トルコリラ円見通し ドル円の急落とドル/トルコリラの史上最安値更新に圧迫される(23/10/4)

トルコリラ円の10月3日は概ね5.46円から5.36円の取引レンジ、4日早朝の終値は5.41円で前日終値の5.45円からは0.04円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し ドル円の急落とドル/トルコリラの史上最安値更新に圧迫される(23/10/4)

ドル円の急落とドル/トルコリラの史上最安値更新に圧迫される

〇トルコ円、10/3は概ね5.46から5.36の取引レンジ、徐々に戻り高値が切り下がり安値も切り下がり基調
〇昨夜のドル円波乱により5.46から5.36へ急落、その後は5.40から5.43のレンジで揉み合いに
〇対ドル、10/4早朝終値は27.46リラ、9/28から4営業日連続で終値ベースの最安値更新
〇9月トルコCPI、上昇率は前月から鈍化し市場予想を下回るも高水準での上昇続く
〇実質マイナス金利状態の解消へ向け、政策金利を40%台へと引き上げ続けられるのか試される
〇5.40割れからは下げ再開として5.36試しとし、5.36割れからは5.32前後への下落を想定する
〇5.46超えからは5.50前後への上昇を想定、5.50以上は反落注意とする

【概況】

トルコリラ円の10月3日は概ね5.46円から5.36円の取引レンジ、4日早朝の終値は5.41円で前日終値の5.45円からは0.04円の円高リラ安だった。
ドル/トルコリラで連日の史上最安値更新が続く中、ドル円の上昇に支えられて8月24日の急騰一巡による下落後は一時的な高安の飛び値を除いて5.40円前後で買われて5.50円以上では売られる持ち合いで推移してきたが、徐々に戻り高値が切り下がり安値も切り下がり基調に入ってきた。
10月3日夜は米JOLTS求人件数が予想を上回ったところでドル円が151.15円を付けた直後に147.41円まで急落し、早々に149円台へ戻してから再び軟化する乱高下がみられ、トルコリラ円もドル円の波乱により5.46円から5.36円へ急落し、その後は5.40円から5.43円までのレンジでの揉み合いとなっている。

ドル円の急落については市場介入の可能性も指摘される一方でレートチェックのみで売りの連鎖反応を一時的に招いただけとの見方もあり真相は不明だが、150円到達に対する高値警戒感を再認識させた。しかし昨年は9月22日の介入ではドル円の上昇が収まらずに10月21日高値151.94円まで一段高しており、現状も150円到達に対する警戒感を持ちつつもまだ一段高余地ありとの思惑で短期的な急落を買い拾いたい動きも見られる。
トルコリラ円としてはドル円の乱高下とドル/トルコリラにおけるリラ安の継続を踏まえ、週末の米雇用統計からの波乱に備える慎重姿勢で臨みたいところだ。

【対ドルで取引時間中及び終値での史上最安値を連日更新】

ドル/トルコリラの10月3日は概ね27.69リラから27.28リラの取引レンジ、4日早朝の終値は27.46リラで前日終値の27.42リラからは0.04リラのドル高リラ安だった。
10月4日夕刻発表のトルコCPIに対しての市場反応はさほど見られず、ドル全面高とリラの先安感を背景として10月3日に付けた安値27.61リラを割り込んで取引時間中の史上最安値を更新し、終値ベースでも9月28日から4営業日連続で最安値を更新している。
米FRBが年内あと1回の利上げが必要とし、2024年を通して利上げ状態が据え置かれる可能性を示唆しており、米10年債利回りは2007年以来の最高水準を連日更新し、ユーロやポンド等が7月以降の最安値を更新するなどドル全面高の様相となっている。
トルコリラは8月24日にトルコ中銀が7.5%の超大幅利上げを決定したところで25.02リラへ急伸したもののリラ買いは続かずに8月25日からドル高リラ安が再開してすでに8月24日の急騰分を解消して史上最安値更新に入っているが、アジア通貨の下落も顕著となる中でリラへの売り圧力も大きいようだ。

【トルコのCPI上昇率は高水準での推移続く】

【トルコのCPI上昇率は高水準での推移続く】

10月3日にトルコ統計局が発表した9月のトルコCPI(消費者物価指数)上昇率は前月比4.75%で8月の9.09%から鈍化して市場予想の4.88%を下回ったが高水準での上昇が続いている。前年比は61.53%で8月の58.94%から伸びが加速して市場予想の61.70%に近かった。
食料品やエネルギーなど変動の激しいものを除いたコアCPI上昇率は前月比5.3%で8月の8.9%から鈍化したが前年比は68.9%で8月の64.8%から伸びが加速した。生活用品は前年比63.75%、食料品・飲料は75.14%、運賃は76.06%、レストラン等は92.48%だった。
9月のPPI(生産者物価指数)上昇率は前月比が3.40%で8月の5.89%から鈍化し、前年比も47.44%で8月の49.41%から鈍化したがいずれも高水準だ。
10月1日に先行して発表されたイスタンブールの9月小売価格指数は前月比5.46%で8月の8.80%から鈍化したが前年比は73.18%で8月の74.17%からは若干の鈍化にとどまり、依然として極めて高い水準となっている。

9月15日に発表されたトルコ中銀によるビジネス・サーベイ(企業経営者やエコノミストに対する経済予測調査)でのCPI上昇率(前年比)は2023年末時点で67.2%、1年先で44.94%とされている。インフレのピークは2024年5月あたりで75%との見方もある。また2023年末のドル/トルコリラについては1ドル30.1422リラ、政策金利については3か月後で34.73%、1年先で32.44%と予想されている。
当面は、CPI上昇率が政策金利を大幅に上回る実質マイナス金利状態の解消へ向けて政策金利を現行の30%から40%台へと引き上げを続けることができるのかどうか試される。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、9月29日夕刻からドル円の反騰とともに戻したため、10月2日午前時点では9月29日午後安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして10月2日午前から4日午前にかけての間への上昇を想定した。
10月3日午前序盤に反落気配のために3日午前時点では弱気転換注意として5.40円を連続的に割り込む場合は弱気サイクル入りとしたが、3日深夜にドル円とともに急落したため、10月2日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして10月4日午後から6日午後にかけての間への下落を想定する。ドル円の乱高下も懸念されるので5.44円超えを強気転換注意として5.46円試しとする。

60分足の一目均衡表では10月3日深夜の急落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落しているため遅行スパン悪化中は安値試し優先とするが、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開の可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は10月3日深夜の急落時に30ポイントを割り込んでからも50ポイントに届かずにいるのでまだ一段安余地ありとみる。相場が安値を更新する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行がみられる場合は反騰注意とし、50ポイント超えから続伸する場合は反騰入りとして60ポイント台への上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.36円を下値支持線、5.46円を上値抵抗線とする。
(2)5.40円割れからは下げ再開として5.36円試しとし、5.36円割れからは5.32円前後への下落を想定する。5.32円以下は反騰注意とするが、5.43円以下での推移か一段安したところから0.05円以上の反騰がみられない場合は5日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)5.46円超えからは5.50円前後への上昇を想定する。5.50円以上は反落注意とするが、5.46円以上での推移なら5日も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

10月05日
 20:30 週次 外貨準備高 9月29日時点 グロス (9月22日時点 838.1億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 9月29日時点 ネット (9月22日時点 240.3億ドル)
10月06日
 23:30 9月 財務省現金残高 (8月 619億900万リラ)
10月10日
 16:00 8月 鉱工業生産 前月比 (7月 -0.4%)
 16:00 8月 鉱工業生産 前年同月比 (7月 7.4%)
 16:00 8月 失業率 (7月 9.4%)
10月11日
 16:00 8月 経常収支 (7月 -54.66億ドル)
 16:00 8月 小売売上高 前月比 (7月 2.7%)
 16:00 8月 小売売上高 前年同月比 (7月 31.0%)



注:ポイント要約は編集部

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