ドル円の乱高下落ち着くもドル高リラ安継続で右肩下がり
〇昨日のトルコ円、ドル高リラ安継続により上値重い展開、10/5日早朝終値は5.41
〇トルコ円、ドル円がもう一段安へ急落の場合、円高により5.20台目指す可能性も
〇対ドル、史上最安値を連日更新中、10/5早朝終値は27.49
〇10/4発表のトルコ貿易収支速報、赤字は50億ドルへ減少
〇トルコ中銀のエルカン総裁、為替水準に干渉しないとの発言
〇5.42以下での推移中は下向きとし、5.36割れからは5.32前後への下落を想定
〇5.42超えからは5.44前後への上昇を想定
【概況】
トルコリラ円の10月4日は概ね5.43円から5.37円の取引レンジ、5日早朝の終値は5.41円で前日終値と変わらずだった。(小数点下三桁での終値は5.406円で4日終値5.413円からわずかに円高リラ安)
10月3日夜にドル円が150.15円を付けて年初来高値を更新した直後の数分で147.41円まで急落して市場介入が疑われたが、早々に149円台前半へ戻してからは149円を挟んだ揉み合いとなり乱高下は落ち着いているが、急落ショックと急落幅の過半を解消する反騰だったために強弱感が交錯している。
トルコリラ円は10月3日夜にドル円が乱高下した際に5.46円から5.36円へ急落してから戻したが、ドル円が149円を挟んで揉み合いとなる中でドル/トルコリラにおけるドル高リラ安が継続していることで上値が重く、昼にかけて5.43円まで戻してからは軟調推移で5日早朝に5.38円をつけるなど上値が重く右肩下がりの展開が続いている。
ドル円が150円到達から急落したのは、市場介入によるものなのか、売り注文の連鎖反応によるものなのか真偽不明だが、150円に対する抵抗感は強く印象付けられており、今週末の米雇用統計をきっかけとしてドル全面高を根拠に150円台へ再び進めるのか、いったん仕切り直しの下落期に入るのか試されるところだ。
トルコリラ円としてはドル円の上昇が勢いを回復すればドル高リラ安に負けずにドル円を追いかけて上昇しうるが、ドル円の上昇が頭打ちとなりドル高リラ安が進行する場合や、ドル円がもう一段安へと急落する場合には円高により5.20円台を目指して行く可能性も出てくるところであり、週末にかけては年末へ向けた方向性を左右する重要局面と考えたい。
【対ドルでの史上最安値を連日更新中】
ドル/トルコリラの10月4日は概ね27.74リラから27.33リラの取引レンジ、5日早朝の終値は27.49リラで前日終値の27.46リラから0.03リラのドル高リラ安だった。
8月24日のトルコ中銀による超大幅利上げにより当日安値27.27リラから25.02リラへドル安リラ高となったが、ドル高とリラの先安感を背景に8月25日から下落再開に入り、8月4日に付けたそれまでの史上最安値27.34リラを9月22日に割り込み、その後も連日のように史上最安値更新を繰り返しており、10月4日も27.74リラへ取引時間中の史上最安値を更新し、終値ベースでも5営業日連続で最安値を更新した。
高インフレと高金利及び増税による景気への圧迫感により年末にかけて1ドル30リラを目指して行くとの見方が優勢の中、すでに8月24日の超大幅利上げによる急騰を解消して史上最安値更新を繰り返す状況にあるようだ。
【貿易収支速報、赤字は50億ドルへ減少】
10月4日にトルコ貿易省が発表した9月貿易統計速報では、輸出が226.7億ドル(8月は216.2億ドル)、輸入が276.6億ドル(8月は304.9億ドル)となり貿易赤字は50億ドルで8月の88.8億ドルから減少した。速報ベースの貿易赤字は今年1月に144億ドルとなり過去最大を記録してからはジグザグの推移で6月に127億ドル、8月に124億ドルを記録して大幅な赤字を繰り返しているものの、ここ2か月は縮小傾向を見せている。
【トルコ中銀のエルカン総裁、為替水準に干渉しない】
トルコ中銀のエルカン総裁は10月4日、中銀はトルコリラの水準や方向性に影響を与える意図はないとし、為替レートに影響を与える目的で外国為替取引を行っていないと述べた。
エルカン総裁はトルコ議会の予算委員会において、「為替レートを制御する意図があれば就任以来の為替変動(ドル高リラ安)は起こらなかったはずだ」、「トルコ中銀としての為替レート目標や為替レートの予測はない」と述べている。また「為替市場への介入は、仮にあったとしても最小限であり、世界の中央銀行の共通慣行である過度のボラティリティーを防ぐことを目的としている」、「私が着任して以来、これは最小限に抑えられている」と述べた。
ドル/トルコリラにおいては日々の取引で中心的な取引レンジから異常に離れる飛び値が繰り返し発生しているため、それらが中銀による一時的で最小限の介入的な動きを反映している可能性も考えられるが、トレンドを崩すような動きにはなっておらず、かつてのように外貨準備高を取り崩してもリラ防衛のための市場介入を繰り返してきたような手段はとられていないと思われる。エルカン総裁は「自身の任命には物価の安定を確保し、インフレを公的議題から排除するという明確な指示があった」としてエルドアン大統領が現在の政策姿勢を容認していることを示唆している。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、10月3日深夜にドル円とともに急落したために10月4日午前時点では10月2日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして10月4日午後から6日午後にかけての間への下落を想定した。
10月3日深夜へ急落した後は新たな安値更新を回避しているものの戻り高値はきりさがり基調のためまだ一段安余地ありとし、強気転換は5.44円超えからとする。
60分足の一目均衡表では10月3日深夜の急落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したが、その後も両スパンの悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とするが、先行スパンを上抜き返してから続伸し始める場合は上昇再開の可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は10月3日深夜の急落時に30ポイントを割り込んでからも50ポイントに届かずにいるのでまだ一段安余地ありとし、35ポイント割れからは20ポイント台への低下を想定する。ただし、相場が安値を更新する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行がみられる場合は反騰注意とし、50ポイント超えから続伸する場合は反騰入りとして60ポイント台への上昇を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.36円を下値支持線、5.44円を上値抵抗線とする。
(2)5.42円以下での推移中は下向きとし、5.36円割れからは5.32円前後への下落を想定する。5.32円以下は反騰注意とするが、5.40円以下での推移なら6日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)5.42円超えからは5.44円前後への上昇を想定する。5.44円前後は反落注意とする。5.44円超えから続伸の場合は5.47円試しとするがその後の反落注意とする。
【当面の主な予定】
10月05日
20:30 週次 外貨準備高 9月29日時点 グロス (9月22日時点 838.1億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 9月29日時点 ネット (9月22日時点 240.3億ドル)
10月06日
23:30 9月 財務省現金残高 (8月 619億900万リラ)
10月10日
16:00 8月 鉱工業生産 前月比 (7月 -0.4%)
16:00 8月 鉱工業生産 前年同月比 (7月 7.4%)
16:00 8月 失業率 (7月 9.4%)
10月11日
16:00 8月 経常収支 (7月 -54.66億ドル)
16:00 8月 小売売上高 前月比 (7月 2.7%)
16:00 8月 小売売上高 前年同月比 (7月 31.0%)
注:ポイント要約は編集部
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