トルコリラ円見通し 5.54円台中心の揉み合い、一時的な上昇を繰り返すも続かず(23/9/19)

9月18日は概ね5.51円から5.43円の取引レンジ、19日早朝の終値は5.46円で先週末終値の5.46円と変わらずだった。

トルコリラ円見通し 5.54円台中心の揉み合い、一時的な上昇を繰り返すも続かず(23/9/19)

トルコリラ円見通し 5.54円台中心の揉み合い、一時的な上昇を繰り返すも続かず

〇トルコ円、9/18午前に一時的に5.58へ上昇したものの、概ね5.51円から5.43円の取引レンジ
〇一時的な高値や安値は早々に元の水準へ収まるが、ドル円と比較するとトルコ円の上値の重さ目立つ
〇対ドル、9/18は概ね27.03から26.69の取引レンジ、8/24急騰幅をほぼ解消
〇8/21開催のトルコ中銀MPC、市場の期待通りに大幅利上げを継続できるかどうかが最大の焦点
〇フィッチ、トルコ首都圏自治体アンカラの格付け見通しを、安定的に上方修正
〇5.45を上回るうちは上昇余地ありとし、5.53超えからは5.55前後への上昇を想定する
〇5.45割れからは、5.42、5.40を順次試す下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の9月15日は概ね5.58円から5.46円の取引レンジ、16日早朝の終値は5.46円で前日終値と変わらなかった。週間では9月8日終値の5.50円から0.04円の円高リラ安だった。
9月18日は概ね5.51円から5.43円の取引レンジ、19日早朝の終値は5.46円で先週末終値の5.46円と変わらずだった。
18日は午前にドル/トルコリラでの一時的なリラ高が発生した局面で5.58リラへ上昇したものの、一時的な上昇を除けば5.51円までのレンジ内に収まった。19日朝も一時5.52円を付けており、一時的な高値提示は繰り返されているが8月25日以降はいずれもすぐに失速している。

8月24日のトルコ中銀による超大幅利上げをきっかけとして当日安値5.28円から5.77円へ急伸した後は揺れ返しの下落に入り、ドル円が148円手前で上値が重くなり9月11日には植田総裁インタビュー記事をきっかけとして急落するなど円安による支えが弱くなっている一方でドル高リラ安が再燃しているために、トルコリラ円は戻り高値を徐々に切り下げ、8月24日以降の安値も9月1日の5.41円から9月13日には一時5.36円を付けて切り下がり基調にある。
一時的な高値や安値は早々に元の水準へと収まっているものの、ドル円が年初来高値を更新していることと比較すればトルコリラ円の上値の重さが目立つところだ。

【8月24日急騰幅をほぼ解消、利上げ催促のリラ安】

ドル/トルコリラの9月15日は概ね27.14リラから26.69リラの取引レンジ、16日早朝の終値は26.92リラで前日終値の26.86リラからは0.06リラのドル高リラ安だった。週間では9月8日終値26.82リラからは0.10リラのドル高リラ安だった。
9月18日は概ね27.03リラから26.69リラの取引レンジ、19日早朝の終値は27.01リラで先週末終値の26.92リラからは0.09リラのドル高リラ安だった。
8月24日のトルコ中銀による超大幅利上げをきっけに当日安値27.27リラから高値25.02リラへ急騰したが、高インフレと高金利、増税と成長鈍化、貿易収支や経常収支および財政収支の悪化等によるリラの先安懸念は払しょくできないとして8月25日からドル高リラ安が再燃している。9月14日は安値で27.14リラを付けて8月24日安値に迫り、18日は終値ベースでこの間の安値を更新しており、8月24日の急騰幅はほぼ解消されている。

【8月21日、トルコ中銀は期待に応える大幅利上げを決定できるか】

今週は米FOMCと日銀金融政策決定会合が市場の焦点となるが、トルコリラにとっては8月21日夜のトルコ中銀MPCにおいて市場の期待通りに大幅利上げを継続できるかどうかが最大の焦点となる。
9月15日にトルコ中銀は月次のビジネス・サーベイ=企業リーダーとエコノミストの市況感調査の結果を発表した。調査によると、2023年末のCPI上昇率予想値は67.2%で8月の59.46%から上昇し、12か月後のCPI上昇率の44.94%で8月の42.01%から上昇した。また2023年のGDP見通しは8月の3.7%増から3.9%増へ上方修正されたが、経常赤字予想は8月の436億ドルから443億ドルへ悪化した。
2023年末のドル/トルコリラについては8月の1ドル=29.8220リラから30.1422リラへドル高リラ安感が強まった。

トルコ中銀の政策金利に対する予想では3か月後が34.73%(8月は25.00%)、12か月後は32.44%(8月は23.25%)となり、大幅な利上げで30%を超えてからもしばらくは高水準が続くと見込まれた。
9月21日のトルコ中銀金融政策委員会(20時結果発表)においては政策金利の週間レポレートが現行の25.00%から30.0%へ引き上げられると予想されている。予想レンジは27.50%から31.0%であり、前回の7.5%の超大幅利上げからはペースダウンするのではないかとみられているが、市場の期待に反して現状維持や2.5%程度の利上げに留まるようだとリラ売りが勢いを増す可能性があると注意したい。

【フィッチ、アンカラの格付け見通しを「安定的」に】

格付け大手会社のフィッチ・レーティングスは9月8日にトルコ長期外貨建て(LTFC)発行体デフォルト格付け(IDR)を「B」で据え置いたが見通しを従来の「ネガティブ」から「安定的」に上方修正した。9月15日にはトルコのアンカラ首都圏自治体(アンカラ)の格付けについて「B]で据え置き、見通しを「ネガティブ」から「安定的」に上方修正した。
フィッチはトルコの新体制が大幅な政策転換を行っていることを評価しているが、インフレ抑制に向けた政策調整(利上げ)規模や持続性とその成功については依然として不確実性が残るとして格付けそのものは据え置きとしている。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、9月14日午後に一時5.36円まで急落してから戻したために9月15日午前時点ではいったん弱気サイクル入りしたものの11日安値から3日目となる14日午後安値で直近のサイクルボトムを付けて新たな強気サイクル入りしているとして15日深夜から20日未明にかけての間への上昇を想定した。
9月18日午前に一時的だったものの急伸してから反落しているのですでにサイクルトップを付けて弱気サイクル入りしたと仮定して19日午後から21日午後にかけての間への下落を想定する。ただし、一時的な急伸を除いて連続的に5.53円を超える場合は強気サイクル入りとして21日午前から25日午前にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では遅行スパンは実線と交錯を繰り返して方向感に欠けるが18日午前高値からの下落で悪化しており、先行スパンからも転落しやすい位置に来ている。遅行スパンが好転するところからは上昇再開とするが、先行スパンからの転落が続く場合は下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は9月18日午前に一時的に70ポイントを超えてから50ポイント割れへ失速した。55ポイント超えからは上昇再開とするが、50ポイント以下での推移中は下向きとし、40ポイント割れからは20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.45円を下値支持線、5.53円を上値抵抗線とする。
(2)5.45円を上回るうちは上昇余地ありとし、5.53円超えからは5.55円前後への上昇を想定する。一時的な高値提示に終わる可能性があるとみて5.55円以上は反落注意とするが、5.45円以上を維持するなら20日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)5.45円割れからは5.42円、5.40円を順次試す下落を想定する。5.40円以下は反騰注意とするが、5.45円以下での推移なら20日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

9月20日
 23:30 8月 トルコ中央政府債務 (7月 5兆8230億リラ)
9月21日 
 16:00 9月 消費者信頼感指数 (8月 68)
 20:00 トルコ中銀金融政策委員会 政策金利 (現行 25.00%、予想 30.0%)
 20:30 週次 外貨準備高 9月15日時点 グロス (9月8日時点 792.7億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 9月15日時点 ネット (9月8日時点 162.8億ドル)
9月22日
 17:00 8月 海外観光客数 前年同月比 (7月 7.25%)
9月25日
 16:00 9月 製造業信頼感指数 (8月 105)
 16:00 9月 設備稼働率 (8月 76.1%)



注:ポイント要約は編集部

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