ユーロ安トレンド継続を再確認
〇先週のユーロドル、タカ派のFOMCと米国の堅調な成長を受けユーロ売り、1.0616レベルの安値つける
〇日米欧の金利差により、ドル円、ユーロ円ともに円売り地合い継続
〇今週は独、仏、ユーロ圏のCPI速報値発表、予想上回る場合は欧州も引き締め長期化か
〇今週は1.0575レベルをサポートに、1.0725レベルをレジスタンスとする流れを見る
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロドルはFOMCまでは上下を挟みながらも底堅い展開を続け、FOMC直前に週間高値となる1.0737レベルをつけましたが、FOMCでの金利見通しがタカ派で引き締め長期化との見方からユーロ売り(ドル買い)となり、1.0616レベルの安値をつけました。FOMC後は方向感がはっきりしない横方向のもみあいのまま引けました。
前週のECB理事会、先週のFOMC、日銀会合と主要3極の金融政策ウィークが終わり、ECBのみが利上げと政策変更を行ったものの、今後の景気減速を気にする参加者が増えて来ています。いっぽうでFOMCでは引き締め長期化以外にも堅調な成長が続いていることから、ECBの利上げがあっても景気の温度差、そして縮小したものの金利差があることがユーロドルの売り材料となっています。
また日銀のみが緩和を継続しているため、ドル円、ユーロ円ともに円売り地合いが継続しやすい点も以前と変わりません。市場が落ち着いてくると、米ドル>ユーロ>円という序列での通貨の強弱がはっきりしてくる流れですが、しばらくはこの構図には変化が無いと見られます。
今週はドイツ、フランス、ユーロ圏のCPI速報値が発表されますが、予想ではフランスは上昇、ドイツとユーロ圏は低下となっていて、今月のECB理事会の利上げでほぼ打ち止めと考えられる中で、仮に依然として予想よりも高いCPIが出てくると欧州でも引き締め長期化の見通しとなり、景気後退とインフレというスタグフレーション状態が顕在化してくる流れにつながりそうです。
また欧州も四半期末となりますので、28日と29日のロンドン・フィキシングを中心に実需の動きにも注意は必要です。
テクニカルには日足チャートをご覧ください。
高値からの平行下降チャンネル(青)の中で順調に下げ続けている動きが続いています。逆N波動のターゲット1.0601はほぼ達成と見られるものの、上値は重く逆に7月高値からの逆N波動による100%エクスパンションだった1.0699レベルがレジスタンスとなりやすい流れです。ただ、やや近すぎる感じもあり、レジスタンスとしては先週高値の1.07台前半を考えておけばよいでしょう。
いっぽうで下値は引き続き1.0601を達成したいと見る向きもあり、同水準を達成した後の動き次第ですが、上値が一段と重くなるようであれば1.05の大台前後に位置する3月安値と年初来安値をターゲットとする動きになって行きそうです。今週のところは1.0575レベルをサポートに、1.0725レベルをレジスタンスとする流れを見ておくこととします。
今週のコラム
今週はポンドドルの日足チャートを見てみます。
ポンドドルは7月高値を起点に平行下降チャンネルの中での下げを継続中ですが、先週の英中銀MPCでは僅差ではあったものの現状維持となったことを受け、下げが加速し下側のラインに近づこうとする動きとなってきました。
既に年初来安値と高値の61.8%押しは下抜け、次のターゲットとなる78.6%(61.8%の平方根)押し1.2088を視野に入れる展開になってきたようですが、やや下げ足が速いことから動きが出てくるとすると四半期末を超えて10月に入ってからではないかと考えています。
ただ、以前は強いポンドというイメージが逆回転していますので、上値が重たい地合いが続くことはたしかでしょう。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
9月25日(月)
16:00 フランス中銀総裁講演 ☆
17:00 ドイツ9月ifo企業景況感
9月26日(火)
16:00 レーンECB理事講演 ☆
9月27日(水)
15:00 ドイツ10月消費者信頼感
15:45 フランス9月消費者信頼感
9月28日(木)
18:00 ユーロ圏9月消費者信頼感
21:00 ドイツ9月CPI速報値 ☆
9月29日(金)
15:00 英国4〜6月期GDP改定値
15:00 ドイツ8月小売売上高、輸入物価
15:45 フランス9月CPI速報値 ☆
15:45 フランス8月PPI ☆
16:55 ドイツ9月失業率
18:00 ユーロ圏9月CPI速報値 ☆
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時−NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
9月18日(月)
ユーロドルもNY市場までは静かな動きが続きましたが、ECBが次回会合以降に準備率の引き上げを議論するとの話が出て、追加引き締めの効果を考えてのユーロ買いが出ていました。しかしECB理事会で景気低迷を懸念していることからその懸念を増幅させる可能性もあり、素直にユーロ買いには動きにくい状況でした。
9月19日(火)
ユーロドルは東京市場では動かず、欧州市場では買いが先行したもののNY市場では売りと方向感がはっきりしない流れとなりました。FOMCを前に積極的な動きは取りにくい状態となりました。
9月20日(水)
ユーロドルは米金利低下の動きとともにFOMC直前まで買いが強く、1.0737レベルの高値をつけました。しかしFOMCでのタカ派な金利見通しを受けて急速に値を下げ1.0650レベルの安値をつけ、安値圏での引けとなりました。
9月21日(木)
ユーロドルは東京市場では売りが先行し1.0617レベルの安値をつけたものの1.06台前半はテクニカルなターゲットとなっていたこともあり底打ち。その後は、英中銀MPCに向け買い戻しが入った後にポンドとともに下げたものの、NY市場では市場では買い戻しと、1.06台前半での底堅さを感じさせた一日となりました。
9月22日(金)
ユーロドルは方向感が出ない一日となりました。欧州市場序盤に発表されたフランスPMIに反応して1.0615レベルの安値をつけましたが、すぐに買い戻され、その後は1.06台半ばで細かい上下を見せる程度の週末クローズとなりました。
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