トルコリラ円見通し ドル円の年初来高値更新に支えられるもドル高リラ安の圧迫感続く(23/10/3)

トルコリラ円の10月2日は概ね5.46円から5.40円の取引レンジ、10月3日早朝の終値は5.45円で先週末終値の5.44円からは0.01円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し ドル円の年初来高値更新に支えられるもドル高リラ安の圧迫感続く(23/10/3)

トルコリラ円見通し ドル円の年初来高値更新に支えられるもドル高リラ安の圧迫感続く

〇トルコ円、10/2は一時的に5.40まで下げるも、ドル円の年初来高値更新に支えられジリ高の推移
〇対ドル、10/2は27.61をつけ2日連続取引時間中の最安値更新、終値ベースでも前日に続き最安値更新
〇本日、トルコ9月CPI発表、前年同月比は伸びが加速するとの見込み
〇5.47を下回るうちは一段安警戒とし、5.40割れからは5.37前後への下落を想定する
〇5.47超えからは、5.49前後への上昇を想定する

【概況】

トルコリラ円の10月2日は概ね5.46円から5.40円の取引レンジ、10月3日早朝の終値は5.45円で先週末終値の5.44円からは0.01円の円安リラ高だった。
8月24日のトルコ中銀による超大幅利上げをきっかけとして5.77円へ一時的に急伸してから反落した後は概ね5.46円を中心値として5.40円前後で買われて5.50円以上では売られる持ち合いで推移しており、10月2日もこの範囲内の動きに留まっている。
ドル/トルコリラはすでに8月24日の急伸時の上げ幅を解消して史上最安値更新に入っているが、リラ安の加速度はまだ緩いため、トルコリラ円の目先はドル円を追いかける展開であり、ドル円が9月29日夕刻に148.52円まで反落したところから反騰入りし、10月3日早朝には149.87円まで年初来高値を伸ばしたことにトルコリラ円も支えられ、午後の飛び値で5.40円まで一時的に下げたところを除けば9月29日午後からは円安を見ながらジリ高の推移となっている。

【2日連続で対ドルで取引時間中及び終値での史上最安値を更新】

ドル/トルコリラの10月2日は概ね27.61リラから27.16リラの取引レンジ、3日早朝の終値は27.42リラで先週末終値の27.37リラからは0.05リラのドル高リラ安となった。
8月24日にトルコ中銀が7.5%の超大幅利上げを決定したところで25.02リラへ急伸したもののリラ買いは1日で終わり、8月25日からはドル高リラ安が再開して9月27日には8月24日の急騰幅を解消、9月29日には27.60リラへ取引時間中の史上最安値を更新し、終値ベースでも史上最安値とした。
週明けもリラ売りの流れは変わらず、27.61リラへ取引時間中の最安値を更新し、終値ベースでも最安値を更新したが、10月3日午前序盤も27.61リラから27.38リラのレンジで推移して最安値更新を試している。

エルドアン大統領再選後にトルコ中銀ではエルカン新総裁が、財務相にはシムシェキ氏が任命されて大統領の容認の元に再選前まで続いてきた「高金利は悪」として高インフレの進行中に利下げを行う非伝統的な政策姿勢からインフレ抑制のための利上げと財政再建のための増税という伝統的な政策姿勢へと変わった。8月24日の利上げ幅は市場予想の3倍となり中銀の決意を示し、格付け会社は格付けを据え置きながらも見通しを「安定的」としたが、それでも高インフレが続いて利上げが後追いする状況では1ドル30リラを超えてゆくリラ安基調は変わらないとの見方が優勢だ。

【今夕、トルコ9月CPI発表】

10月3日16時にトルコ統計局による9月のトルコCPI(消費者物価指数)などの発表がある。
CPI上昇率に対する市場の事前予想は全体の前月比が8月の9.09%から4.88%へ鈍化するものの高水準となり、前年同月比は8月の58.94%から61.70%へと伸びが加速すると見込まれている。前年同月比に対する予想レンジは60.0%から63.73%とされており、いずれにしても8月を上回りインフレ再加速の様相が濃くなるのではないかとみられている。
事前予想はまとめられていないものの、コアCPIは8月に前月比8.9%、前年同月比64.8%と高いが、NY原油期近が一時95ドルに到達するところまで上昇していること、リラ安の継続による通貨インフレ、7月増税ラッシュにより企業コストの上昇は不可避であり、前月比も前年同月比も高い伸び率を示すと思われる。

トルコ中銀はインフレ抑制のための利上げ継続姿勢を示して連続利上げを行ってきたが、果たして実質マイナス金利状態から抜け出すために政策金利を40%超へと引き上げることが可能なのかどうか疑問符が付くところであり、市場は追加利上げ催促でのリラ売りを続けやすいのではないかと思われる。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、9月27日早朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして10月2日午前から4日午前にかけての間への下落を想定したが、9月29日夕刻からドル円の反騰とともに戻したため、10月2日午前時点では9月29日午後安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして10月2日午前から4日午前にかけての間への上昇を想定した。
10月3日午前序盤に反落気配のため弱気転換注意とし、5.47円超えからは上昇再開とするが、5.40円を連続的に割り込む場合は弱気サイクル入りとして10月4日午後から6日午後にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では10月3日午前の反落気配で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落しつつあるため、遅行スパン悪化中は安値試し優先とするが、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は10月2日夜に60ポイント台へ到達してから50ポイント割れへ失速しているので下落期入りが疑われる。55ポイント以上へ切り返す場合は上昇再開として60ポイント台後半を目指すとみるが、40ポイント割れからは20ポイント台への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.40円を下値支持線、5.47円を上値抵抗線とする。
(2)5.47円を下回るうちは一段安警戒とし、5.40円割れからは5.37円前後への下落を想定する。5.37円以下は反騰注意とするが、5.43円以下での推移なら4日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)5.47円超えからは5.49円前後への上昇を想定する。5.49円以上は反落注意とするが、5.47円以上での推移なら4日も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

10月03日
 16:00 9月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (8月 9.09%、予想 4.88%)
 16:00 9月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (8月 58.94%、予想 61.70%))
 16:00 9月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (8月 5.89%)
 16:00 9月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (8月 49.41%)
10月05日
 20:30 週次 外貨準備高 9月29日時点 グロス (9月22日時点 838.1億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 9月29日時点 ネット (9月22日時点 240.3億ドル)
10月06日
 23:30 9月 財務省現金残高 (8月 619億900万リラ)



注:ポイント要約は編集部

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