ドル円見通し ドル全面高と米長期債利回り上昇で年初来高値更新
〇ドル円、10/3早朝149.87を付け年初来高値更新し150円に迫る、為替市場はドル全面高
〇日銀、10/2午後に10/4実施の国債買い入れオファー行う、買いオペによる長期金利抑制を継続
〇昨日発表の米経済指標は良好な結果、FRB高官発言はタカ派発言
〇米10年債利回りは上昇継続、NYダウは続落、ナスダックは4連騰
〇149.50以上での推移中は上向きとし、150円超えから150.20台、150.40台を順次試す上昇を想定する
〇149.50割れから続落の場合は弱気転換注意とし、149.20割れからは148円台後半への下落を想定する
【概況】
ドル円は10月3日早朝に149.87円を付けて年初来高値を更新した。
9月21日未明の米FOMCと22日の日銀金融政策決定会合を通過してFRBのタカ派姿勢と日銀の金融緩和継続により乱高下しながらも9月25日には148.50円を超えて年初来高値を更新し、26日には149円台に到達、28日未明に149.70円まで高値を切り上げたところでいったん調整安に入り29日夕刻には148.52円まで下げたが、30日早朝への反騰で29日の下落幅をほぼ解消していた。
週明けの10月2日午前には9月28日未明高値を超えて年初来高値更新に入り、3日早朝へ徐々に高値を切り上げて150円に迫ってきている。
10月2日は米上下両院による11月半ばまでのつなぎ予算案可決で米政府機関の一部閉鎖が回避されたこと、FRBのバー副議長による追加利上げ支持発言、米ISMの9月製造業景況指数が予想を上回る改善となったことで米長期債利回りの上昇が継続、為替市場はドル全面高となりユーロとポンドは7月以降の最安値を更新、ドル円も日米金利差から上昇した。
【日銀は買いオペによる長期金利抑制を継続】
10月2日の新発10年債(371回債)利回りは前日比0.010%上昇の0.775%で終了した。先週末に0.770%をつけたところで日銀は臨時の国債買い入れオペ(3000億円)をオファーして長期金利上昇の抑制を試み、10月2日も午前は動きがなかったものの午後に入って10月4日実施の国債買い入れオファーを行った。長期金利上昇を抑制すれば円安容認と受け取られかねないところだが、長期金利が0.80%を超えて1%に迫ってゆくような上昇は好ましくないとの認識を示したと思われる。
9月11日に植田日銀総裁インタビュー記事におけるマイナス金利解除への言及が円高材料となったものの、9月22日の日銀会合では「必要なら追加緩和措置をとる」として金融緩和継続姿勢を示した。
10月2日朝発表の9月短観においては大企業製造業の業況判断はプラス9で6月時点から4ポイント改善し、先行きについてもプラス10で小幅改善見込みとなっており、低成長ながらも金融緩和による下支え効果を踏まえれば、日銀による円安への警戒感は薄いのではないかと思われる。
【米経済指標は強め、FRB高官発言はタカ派】
S&Pグローバルによる9月の米製造業PMI確報値は49.8となり速報値の48.9から上方修正されて8月確報値の47.9を上回った。9月製造業PMIはドイツが39.6、ユーロ圏が43.4、英国が44.3であり米国の優位性がドル高要因となっている。
米サプライ管理協会(ISM)による9月製造業景況指数も49.0となり8月の47.6から上昇して市場予想の47.7を上回った。強弱分岐点の50を11か月連続で割り込んでいるものの、2022年11月からは改善傾向を見せている。
FRBのバー副議長(金融規制担当)は2日、ニューヨークで講演し、年内あと1回の追加利上げが必要かどうかよりも、どれほど長く十分に景気抑制的な水準で政策金利を維持するかが最も重要な問題だと明言した。また、高金利での据え置きが暫く続くとした。
FRBのボウマン理事も2日の講演で「インフレ率は引き続き高い」、「「追加利上げが必要となる公算が大きいと予想している」と述べ、「暫くは景気抑制的な水準で金利を維持することが適切」とした。
クリーブランド連銀のメスター総裁も「インフレは依然として高過ぎる」、「年内にあと1回利上げし、その後しばらく金利を据え置く必要がある」と述べている。
【米10年債利回りは上昇継続、ダウは続落】
10月2日の米長期債利回りは米連邦政府予算可決と米経済指標が強かったことで上昇した。
長期金利指標の10年債利回りは先週末比0.10%上昇の4.68%で終了、一時は4.71%をつけて2020年以降の最高値を更新、2007年10月以来の高水準とした。
30年債利回りは先週末比0.09%上昇の4.79%、2年債利回りは0.05%上昇の5.10%となった。
2010年4月以来13年半ぶりの高水準とした。
10月2日のNYダウは長期金利上昇を嫌って先週末比74.15ドル安となり9月29日の158.84ドル安から続落したが、ナスダック総合指数は9月27日の1300ポイント割れに対する売られ過ぎ感から買い戻し優勢となり先週末比88.45ポイント高で9月27日から4連騰とした。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は9月29日夕刻安値を起点として上昇再開から一段高に入っている。目先の高値形成期は9月28日未明高値を基準として10月3日午前から5日朝にかけての間と想定されるので反落注意期とし、149.50円以上での推移中は150円超えを試す上昇余地ありとするが、149.50円割れを弱気転換注意、149.20円割れからはいったん下げに入るとみて10月4日午後から6日夕にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では9月29日夕刻からの反騰で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜き、その後も両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところからは上昇再開とするが、先行スパンへ潜り込むところからは弱気転換注意とし、先行スパン転落からは下落継続とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は10月2日午前から60ポイント割れを買われてしっかりしているが70ポイントへ届かずにいる。70ポイント超えからは上昇が勢い付くとみて80ポイントに迫る上昇を想定するが、50ポイント割れからはいったん下げに入るとみて40ポイント前後への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、149.50円を下値支持線、150.00円を上値抵抗線とする。
(2)149.50円以上での推移中は上向きとし、150円超えからは150.20円台、150.40円台を順次試す上昇を想定する。150.50円以上は反落警戒とするが、勢い付く場合は151円に迫る可能性もあるとみる。
(3)149.50円割れから続落の場合は弱気転換注意とし、149.20円割れからは148円台後半への下落を想定する。148.70円以下は反騰注意とするが、149.20円を割り込んでの推移なら4日も安値試しを続けやすいとみる。
【当面の予定】
10/3(火)
休場 中国
12:30 (豪) RBA(豪中銀) 政策金利 (現行 4.10%、予想 4.10%)
15:10 (英) レーンECB理事、講演
21:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、対話集会
21:45 (仏) ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
23:00 (米) 8月 JOLTS(雇用動態調査)求人件数 (7月 882.7万件、予想 880.0万件)
10/4(水)
休場 中国、韓国
OPECプラス合同閣僚監視委員会
10:00 (NZ) RBNZ(ニュージーランド中銀) 政策金利 (現行 5.50%、予想 5.50%)
16:55 (独) 9月 サービス業PMI・改定値 (速報 49.8、予想 49.8)
17:00 (欧) 9月 サービス業PMI・改定値 (速報 48.4、予想 48.4)
17:00 (欧) ラガルドECB総裁、講演
17:30 (英) 9月 サービス業PMI・改定値 (速報 47.2、予想 47.2)
18:00 (欧) 8月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (7月 -0.5%、予想 0.6%)
18:00 (欧) 8月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (7月 -7.6%、予想 -11.6%)
18:00 (欧) 8月 小売売上高 前月比 (7月 -0.2%、予想 -0.5%)
18:00 (欧) 8月 小売売上高 前年同月比 (7月 -1.0%、予想 -1.3%)
21:15 (米) 9月 ADP非農業部門民間雇用者数 前月比 (8月 17.7万人、予想 15.8万人)
22:45 (米) 9月 サービス業PMI・改定値 (速報 50.2、予想 50.3)
22:45 (米) 9月 総合PMI・改定値 (速報 50.1)
23:00 (米) 8月 製造業新規受注 前月比 (7月 -2.1%、予想 0.3%)
23:00 (米) 9月 ISM非製造業景況指数 (8月 54.5、予想 53.5)
23:05 (米) シュミッド・カンザスシティー連銀総裁、イベント挨拶
23:25 (米) ボウマンFRB理事、挨拶
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
23:30 (米) グールズビー・シカゴ連銀総裁、挨拶
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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