日からドル高リラ安が再開し、9月22日への下落で8月24日の急落幅を解消して史上最安値更新に入り、その後も連日のように史上最安値更新を繰り返して10月4日には27.74リラへ取引時間中の史上最安値を更新した。
10月5日は取引時間中の最安値更新には至らなかったものの、終値ベースでは初めて27.50リラ台に乗せて6営業日連続で史上最安値を更新した。
10月6日午前は27.61リラから27.37リラのレンジで推移しつつ最安値更新を伺う位置に付けている。
【週次の外貨準備高が減少】
10月5日夜にトルコ中銀が発表した週次の外貨準備高は9月29日時点のグロスで815.8億ドルとなり9月22日時点の838.1億ドルから大幅に減少、ネットでも206.4億ドルとなり9月22日時点の240.3億ドルから30億ドル以上の減少となった。
ネットの外貨準備高はエルカン総裁就任前のカブジュオール総裁時代に外貨準備を取り崩してリラ安防衛のための市場介入を繰り返してきたことにより今年6月序盤にはマイナス57億ドルまで悪化したが、エルカン総裁が外貨準備高を取り崩して市場介入を行うことを止めて増加に取り組んできたことを反映して昨年12月の281.3億ドルへ徐々に迫り、グロスでも6月序盤に565.2億ドルまで減少したところから回復を続けて昨年12月の855.9億ドルに迫っていたのだが、そこまで到達できずに減少したため、当面のピークに達した可能性も考えられる。
トルコ中銀のエルカン総裁は10月4日に「中銀はトルコリラの水準や方向性に影響を与える意図はない」「為替レートに影響を与える目的で外国為替取引を行っていない」とトルコ議会の予算委員会で発言しており、今後も外貨準備高の増加に取り組み、為替レートに関しての干渉を行わない姿勢を強調している。
中銀が市場介入を行わないことは市場原理に即してリラの価値も決まるということだが、史上最安値を繰り返し更新している状況にあっては市場介入しないという宣言はブレーキ役を担わないということでもあり、リラ安の放置ともなりかねない。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、10月3日深夜にドル円とともに急落したために10月4日午前時点では10月2日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして10月4日午後から6日午後にかけての間への下落を想定した。
10月5日午前に安値を更新し、5日夜の反発時も4日夜高値からは切り下がりの範囲にとどまって6日午前へジリ安の推移となっているためまだ一段安余地ありとするが、5.42円超えからは強気サイクル入りとして6日午後から9日夜にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では10月3日深夜の急落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したが、その後も両スパンの悪化が概ね続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とする。ただし、先行スパンを上抜き返すところからは反騰継続とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は10月5日午前の下落時に30ポイントを割り込み、その後の反発では50ポイント台を維持できずに再び30ポイント台へ低下するなど軟調さが抜けていない。50ポイント以下での推移中は下向きとして20ポイント台を試す下落余地ありとし、55ポイント超えからは反騰継続とみて60ポイント台後半を目指す上昇を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.35円を下値支持線、5.42円を上値抵抗線とする。
(2)5.42円以下での推移中は下向きとし、5.35円割れからは5.32円、5.30円を順次試す下落を想定する。5.32円以下は反騰注意とするが、5.40円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)5.42円超えからは5.44円試しとする。5.44円以上は反落注意とするが、5.42円を上回っての推移なら週明けも戻りを試しやすいとみる。
【当面の主な予定】
10月06日
23:30 9月 財務省現金残高 (8月 619億900万リラ)
10月10日
16:00 8月 鉱工業生産 前月比 (7月 -0.4%)
16:00 8月 鉱工業生産 前年同月比 (7月 7.4%)
16:00 8月 失業率 (7月 9.4%)
10月11日
16:00 8月 経常収支 (7月 -54.66億ドル)
16:00 8月 小売売上高 前月比 (7月 2.7%)
16:00 8月 小売売上高 前年同月比 (7月 31.0%)
10月12日
20:30 週次 外貨準備高 10月6日時点 グロス (9月29日時点 815.8億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 10月6日時点 ネット (9月29日時点 206.4億ドル)
注:ポイント要約は編集部
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